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SNAPSHOT 2026-10-12 07:30 JST

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📡 Signal|JPYC、加盟店の割引をめぐり公正取引委員会に情報提供

JPYC が公正取引委員会にキャッシュレス決済の競争環境について情報提供したと公表した。カードの加盟店規約にある割引禁止が、JPYC 払いの客への優遇にも及ぶのかが争点だ。

LiveMakers Editorial Desk

📡 Signal|JPYC、加盟店の割引をめぐり公正取引委員会に情報提供

日本円ステーブルコイン「JPYC」を発行する JPYC 株式会社は10月9日、9月14日に公正取引委員会へキャッシュレス決済市場の競争環境について情報提供を行ったと公表した。あわせて、JPYC で払う客への割引や送料無料を店が実施することについて、同社の考え方を示した。

争点は、クレジットカードの加盟店規約に広くある「割引の禁止」や「他の決済手段への誘導の禁止」が、新しい決済手段への優遇にも及ぶのかどうかだ。円ステーブルコインが既存のキャッシュレス決済と同じ土俵で、手数料と価格設定の自由をめぐる競争に入った。何が提出され、何がまだ決まっていないのかを整理する。

JPYC株式会社のプレスリリース画像 1
画像:JPYC株式会社(PR TIMES)プレスリリース

店が割引をためらう理由は、カードの規約にある

JPYC は利用者と店の間でブロックチェーン上の価値移転として決済が完結し、同社は店から加盟店手数料を取らない。その差額を原資に、JPYC 払いの客に割引や送料無料を付ける店が出てきている。導入店は実店舗・移動店舗・EC を合わせて150以上だという。

ところが店の側には迷いがある。リリースによると、カードなどの加盟店規約には、①カード利用者への料金上乗せの禁止、②現金利用者への割引の禁止、③他の決済手段の推奨・誘引の禁止、といった条項が広く入っている。「JPYC 払いを優遇すると規約違反を問われるのではないか」という声が同社に寄せられ、施策を見送る店もあるという。

根拠は公取委の2022年の実態調査

JPYC が拠り所にしたのは、公正取引委員会が2022年4月に公表した「クレジットカードの取引に関する実態調査報告書」だ。同社の引用によれば、報告書は、国際ブランドがカード客と現金客に異なる料金を付けることを一律に禁じる行為について、加盟店間の顧客獲得競争を弱めるおそれがある場合には独占禁止法上の問題 (拘束条件付取引) になるおそれがあると指摘している。有力な国際ブランドが、店が他の決済方法を客に提案すること (ステアリング) を禁じる場合も、他の決済事業者を排除するおそれがあれば同様だとした。

報告書の時点で、ステーブルコインはまだ法的な決済手段ではなかった。2023年6月の改正資金決済法の施行で電子決済手段として位置づけられ、JPYC は2025年10月27日に発行を始めた。同社は、報告書の考え方が「ステーブルコインをはじめとする新たな決済手段に対する優遇施策についても同様に妥当する」と理解していると書く。ここはあくまで JPYC の解釈で、リリース自身も、内容は同社の考え方であって公取委の見解ではないと断っている。特定の事案の相談や申告でもない。

手数料ゼロの決済が、価格の上で見えるようになる

カード決済の手数料は、これまで商品価格に均して溶け込んできた。現金で払っても同じ値段なら、手数料の分は全員で負担していることになる。割引の禁止が効いている限り、手数料の安い決済手段が現れても、その安さは店の利益に消えるだけで、客の目には届かない。

JPYC の主張は、この仕組みに穴を開けるものだ。決済手段ごとに価格を変えてよいなら、手数料の差は値札の差として見える。財政と通貨の基盤が組み替わる局面で、新しい決済手段が既存のネットワークと競うときの勝負所は、技術より先に「店がその安さを客に渡せるか」という契約の層にある。岡部典孝代表は、手数料に依存しない「公開型インフラ」の恩恵を店が客に還元できることを「決済手段間の競争がもたらす最も分かりやすい消費者利益」だとコメントしている。

一方で、規模はまだ小さい。総発行量は8月末時点で約77億円、口座開設の申込は約2万3,000件だ (いずれも同社公表)。カード会社や国際ブランドがこの件にどう応じるかは、リリースからは分からない。カード会社の名前も挙げられていない。

次に見るもの

JPYC は導入店向けの相談窓口を設け、決済事業者から優遇施策の中止を求められた場合も含めて相談を受けるとした。導入ガイドの整備と導入事例の公開も予定している。確認先は2つある。1つは JPYC が今後公開する導入ガイドと導入事例で、割引を実施した店が規約上どう扱われたかが具体的に出てくるかを見る。もう1つは公正取引委員会の報道発表資料で、キャッシュレス決済やカード取引についての新しい実態調査や注意喚起が出るかどうかだ。公取委の側から反応が出るまでは、今回の主張は1社の解釈にとどまる。

ことば

  • 加盟店規約 — カード会社などの決済事業者と、カード払いを受け付ける店が結ぶ契約。料金の上乗せや割引、他の決済手段の推奨についての制限が入ることがあり、今回はこの条項が新しい決済手段への優遇にも及ぶかが問われている。
  • 拘束条件付取引 — 取引の相手方の事業活動を不当に縛る条件を付けて取引すること。独占禁止法が禁じる不公正な取引方法の1つで、公取委の2022年の報告書はカードの規約の一部がこれに当たるおそれを指摘した。
  • 電子決済手段 — 2023年6月施行の改正資金決済法で定められた、法定通貨と価値が連動し、送金や決済に使えるデジタルな手段。円建てのステーブルコインはこの枠組みで発行される。

🔗 一次ソース

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