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SNAPSHOT 2026-10-12 05:03 JST

Signal

📡 Signal|金融庁、国債と日銀当座預金のオンチェーン化を省庁横断で検討

金融庁が「AI時代を見据えたオンチェーン金融フォーラム」を設置。日本銀行の当座預金オンチェーン対応は年内取りまとめ、財務省は国債等のトークン化を検討する。中間整理は2027年初。

LiveMakers 編集デスク

📡 Signal|金融庁、国債と日銀当座預金のオンチェーン化を省庁横断で検討

金融庁が9月25日、「AI時代を見据えたオンチェーン金融フォーラム」を立ち上げ、第1回を9月30日14時から中央合同庁舎第7号館で開くと公表した。議題は金融庁の所管を超える。財務省の国債トークン化、日本銀行の当座預金のオンチェーン対応、デジタル庁の公金給付まで、決済の土台そのものを省庁横断で組み替える枠組みになっている。中間整理の目標は2027年初。設計図はすでに公開されている。

AI時代を見据えたオンチェーン金融フォーラム(金融庁・2026年9月25日公表)fsa.go.jp

一つのフォーラムと、二つの研究会

公表資料が示す構造は三層だ。上にフォーラムを置き、その下に性格の違う研究会を二つ並べる。

フォーラム本体が扱うのは「オンチェーン金融の社会実装・AI等の健全な利活用の推進」。具体項目として、官民連携でのロードマップ作成、決済高度化プロジェクト(PIP)の継続・拡大、新たな決済システムの構築の促進、国際的なオンチェーン金融実装に向けた連携・発信、日銀当座預金のオンチェーン対応の5つが挙がっている。

研究会の一つ目は「デジタル・分散型金融への対応のあり方等に関する研究会」。様々な資産のトークン化、ステーブルコイン、そしてDEX(運営者を介さずに売買が成立する分散型取引所)を含むDeFiやウォレット提供業者について、制度の在り方を点検・検討する。

二つ目は「AI等の健全な利活用の推進に関する研究会」。金融機関におけるAI等の健全な利活用、AIの浸透に応じた市場・金融機関の監督の在り方、そして量子コンピュータによる危殆化リスクの把握が対象だ。暗号技術が将来破られる可能性を、AI利活用と同じ研究会に置いている。

所管は資産運用・保険監督局の暗号資産・ステーブルコイン課デジタル決済企画室。第1回の議事は「開会/関係省庁等報告/討議/閉会」で、一般傍聴は受け付けず、議事概要は会議後に金融庁サイトで公表される。

各省庁に割り振られた宿題

このフォーラムの実質は、他省庁と日本銀行の進捗を横に並べて追いかける点にある。7月21日の「成長投資を促進するための金融戦略」には、フォローアップ対象がそれぞれの主体ごとに書き分けられている。

  • 日本銀行:日銀当座預金のオンチェーン対応について、年内に実装に向けた論点整理と、実現に向けた道筋に関する検討状況を取りまとめる
  • 財務省:国債等のトークン化対応、および元利払いを投資家のニーズに応じてオンチェーン決済を可能とすることの検討を進める
  • デジタル庁:オンチェーン決済のプログラマビリティを活かしたステーブルコインやトークン化預金の公金給付への活用可能性を検討する
  • 内閣官房デジタル行財政改革会議事務局:ステーブルコインの金銭に準じた利用可能性等について、諸法令における取扱いを整理・明確化する省庁横断的な検討を進める
  • 業界団体:トークン化預金等が物流・商流とデータ連携する時代における銀行業務の在り方を検討する

中央銀行の当座預金と国債という、金融システムのもっとも底の二つが同じリストに並んでいる。

ここが本筋だ。決済の最終段と国の債務証券をオンチェーンに接続する検討が、期限つきで動いている。

出発点は「エージェンティックコマース」

なぜ今この体制なのか。7月の金融戦略はその理由を、AIエージェントの側から書き起こしている。

「AIエージェントが自律的に経済活動を遂行する『エージェンティックコマース』の時代では、商取引は言語・時差に関係なく行われるようになり、決済もこれに対応することが求められる」。そして、対応できなかった場合として「海外決済基盤への依存が強まり、我が国の競争力低下や経済安全保障上のリスクを高めるおそれがある」と続く。

そこから導かれる要件は3つだ。24時間365日連続稼働、商流・物流と繋がるプログラマビリティ、決済基盤として信頼される安定性・安全性。この3条件を満たす手段としてブロックチェーン技術が名指しされ、既存の金融インフラ(オフチェーン金融)との「ベストミックス」が鍵とされている。既存の銀行間決済を置き換える話ではなく、機能分担を組み替える話として設計されている。

円建てステーブルコインを、国外で使えるようにする

国際面の記述は具体的だ。円建てステーブルコインが海外でも用いられるには他の通貨建てとの互換性確保が重要であり、そのために価値の保全や償還ルール等について各国間の規制・監督におけるイコールフッティングの確立へ向けた当局間対話を行う、という筋書きになっている。

あわせて、アジアとの官民政策対話の枠組みを新設し、クロスボーダー送金の高度化について技術面・法令面の課題と取組事例を共有するとしている。円建てステーブルコインを、国外で受け取ってもらえる通貨単位として設計しようとしている。

金融庁は、民間の資金決済全体の在り方について主導的役割を果たすため、自庁の組織拡充も検討するとしている。制度をつくる側の人員配置が論点に入っているのは、この検討が単発の研究会で終わらない前提で置かれているということだ。

次に見るもの

  • 9月30日の第1回は傍聴なし。確認できるのは会議後に金融庁サイトへ出る議事概要で、「関係省庁等報告」に日本銀行と財務省がどこまで具体的な進捗を出すかが最初の目盛りになる
  • 日本銀行の「年内」取りまとめ。日銀当座預金のオンチェーン対応の論点整理が、実装の道筋をどこまで書くか
  • 2027年初の中間整理。3つの観点(社会実装/環境整備/AI等への適応)のうち、制度改正が必要な項目がどれとして名指しされるか

決済の土台を触る検討は、動いている間はニュースになりにくい。省庁ごとの期限だけが、進んでいるかどうかを外から測る手がかりになる。

ことば

  • オンチェーン金融 — 送金や証券決済をブロックチェーン上で完結させる仕組み。既存の銀行システム(オフチェーン)と対比して使われ、金融庁は置き換えではなく両者の組み合わせを前提にしている。
  • エージェンティックコマース — AIエージェントが人の逐次判断を待たずに発注・支払いまで行う商取引。時差も言語も止まらないため、決済側に24時間稼働とプログラム制御が要求される。
  • 日銀当座預金 — 金融機関が日本銀行に預ける決済用の口座。銀行間の資金移動はここで最終的に完了するため、決済システムの最終段にあたる。

🔗 一次ソース

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