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📡 Signal|米政府、Bitfinex が権利を争う12,267 BTC を2年7か月ぶりに移動
米政府が押収した Bitfinex 関連の12,267 BTC が2年7か月ぶりに移動。2025年の裁判資料で Bitfinex が権利を主張する資産として名指しされた塊だ。
2016年の Bitfinex のハッキングに関連して米政府が押収したビットコインのうち、1つのアドレスに置かれていた12,267 BTC が10月8日、2年7か月ぶりに動いた。当時の価格で約10億ドル分にあたり、70分ほどのうちに全額が新しい2つのアドレスへ移った。
mempool.space:起点の送金 (ブロック970496)mempool.space
この12,267 BTC は、2025年4月の連邦地裁の意見書で、Bitfinex 側が「ハッキング当時に自社が管理していたウォレットへ直接たどれる」と主張した資産の1つとして名指しされている。持ち主の決着がついていない塊が動いたという点で、政府の通常の保管の移し替えとは読み方が違う。
初期報は8日の速報で伝えた。本稿では、ブロックチェーン上の記録と裁判資料で、何が動き、何が分かっていないかを確かめる。
チェーン上の記録で見る移動
起点の送金は、協定世界時の10月8日13時33分 (日本時間22時33分) のブロック970496に記録された。分析会社 Arkham が米政府の押収資金と分類する送金元のアドレス bc1qkmk4…y0s から、12,267.02 BTC がほぼ全額で新しいアドレスへ、0.0012 BTC が別のアドレスへ送られている。少額の側は、送り先を確かめる試しの送金とみられる。
その後の約1時間で、12,267 BTC は数回に分けて、2つのアドレスに着いた。チェーン上の集計では、33pYK8…6cFk に6,000 BTC、3A18G8…4ya8 に約6,267 BTC が入り、どちらもその後に全額が別の場所へ送り出されている。この送金元のアドレスは、2024年2月28日に12,267.02 BTC をまとめて受け取ってから、一度も動いていなかった。
一方、同じ事件の押収資産の本体である約9万4,643 BTC のアドレスは、9日時点でも送金の記録がない。今回動いたのは、本体とは別に置かれていた塊だけだ。
「取引所には入っていない」は確かめきれない
報道の見立ては分かれた。CoinDesk などは売却の兆しは無いと伝え、一部の分析者は大手の保管業者 Coinbase のウォレットに届いたと伝えた。
チェーン上で確かめられるのは、2つの受け取り先が他のアドレスと同じ送金の中でまとめて使われ、取引件数の多い大型のアドレスへ集められたところまでだ。これは取引所や保管業者が、入金用のアドレスから本体のウォレットへ資金を集める時の典型的な形にあたる。ただし、その大型のアドレスの持ち主を公的に確かめる手段はない。米司法省と米連邦保安官局は、移動の目的を公表していない。
売却なのか、保管先の移し替えなのか、権利の決着に備えた準備なのか。いまの記録からは、どれとも決められない。
争いの対象になっている12,267 BTC
連邦地裁の2025年4月4日の意見書は、この事件の没収資産について、Bitfinex の専門家が当時の Bitfinex のウォレットに直接たどれるとした資産を並べている。そこには約9万4,643 BTC、約2,818 BTC と並んで、「約12,267.025 BTC」が明記されている。今回動いた塊と同じ量だ。
意見書は、資産の行き先を、第三者が権利を主張する付随的な没収手続きで決める立場を示した。Bitfinex のほか、元利用者を含む16の申立人も権利を主張している。
ここに、2025年3月6日の戦略的ビットコイン準備金の大統領令が重なる。準備金に入るのは、刑事や民事の没収手続きで「最終的に没収が確定した」ビットコインで、入ったものは「売却しない」とされた。同じ大統領令は、特定・確認できる犯罪被害者への返還や裁判所の命令による処分を例外として認めている。権利が争われている今回の塊は、準備金の「売らない」約束の外側にある可能性が高い。動いたこと自体が、売却よりも、返還や処分に向けた手続きの進み具合を映しているかもしれない。
ビットコインでは、政府や大口の保有者の送金が、売り圧力の予告として受け止められやすい。今回は、その前に、誰の資産なのかが法廷で決まっていない点を確かめる必要がある。
次に見るもの
確認先は2つある。1つは、ワシントンの連邦地裁の事件記録 (事件番号 1:23-cr-00239) で、付随的な没収手続きの決定や最終的な没収命令が出るかを見る。もう1つは、受け取り先の大型アドレスからの次の送金だ。数日のうちに、保管用のアドレスへ移るのか、売買の場へ出るのかが、チェーン上の記録に残る。
ことば
- 付随的な没収手続き — 刑事事件で没収された資産について、被告以外の第三者が自分の権利を主張するための裁判手続き。今回の塊の行き先も、この手続きで決まる。
- 戦略的ビットコイン準備金 — 2025年3月の大統領令で設けられた、米政府のビットコインの保有枠。没収が確定したビットコインを入れ、売却しない資産として持つ。
- 入金用アドレス — 取引所や保管業者が利用者ごとに用意する受け取り口。届いた資金は、まとめて本体のウォレットへ集められるのが一般的だ。
🔗 一次ソース
mempool.space:起点の送金 (ブロック970496)mempool.space
mempool.space:送金元の押収アドレスmempool.space
mempool.space:受け取り先 (6,000 BTC)mempool.space
mempool.space:受け取り先 (約6,267 BTC)mempool.space
mempool.space:未移動の押収アドレス (約9万4,643 BTC)mempool.space
米連邦地裁 (ワシントン):2025年4月4日の意見書 (govinfo)govinfo.gov
ホワイトハウス:戦略的ビットコイン準備金の大統領令 (2025年3月6日)The White House- CoinDesk:米政府が約10億ドル分の BTC を移動coindesk.com