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📡 Signal|毎勤統計の8月実質賃金 1.5% 増、所定内給与は8か月連続 3% 超
8月の実質賃金は1.5%増で8か月連続のプラス。基本給にあたる所定内給与が3.8%伸びた一方、物価の上昇率は2.2%まで上がり、実質の伸びは縮み始めた。
厚生労働省は10月7日、毎月勤労統計調査の8月分速報を公表した。物価の影響を除いた実質賃金 (現金給与総額) は前年同月比 1.5% 増で、8 か月連続のプラスになった。
伸びを支えたのは、賞与ではなく毎月決まって払われる給与だ。基本給にあたる所定内給与は 3.8% 増え、3% 以上の伸びが 8 か月続いた。一方で、実質化に使う消費者物価の上昇率は 2 か月続けて 2.2% まで上がり、賃金と物価の差は 6 月より縮んでいる。
初期報は7日の速報で伝えた。本稿では、厚労省の公表資料で中身を確かめる。
8月の数字を、公表資料で確かめる
厚労省の速報 (事業所規模 5 人以上) の主な数字は次のとおりだ。
- 現金給与総額 (名目) — 31万1,364円、前年同月比 3.8% 増
- 所定内給与 — 27万7,861円、3.8% 増
- 特別に支払われた給与 (賞与など) — 1万3,006円、前年同月と同水準
- 実質賃金指数 (2020年平均 = 100) — 83.7、1.5% 増
- 実質化に使う消費者物価 (持家の帰属家賃を除く総合) — 2.2% 上昇
厚労省は実質賃金を 2 通りで出している。持家の帰属家賃を除く物価で割った値が 1.5% 増 (8 か月連続)、国際比較用に物価の総合で割った値は 1.9% 増 (9 か月連続) だった。報道で「1.5% 増」とされるのは前者だ。
名目の伸びは、ほぼ全部が毎月の給与から来た
8月は賞与の時期から外れる。特別に支払われた給与は前年と同じ水準にとどまり、名目の 3.8% 増は、きまって支給する給与 (3.9% 増) の伸びとほぼ重なる。
公表資料は、この伸びの長さにも注記を付けている。所定内給与の 3% 以上が 8 か月続くのは 33 年 10 か月ぶり。フルタイムを中心とする一般労働者に限ると、所定内給与の 3% 以上の 8 か月連続は、調査を始めた 1994 年 1 月以来で初めてだという。パートタイム労働者の時間あたり給与は 1,472円で 4.3% 増え、62 か月続けてプラスだった。
賞与は景気と業績で大きく振れる。毎月の給与は、いったん上げると簡単には下げにくい。プラスの中身が毎月の給与に寄っていることは、伸びが一時的な上振れではないことを示している。
縮み始めた、賃金と物価の差
それでも、8 か月連続のプラスは同じ幅で続いてきたわけではない。公表資料の付表から、2026年の実質賃金と物価を月ごとに並べるとこうなる (前年同月比・8月は速報)。
- 1月 — 実質賃金 0.7% 増 / 物価 1.7% 上昇
- 2月 — 2.0% 増 / 1.4% 上昇
- 3月 — 1.4% 増 / 1.6% 上昇
- 4月 — 2.0% 増 / 1.5% 上昇
- 5月 — 1.6% 増 / 1.7% 上昇
- 6月 — 2.2% 増 / 1.9% 上昇
- 7月 — 2.0% 増 / 2.2% 上昇
- 8月 — 1.5% 増 / 2.2% 上昇
年の前半、物価の上昇率は 1% 台半ばで落ち着き、名目の 3% 前後の伸びがそのまま実質のプラスになった。夏に入って物価は 2.2% まで上がり、名目の伸びも 7月の 4.3% から 8月は 3.8% に落ちた。物価が同じ 2.2% だった 7月と 8月で実質の伸びが 0.5 ポイント縮んだのは、名目側の減速による。
2025年は年平均で実質 1.3% 減、前年8月は 1.7% 減だった。1 年前と比べれば局面ははっきり変わった。ただし、プラスの幅は物価の動き一つで削られる位置にある。
数字を読むときの 2 つの注記
一つは、速報値は確報で改訂される場合があることだ。7月分も確報で名目の伸びが改訂されている。
もう一つは、1月に調査対象の事業所の一部を入れ替えたことだ。入れ替えの前後で比べると、現金給与総額には 0.5% 分の段差が生じたと厚労省は注記している。前年同月比はこうした段差の影響を受けうる。
次に見るもの
確認先は 2 つある。一つは厚労省が次に公表する毎月勤労統計調査で、8月分の確報で 1.5% 増が維持されるかと、9月分の速報で名目の伸びが 3% 台を保つかを見る。もう一つは総務省が公表する 9 月分の全国消費者物価指数で、物価の上昇率が 2.2% から上に抜けるかどうかだ。
基本給の 3% 超えが続くかぎり、物価が 2% 台前半にとどまれば実質のプラスは残る。物価が 3% に近づけば、基本給の伸びだけでは追いつかない局面に戻る。所定内給与の 3.8% と物価の 2.2% の差は、今 1.6 ポイントしかない。
ことば
- 実質賃金 — 名目の賃金指数を消費者物価指数で割り、物価の上昇分を除いた賃金。同じ給料で買えるモノやサービスの量が増えたか減ったかを示す。毎月勤労統計では持家の帰属家賃を除く物価で割った値が主に使われる。
- 所定内給与 — 毎月決まって払われる給与のうち、残業代などを除いた部分。基本給や家族手当がここに入る。賞与や残業の増減に左右されにくく、賃上げが定着しているかを見る物差しになる。
- 持家の帰属家賃 — 持ち家を借家とみなした場合に払うはずの家賃。実際には支払いが生じないため、厚労省は賃金の購買力を測るときにこれを物価から除いている。
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