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📡 Signal|NASA とエネルギー省、宇宙原子力の包括覚書に署名
NASA とエネルギー省が宇宙原子力の電源と推進で協力する覚書に署名。11月1日発効で、2028年の宇宙用原子炉と2030年の月面炉の目標へ工程を通しでつなぐ。
NASA と米エネルギー省は10月8日、宇宙での原子力による電源と推進の開発で協力する覚書「Accelerating American Leadership in Space Nuclear Power and Propulsion」に署名した。研究と燃料の製造から、試験、打ち上げへの組み込み、運用までを一続きで協力する枠組みで、11月1日に発効する。
覚書そのものに金額や数値の目標は書かれていない。中身を決めるのは、すでに日付の付いた3つの計画だ。2028年の打ち上げを予定する宇宙用原子炉、その先の月面の原子炉、そして2030年までに月面炉を打ち上げ可能にするという大統領令の目標だ。
署名はホワイトハウスの科学サミットで
署名したのは、NASA のアイザックマン長官とライト・エネルギー長官だ。場所は、ホワイトハウスの科学技術政策局がワシントンで開いた科学サミットの会場で、同じ日には政府の科学プロジェクト「Genesis Mission」への産業界の拠出も発表された。
アイザックマン長官は、NASA は「原子力の NASA の時代」に入ると述べ、原子力によって、これまでより遠くへ行き、長く運用し、より高性能な宇宙機と観測機器を送り出せるようになると語った。ライト長官は、エネルギー省は NASA と組んで米国の宇宙ミッションが未踏の領域へ届くよう支えると述べた。
NASA の発表によると、覚書は、核分裂による電源と、放射性同位体を使う電源の両方で、既存の協力を強める。両機関の取り組み全体を通じて、安全への妥協しない姿勢を中心の柱に置くとも書いている。
日付の付いた3つの計画
1つ目は、2028年に打ち上げる予定の「Space Reactor-1 Freedom」だ。NASA はこの打ち上げで、原子力による推進が研究室の段階から深宇宙での実運用に進むと位置づける。
2つ目は、月面基地に電力を届ける核分裂電源「Lunar Reactor-1」だ。月の夜や日の当たらない場所でも、居住施設、通信、観測機器、探査車、現地の資源の利用を支える電源として想定されている。NASA はこの2つを、国内の宇宙原子力産業の基盤になると書く。
3つ目が、2025年12月18日の大統領令「Ensuring American Space Superiority」だ。この大統領令は NASA に対し、2030年までに打ち上げ可能な月面原子炉を開発するよう指示している。2030年は月面で動かす期限ではなく、打ち上げられる状態にする期限だ。
放射性同位体の電源でも、具体的な計画が並ぶ。2028年に打ち上げる土星の衛星タイタンの探査機 Dragonfly は、原子力電池1基と、24個の小型の放射性同位体ヒーターで電力と熱をまかなう。欧州宇宙機関の火星探査車 Rosalind Franklin にも、同じ種類のヒーター24個を提供する計画だ。
燃料と試験を一つの枠に
宇宙で原子力を使う計画は、燃料の供給、地上での試験、打ち上げの安全審査と、それぞれ別の機関と工程にまたがる。NASA が宇宙機と運用を担い、エネルギー省が燃料と原子炉の技術を持つ。今回の覚書の意味は、その継ぎ目を一つの枠組みに収め、計画の日付に向けて工程を通しで回せるようにすることにある。
2028年の打ち上げまでは2年あまりで、大統領令の2030年の目標まではおよそ4年だ。原子炉の燃料の確保と地上での試験は時間のかかる工程で、覚書が「研究と燃料の製造」から「運用」までを一続きで対象にしたのは、この時間の短さと無関係ではない。
次に見るもの
最初の節目は、覚書が発効する11月1日だ。その後は、NASA の Space Reactor-1 Freedom の計画で、燃料の調達先と地上での試験の日程がいつ示されるかを見る。NASA の「Ignition」計画のページが、原子力に関する発表の窓口になっている。
ことば
- 核分裂電源 — ウランなどの核分裂の熱から電気を作る電源。太陽光が届かない月の夜や遠い惑星でも、長く安定して電力を出せる。
- 放射性同位体の電源 — 放射性物質が自然に崩壊するときの熱を電気や保温に使う装置。出力は小さいが、可動部がなく長持ちするため探査機で使われてきた。
- 覚書 (MOU) — 機関どうしが協力の範囲や役割を確認する文書。予算や契約そのものではなく、協力の枠組みを定める。
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