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📡 Signal|SMBC日興、Uniswap v4 で規制対応の流動性プールを開発
SMBC日興と Nethermind が Uniswap Labs・Base・Nyx Foundation と覚書。Uniswap v4 のフックで AML/CFT を組み込んだ規制対応プール「DeFi Gateway」を2027年半ばめどに開発する。
SMBC日興証券と英国のブロックチェーン開発会社 Nethermind は10月2日、Uniswap Labs、Coinbase Technologies (Base)、一般社団法人 Nyx Foundation と覚書を結び、日本の投資家向けに分散型金融 (DeFi) の入口となる流動性供給プロトコルと独自の流動性プール「DeFi Gateway」を共同で開発すると発表した。開発完了のめどは2027年半ばで、進捗は金融庁をはじめとする規制当局と共有しながら進める。
国内の大手証券が、自動マーケットメーカー (AMM) に流動性を出す側の設計に入ったことになる。規制の要件をどこに書き込むかについて、5者はトークンでもアプリでもなく、取引の場であるプールの側という答えを出している。
3月の構想に、Uniswap と Base が加わった
SMBC日興と Nethermind は2026年3月6日、日本の投資家が AMM への流動性提供を通じてオンチェーン金融に参加するための構想を公表していた。今回の覚書は、その構想を具体的な開発計画に移す段階で、Uniswap Labs、Base、Nyx Foundation が参画した形だ。
役割分担は次のとおり。
- SMBC日興証券 (共同プロジェクトリード) — 規制当局との対話を主導し、コンプライアンス、リスクモデル、ポートフォリオ運用の専門知識を出す
- Nethermind (共同プロジェクトリード) — 技術設計と開発を主導する。スマートコントラクトのセキュリティ、AI の統合、トークンとプロトコルのデューデリジェンス、Uniswap v4 のフック戦略の検証を担う
- Uniswap Labs — プロトコルの統合と流動性供給の戦略について技術的な知見を出す
- Base — Base 上での展開を支援し、AI エージェント向け決済基盤 x402 などの統合に技術的なフィードバックを出す
- Nyx Foundation — マーケットメイク戦略とフック構造の設計・最適化を助言する
発表文は Base を「DeFi 分野において最大規模の TVL (預かり資産総額) を有する Ethereum Layer 2」と紹介している。Uniswap は Ethereum 本体と複数のレイヤー2で動いており、今回の展開先として名指しされたのは Base のエコシステムだ。
開発するのは3つ
発表文が挙げる開発項目は次の3つだ。
- 検証可能かつ再現可能な AI で動く「エージェント型ボールト」と、直感的なユーザーインターフェース。ボールトは、投資判断を支援するか、投資家に代わって投資判断を実行する AI 活用型の仕組みと定義されている
- Uniswap v4 のフック機能を使い、AML/CFT (マネーロンダリング・テロ資金供与対策) と投資家保護の仕組みを組み込んだ規制対応型の流動性プールの公開フレームワーク
- ステーブルコインや実世界資産 (RWA) を含むデジタル資産について、流動性供給を広げる資産運用戦略
規制要件を、プールに書き込む
中心は2番目だ。Uniswap v4 のフックは、プールごとに独自のロジックを差し込める仕組みで、スワップや流動性の追加・削除の前後に任意の処理を走らせられる。AML/CFT の確認や投資家保護の条件をそこに置けば、規制要件は資産が実際に交換されるその場で効く。
9月に Injective が稼働させた規制対応トークン規格は、移転制限をトークンそのものに埋め込む型だった。今回の設計は条件の置き場所が違う。トークンは汎用のまま、取引の場であるプールが「誰と、どの条件で」を判定する。発行体が特定の規格を選ばなくても、プールを運営する側で規制対応を組める。証券会社が自ら管理できる層に規制の判定を置く設計だ。
しかもこのプールは、公開フレームワークとして開発される。同じ型を使えば、SMBC日興以外の事業者もプールを組める枠組みだ。
2027年半ばまでに決まること
覚書の段階なので、発表文には手数料、対象となる投資家の範囲、扱う資産の具体名は書かれていない。ステーブルコインと RWA が対象に挙がる一方、どの資産がプールに入るかは規制当局との対話の結果に左右される。
発表文はこの開発の目的の一つを「日本における DeFi に関する適切な規制の枠組みについての議論を支援する」ことに置いている。DeFi Gateway は商品であると同時に、規制の議論に持ち込む実装例でもある。2027年半ばに出てくるのは、日本の規制当局が DeFi のどこまでを、どの条件で認めるかの試金石だ。
確認先は2つある。一つは SMBC日興のニュースリリース面で、フックの公開フレームワークがいつ、仕様書とソースコードのどちらの形で出るか。もう一つは金融庁の金融審議会の資料で、DeFi の規制枠組みの議論に本件の進捗が参照されるかどうかだ。2027年半ばの完了を待たずに、最初の公開物が出る時期をまず見る。
ことば
- Uniswap v4 フック — Uniswap の最新版で導入された、流動性プールごとに独自の処理を組み込める仕組み。スワップや流動性の出し入れの前後に条件判定などを差し込める。今回は AML/CFT の組み込み先として使われる。
- AMM (自動マーケットメーカー) — 板で売り手と買い手を突き合わせる代わりに、プールに預けた2種類の資産の比率で価格を決めて交換する仕組み。流動性を預けた側は手数料収入を得るが、価格変動による損失も負う。
- x402 — HTTP の 402 応答 (Payment Required) を使い、AI エージェントが人手を介さずにステーブルコインで少額決済を行うための公開の決済プロトコル。今回 Base が統合を後押しする技術として挙がっている。
🔗 一次ソース
