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SNAPSHOT 2026-10-12 07:30 JST

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📡 Signal|THORChain、Bitget の遮断要請に「ビットコインと同じ」と反論

Bitget が THORChain に攻撃者アドレスへのサービス拒否を要請。THORChain は「ビットコインと同じく分散的」と応じ、GoPlus はしきい値署名の構造を根拠に反論した。

LiveMakers Editorial Desk

📡 Signal|THORChain、Bitget の遮断要請に「ビットコインと同じ」と反論

Bitget の CEO グレイシー・チェン氏は 9 月 26 日、THORChain に対し、同社から資金を持ち出した攻撃者のアドレスへのサービスを拒否するよう正式に求めた。THORChain は同じ日のうちに「ビットコインやイーサリアム、BNB Chain と同じく分散的でパーミッションレスだ」と応じ、翌 27 日にはセキュリティ企業 GoPlus Security が「THORChain は厳密な意味で分散的だったことは一度もない」と反論した。

論点は盗難資金そのものより、どの層が中立なインフラを名乗れるかにある。取引を並べるだけの層と、送金に署名する層を同じ言葉で呼べるのか。クロスチェーン・スワップ (異なるチェーン間の資産交換) が盗難資金の出口として繰り返し使われるなか、その線引きが被害企業とプロトコルの公開の応酬になった。

3 億 8,750 万ドルの流出、その一部が THORChain へ

Bitget は 9 月 25 日 14 時 05 分 (UTC) の更新で、攻撃者の管理するアドレスへ移った資産を 3 億 8,750 万ドルとし、当初の 3 億 5,160 万ドルから引き上げた。対象は XRP、ETH、USDT、ZEC、USDC、XAUt、BNB、AVAX、TRX などで、Ethereum と複数の EVM チェーン、XRP Ledger、Zcash、TRON にまたがる。業界の協力で一部を凍結できたとし、凍結・回収できた額の 5% を報奨金として支払う制度も設けた。

流出資金の出口の一つが THORChain だった。GoPlus の追跡では、Bitget 由来の資金のうち約 101.5 BTC (約 850 万ドル) がすでに THORChain 経由で出ており、別に約 2,763 万 XRP (約 4,300 万ドル) がビットコインへのスワップの途中にある。これは GoPlus の分析であり、Bitget も THORChain もこの数字を確認していない。

攻撃者の特定も途中にある。チェン氏は IP アドレスや VPN の痕跡が北朝鮮系の集団の手口と重なると述べたと報じられているが、Bitget の公式の更新には攻撃者の名前は書かれていない。

「ビットコインと同じ」は、署名する者の違いを越えられるか

THORChain の主張は、盗難資金が通るという点ではビットコインもイーサリアムも同じだ、というものだ。同社の投稿は「既知の盗難資金を扱うとき、ビットコインやイーサリアム、BNB Chain はどんな責任を負うべきか」と問い返して終わっている。

GoPlus が突いたのは保管の構造だ。ビットコインやイーサリアムでは、利用者の資産を動かせるのは利用者自身の鍵だけで、マイナーやバリデータは取引を並べてブロックに入れるにとどまる。最悪でも特定の取引を入れないことしかできず、他人のコインを送ることはできない。

THORChain は違う。公式ドキュメントによれば、資産はノードが共同で管理する金庫 (Asgard ヴォールト) に入り、外へ送るには、しきい値署名 (TSS) で過半を大きく超えるノードの署名がそろう必要がある。ヴォールトは 20 ノードごとに分けられ、ノードの顔ぶれはおよそ 2 日半 (4 万 3,200 ブロック) ごとに入れ替わる。スワップの途中、資金はこの署名者の集団が握っている。GoPlus はこれを「分散した中央集権的な保管」と呼び、盗難資金の払い出しは中立な順序付けではなく、能動的な署名行為だと位置づけた。

止める仕組みも設計に入っている。ネットワークの設定は、稼働中ノードの 3 分の 2 の合意で変えられる (Mimir と呼ぶノード投票)。GoPlus は、1 ノードでネットワーク全体を一時停止できる運用手順や、特定のチェーンだけ送金の署名を止める投票があると指摘した。

止められる設計と、止めない選択

前例はすでにある。2025 年 2 月の Bybit の事件で、米連邦捜査局 (FBI) は約 15 億ドルの窃取を北朝鮮の TraderTraitor によるものと公式に認定し、ブリッジや DeFi サービスを含む事業者に、関連アドレスとの取引を遮断するよう呼びかけた。ブロックチェーン分析企業 MistTrack は、Bybit の盗難資金のうち約 12 億ドルが THORChain を通ったと伝えられていると指摘している。GoPlus によれば、このとき THORChain のバリデータは北朝鮮系資金の差し止めを一度は投票で決め、その後に撤回した。

この経緯が今回の応酬の地盤になっている。止める道具が無いなら「ビットコインと同じ」は成り立つ。道具があり、使うかどうかをノードが投票で決められる以上、使わないことも一つの判断になる。THORChain の投稿は、その判断には触れず、問いを基盤チェーンの側へ返した。

分散性は、誰も止められないことを意味する言葉として使われてきた。THORChain は、止められるが止めないことを選ぶ層として見られ始めている。前者なら責任の問いは空を切るが、後者には運営者と同じ問いが向かう。FBI の呼びかけが名指ししたのは取引所だけでなく、ブリッジと DeFi だった。

次に確認するもの

見るべき先は二つある。一つは Bitget のサポートセンターに載る次のインシデント更新で、凍結・回収できた額と、THORChain を経由した資金の扱いが数字で書かれるかどうか。もう一つは THORChain の Mimir の設定値で、今週中にビットコイン側の送金署名の停止や、特定アドレスの拒否に関わる投票が動くかどうか。後者が動けば、THORChain は自らを基盤チェーンと同列には置かなかったことになる。

ことば

  • しきい値署名 (TSS) — 1 本の鍵を複数の参加者に分けて持たせ、決められた数以上が協力したときだけ署名が成立する方式。単独の鍵の盗難に強い一方、署名者の集団が送金を実行する主体になる。
  • Mimir — THORChain のノードが投票でネットワークの設定値を変える仕組み。取引の停止や特定チェーンの署名停止にも使われ、今回はこの止める余地の有無が争点になった。
  • TraderTraitor — FBI が北朝鮮の悪意あるサイバー集団として名指しする呼称。2025 年 2 月の Bybit からの約 15 億ドルの窃取をこの集団によるものと公式に認定した。

🔗 一次ソース

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