Signal
📡 Signal|米中の関税引き下げ表、米国77品目・中国1,619品目
米中貿易委員会の品目表が出た。米国側は玩具や小型家電など77品目、中国側は農産品から石炭・医療機器まで1,619品目。大豆は種用の一行だけで、発効日はまだ決まっていない。
ホワイトハウスは9月27日、米中貿易委員会 (Board of Trade) が関税を引き下げる品目の表を承認したとして、米中それぞれの品目表と委員会の運営規則を公表した。米国が中国から輸入する品目は米国関税表の77品目、中国が米国から輸入する品目は中国関税表の1,619品目で、どちらも2024年の貿易額で約300億ドルにあたる。
ホワイトハウス「U.S.-China Board of Trade」(2026年9月27日)The White House
9月25日の段階では「300億ドルずつ」という金額しか出ていなかった枠組みに、品目の番号が入った。品目数で20倍の差がついた二つの表は、米中がそれぞれ何を守り、何を差し出したかを番号単位で見せている。一方、何%下がり、いつ効くのかは、この公表でもまだ決まっていない。
米国側の77品目は、中国にしか頼れない消費財
米国の表は、花火、プラスチックの食器、寝具とテーブルリネン、電気毛布、ミキサーやアイロン、電子レンジ、コーヒーメーカー、トースターといった家庭用の小型家電、クリスマスの電飾と飾り、ベビー用のハイチェアやバウンサー、チャイルドシート、玩具、ビリヤード用品、遊戯用のカード、テニスボール、釣り針、魔法瓶で埋まっている。
グリア通商代表は27日の声明で、これらを「米国が一般に他の国から輸入していない」家庭用品や玩具だと説明した。関税を下げても、米国内や同盟国の生産者と競合しにくい品目を選んだということだ。
表の細部には「非敏感品」の線引きがそのまま出ている。玩具の項目には、無線、Wi-Fi、イーサネット、Bluetooth に対応する製品を除くという但し書きが付いた。通信機能を持つ玩具は、同じ玩具の番号の中でも対象から外れる。安全保障にかかわる品目を交渉から外すという6月以来の設計が、玩具の一行にまで及んでいる。
中国側の1,619品目は、農産品から石炭と医療機器まで
中国の表は、生きた牛や豚から始まり、小麦、トウモロコシ、ソルガム、食肉、乳製品、植物油、無煙炭や原料炭などの石炭、針葉樹の丸太、X線の検査装置や歯科用の椅子まで、2026年版の中国関税表の番号で1,619行に及ぶ。グリア氏は、この表が米国の対中輸出のおよそ30%に市場アクセスの改善をもたらすと述べた。
同じ300億ドルでも品目数に20倍の差があるのは、両国の輸入の形が違うからだ。米国が中国から買う消費財は、玩具や小型家電のように一つの番号に大きな輸入額が乗る。中国が米国から買う側は、農産品と原材料が多くの番号に薄く広がっている。米国は少ない番号で金額を満たし、中国は多くの番号を開けて同じ金額に届かせた。
目立つ例外は大豆だ。中国の表に入った大豆は「種用大豆」の一行だけで、搾油や食品に回るそれ以外の大豆の番号は載っていない。ロイターは、米国産大豆には10%の追加関税が残ると報じている。大豆は、この関税の枠組みとは別の線で扱われ続ける。
「90%超で最恵国税率」と、まだ決まっていないこと
中国商務省は28日、双方の対象品の90%を超える品目について、互いに上乗せしてきた追加関税をすべて外し、最恵国税率を適用すると説明した。米中は9月20日から23日にニューヨークとワシントンで開いた第8回の経済・貿易協議で、委員会の運営規則と品目表で合意していたという。
ただし発効の日付は、米中どちらの文書にも書かれていない。米中が合意した付託事項は、品目表に基づく今後の関税引き下げを「それぞれの国内の法的手続きに従って決定し、実施する」としている。中国商務省も、双方がそれぞれ国内の手続きを終えた後に「同時に実施する」と書くにとどめた。米国側の77品目について、どの追加関税をどこまで外すかも示されていない。
運営規則は、委員会の体制も定めた。米国側はベッセント財務長官とグリア通商代表、中国側は何立峰副首相が責任者となり、その下の次官級が少なくとも四半期に1回会合を開く。品目の入れ替えは年1回より頻繁には行わない想定で、対象品目の拡大も次官級で協議できる。委員会の下には農産品の作業部会を置き、2026年末までに初会合を開く。
次に見るもの
最初の確認先は、米通商代表部 (USTR) が官報 (Federal Register) に出す告示だ。77品目のどの追加関税が外れ、いつ発効するかは、告示の税率と日付で初めて確定する。6月の意見募集も官報から始まった仕組みであり、ここで日付が出れば、年末の商戦期に玩具や家電の輸入価格へ届くかどうかが見えてくる。
中国側は、国務院関税税則委員会の公告が同じ役割を持つ。1,619品目の実施日と、大豆がこの枠の外で扱われ続けるかは、公告と、年末までに開く農産品作業部会の初会合で確かめられる。
ことば
- 関税番号 — 輸出入品を分類する6〜10桁の番号。米国は HTSUS、中国は自国の関税表を使う。今回の品目表は番号で対象を指定しており、同じ「玩具」でも番号と但し書きで対象かどうかが決まる。
- 最恵国税率 — WTO 加盟国に一律で適用される通常の関税率。米中が互いに上乗せしてきた追加関税を外すと、この税率に戻る。中国商務省は対象品の90%超でこの水準に戻すと説明した。
- 付託事項 (Terms of Reference) — 委員会や作業部会が何をどう扱うかを定めた取り決め文書。今回は「300億ドルずつ」の枠組みについて、品目の評価方法 (2024年の貿易額) や見直しの頻度 (年1回まで) を定めた。
🔗 一次ソース
ホワイトハウス「U.S.-China Board of Trade」(2026年9月27日)The White House- 米国側の品目表 (U.S. Import List・PDF)whitehouse.gov
- 中国側の品目表 (中国进口产品清单・PDF)whitehouse.gov
- 付託事項「Terms of Reference for the 30-for-30 Framework」(PDF)whitehouse.gov
- 運営規則「Working Procedures for the U.S.-China Board of Trade」(PDF)whitehouse.gov
米通商代表部 グリア通商代表の声明 (2026年9月27日)United States Trade Representative- 中国商務省の公表を伝える光明網 (2026年9月28日)m.gmw.cn
- ロイター配信 (Investing.com・2026年9月28日)investing.com