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📡 Signal|ユーロ、仏西の政局で対ドル2025年5月以来の安値
ユーロが ECB 参照レートで1.1204ドルと2025年5月以来の安値に。スペインは11月29日に総選挙、フランスは予算審議を控える。日本が持つフランスの発行体の債券は23兆8,500億円とドイツの2倍超。
欧州中央銀行 (ECB) の参照レートで、ユーロは 10 月 5 日に 1 ユーロ = 1.1204 ドルをつけ、2025 年 5 月 16 日 (1.1194 ドル) 以来の安値になった。同じ 5 日、スペインのサンチェス首相は議会を解散し、11 月 29 日に総選挙を行うと表明した。
ECB: 参照レート (ユーロ/ドル) — 10 月 2 日 1.1225、5 日 1.1204、2025 年 5 月 16 日 1.1194、1 月 28 日 1.1974 を確認European Central Bank
ユーロは 2 日の時点で 1.1225 ドルまで下げて 2025 年 5 月以来の水準に入り、5 日にもう一段下げた。年初来の高値 (1 月 28 日の 1.1974 ドル) からの下げは 6.4% になる。重荷になっているのは金利の見通しより、ユーロ圏の 2 番手と 4 番手の経済、フランスとスペインの財政と政局だ。そしてフランス国債には、日本の投資家の資金が厚く入っている。
ユーロ安の中身
ECB の参照レートは、毎営業日の中央ヨーロッパ時間 14 時 15 分に決める 1 日 1 回の値で、取引時間中の安値とは別だ。この参照レートで、ユーロは 9 月 30 日の 1.1355 ドルから 5 日の 1.1204 ドルまで、3 営業日で 1.3% 下げた。
円に対しても下げている。ユーロ円の参照レートは 2 日に 176.99 円と、2025 年 11 月上旬以来の水準まで下がり、5 日は 177.28 円だった。ドルに対する「2025 年 5 月以来」に比べると、円に対する下げは 11 か月ぶりの水準にとどまる。円の側も弱いため、ユーロ安は対ドルのほうがはっきり出ている。
スペインは 11 月 29 日に総選挙
スペインの官報 (BOE) は 6 日、議会の両院を解散し総選挙を行う勅令 (Real Decreto 806/2026・10 月 5 日付) を掲載した。投票日は 11 月 29 日の日曜日で、選挙戦は 11 月 13 日から 27 日まで、新しい議会は 12 月 23 日に招集される。
サンチェス首相は 5 日の声明で、格差の縮小などの改革を進めるには国民の支持を「更新し、広げる」必要があり、議会で「はるかに広い進歩派の多数」を確保しなければならないと述べた。少数与党のまま法案を通す難しさを、選挙で打開する選択だ。選挙から新議会の招集まで、スペインは 2 か月半を予算と改革の決定が止まりやすい期間として過ごす。
フランスは 2027 年予算案の議会審議に入る段階にある。国債の市場では、フランスとドイツの 10 年債利回りの差が先週大きく広がったと報じられており、市場は予算の信認に敏感になっている。
日本勢のフランス国債
フランスの財政は、日本の資金の行方に直結する。財務省の本邦対外資産負債残高によると、2025 年末に日本の居住者が持つフランスの発行体の債券は 23 兆 8,500 億円あった。日本が持つ海外の債券全体の 6.49% にあたり、ドイツの発行体の債券 (10 兆 2,700 億円) の 2 倍を超える。この数字は国債だけでなく、銀行や企業が出した債券も含む。
ブルームバーグは 5 日、7 月時点で日本の投資家が持つフランス国債を推計 23 兆円とし、日本勢が売りに回ればフランス国債の下落が大きく広がりうると報じた。為替のヘッジをかけた後の利回りの上乗せが細ってきたとも伝えている。日本の投資家は、ユーロ圏のなかで比較的高い利回りと格付けの組み合わせを求めてフランス国債を厚めに持ってきた。その前提が崩れれば、資金はドイツ国債や円の短い債券へ移る。
次に見るもの
最初の確認先は、ECB が毎営業日に公表する参照レートだ。ユーロが 2025 年 5 月 16 日の 1.1194 ドルを下回れば、比較の起点はさらに前の 2025 年 5 月中旬の 1.11 ドル台に移る。
- 基本線: フランスの予算審議とスペインの選挙戦が続くあいだ、ユーロは 1.12 ドル前後で上値が重い
- リスク: フランス国債の売りが日本勢などの持ち高の調整に広がり、ユーロが 1.11 ドル台に入る
- 別線: 10 月 29 日の ECB 理事会がエネルギー高を理由に引き締め寄りの姿勢を示し、金利の差がユーロを支える
ECB のレーン専務理事は 5 日、エネルギー高の第 2 波でも利上げの経路を予約しないと語っている。10 月 29 日の理事会の声明で、財政不安とエネルギー高のどちらに重心を置くかを見る。
ことば
- ECB 参照レート — ECB が毎営業日、中央ヨーロッパ時間 14 時 15 分に決めて 16 時ごろに公表するユーロの対外為替レート。取引の値ではなく参考値で、日々の水準を比べる一次の基準として使える。今回の「2025 年 5 月以来」はこの値で比べている。
- 本邦対外資産負債残高 — 日本の居住者が海外に持つ資産と、海外が日本に持つ資産の年末の残高を、財務省と日本銀行がまとめた統計。地域別の表では、債券を発行した側の国ごとに保有額が分かる。
🔗 一次ソース
ECB: 参照レート (ユーロ/ドル) — 10 月 2 日 1.1225、5 日 1.1204、2025 年 5 月 16 日 1.1194、1 月 28 日 1.1974 を確認European Central Bank
ECB: 参照レート (ユーロ/円) — 10 月 2 日 176.99、5 日 177.28 を確認European Central Bank- スペイン官報 (BOE): Real Decreto 806/2026 — 議会の解散、11 月 29 日の総選挙、選挙戦の期間、12 月 23 日の招集を確認boe.es
スペイン首相府: サンチェス首相の声明 (10 月 5 日) — 支持を「更新し、広げる」必要、総選挙の表明を確認lamoncloa.gob.es- 財務省: 本邦対外資産負債残高 地域別 (2025 年末) — フランスの発行体の債券 23 兆 8,500 億円、対外債券の 6.49%、ドイツ 10 兆 2,700 億円を確認mof.go.jp
- ブルームバーグの報道 (日本勢のフランス国債の推計)bloomberg.com