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📡 Signal|JPYC、Ratio と円ステーブルコインの両替・送金で覚書
JPYC はステーブルコインの FX 基盤 Ratio と覚書を結んだ。米ドル→円の回廊を持つ事業者と円の発行体が、アジアの両替と送金での協力を探る。
日本円ステーブルコイン「JPYC」を発行する JPYC 株式会社は10月8日、ステーブルコインの外国為替 (FX) と決済の基盤を手がける Ratio と覚書 (MOU) を結んだ。両社がそれぞれの公式 X で公表した。協力を探る領域は、ステーブルコインどうしの FX、国境をまたぐ決済、デジタル資産のインフラの3つだ。
国内の決済で手数料の競争に入った円ステーブルコインが、もう一方の出口であるアジアの送金と両替に向けて最初の接点を持った。中身はまだ「協力を探る」段階で、取引の開始や金額は何も決まっていない。それでも、ドル建てが大半を占めるステーブルコインの両替の流れに、規制下の円建てを差し込む経路として見ておく価値がある。
Ratio は何をする会社か
Ratio は、ステーブルコインを使った FX と決済を、銀行や決済事業者、送金業者、取引所などに裏方として提供する企業間向けの基盤だ。CertiK が8月に公開した解説によると、2026年2月に発表され、香港の Consensus 前後に一般公開された。決済の環境には Kaia のブロックチェーンを使い、相手先とは API で接続する。
同じ解説は、Ratio の最初の通貨の組み合わせを米ドル→インドネシア・ルピアと米ドル→円としている。マレーシア・リンギット、香港ドル、韓国ウォン、フィリピン・ペソ、タイ・バーツへの拡張も計画にあるという。米ドル→円の回廊を持つ事業者が、円側の発行体と組んだ形になる。
Ratio は X の告知で、JPYC を「金融庁の枠組みで認められた円ステーブルコインの発行体」と紹介し、規制下のステーブルコインでアジアの先頭を行くのは日本だと書いた。JPYC 側は「アジアにおける円ステーブルコインの可能性を広げていくための、大きな一歩」とした。
円がドルの両替の流れに入るには何が要るか
ステーブルコインの市場は米ドル建てが大半で、アジアの国境をまたぐ送金でも、まず米ドル建てに替えてから現地通貨に戻す流れが中心になっている。ここに円建てを差し込むには、円のステーブルコインとドル建てを、価格差を小さく、すぐに交換できる相手が要る。Ratio のような FX の基盤は、その相手の役を担う。
JPYC の総発行量は8月末時点で約77億円 (同社公表)。米ドル建ての主要なステーブルコインと比べれば桁が違う。両替の流れで円建てが使われるには、発行量よりも先に、交換の窓口がどれだけの深さで値段を出せるかが問われる。今回の覚書は、その窓口の1つ目を探りにいくものだ。
国内では10月9日、JPYC が公正取引委員会への情報提供を公表し、カードの加盟店規約と JPYC 払いの割引をめぐって既存の決済と競う姿勢を示した。国内の店頭と、アジアの両替。円ステーブルコインの出口が同じ週に2方向へ伸びた。
次に見るもの
確認できる次の一点は、Ratio が米ドル→円の回廊で JPYC を実際に扱い始めるかどうかだ。発表の場は両社の公式 X と、JPYC の PR TIMES のリリース一覧になる。覚書が個別の契約や試験運用に進めば、そこで対象の通貨と取引の形が初めて具体になる。
ことば
- 覚書 (MOU) — 協力の方向性を確認する文書。通常は法的な拘束力を持たず、具体的な契約や事業の開始はその後の交渉で決まる。今回の JPYC と Ratio の合意もこの段階にある。
- ステーブルコイン FX — 異なる法定通貨に連動するステーブルコインどうしを交換すること。銀行の外為取引を通さずにブロックチェーン上で両替を完結させる仕組みで、アジアの送金で米ドル建てを経由する流れの置き換えが狙われている。
- Kaia — 韓国のカカオ系と LINE 系のブロックチェーンが統合して生まれたチェーン。Ratio はこのチェーンを決済の環境に使っている。
🔗 一次ソース
- Ratio 公式 X の告知(2026年10月8日) https://x.com/RatioFX/status/2108029685963841803
- JPYC 公式 X の告知(2026年10月8日) https://x.com/jpyc_official/status/2108085042459398248
Asia's Cross-Border Money Is Moving Onchain(CertiK・2026年8月30日)www-cn.certik.com
JPYC:公正取引委員会への情報提供の公表(PR TIMES・2026年10月9日)プレスリリース・ニュースリリース配信シェアNo.1|PR TIMES