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📡 Signal|FRB の家計調査、返済が遅れた家計が 12.2% から 19.6% に
FRB の 2025 年消費者金融調査で、直近 1 年に返済が遅れた家計は 19.6% に。数字の定義と、借入の入口ではなく返済の側に負担が集まった中身を報告書の原文で確かめる。
FRB (米連邦準備制度理事会) は 10 月 9 日、3 年に 1 度の家計調査「消費者金融調査 (SCF)」の 2025 年版を公表した。直近 1 年にローンの返済が遅れたことがある家計は 19.6% で、前回 2022 年の 12.2% から大きく上がった。2 か月以上遅れた家計も 4.9% から 8.2% になった。
FRB: 2025 年消費者金融調査の公表 (2026 年 10 月 9 日)Board of Governors of the Federal Reserve System
所得と資産は伸びている。実質の所得の中央値は 7% 増え、純資産の中央値も 2% 増えた。それでも返済の遅れは、1 回の調査のあいだに急に広がった。金利が上がった 3 年間のコストが、家計全体ではなく一部の家計に偏って乗っている。ドル金利の高止まりが実体経済のどこで効いているかを、FRB 自身の一次データが示した形だ。
本サイトの速報 (米家計の2割近くが返済遅延、2010年以来の高水準) の続報として、報告書の原文から数字の定義と中身を確かめる。
「19.6%」は何を数えた数字か
報告書の説明では、調査の時点で何らかの借入がある家計に「過去 1 年のあいだに、ローンの返済が遅れたことがあるか」を尋ね、その割合を全家計に対して示している。借入残高に占める延滞の比率でも、90 日以上の延滞率でもない。
速報では「2025 年末までの 3 年間に」と伝えたが、質問が尋ねているのは直近 1 年の経験だ。3 年は調査と調査の間隔にあたる。
過去の調査と並べると、今回の跳ね方がはっきりする。
- 2013 年: 14.9% (2 か月以上の遅れ 6.9%)
- 2016 年: 13.5% (同 5.8%)
- 2019 年: 12.3% (同 4.6%)
- 2022 年: 12.2% (同 4.9%)
- 2025 年: 19.6% (同 8.2%)
10 年近く 12〜15% の帯にあった数字が、1 回の調査で 7 ポイント余り上がった。
「2010 年以来の高水準」という言い方にも注意が要る。報告書の要約は「2010 年の調査以来、どの時点よりも返済が遅れがち」と書く一方、本文の該当箇所は「過去 4 回の調査、つまり 2016 年以来で最も高い」としている。同じ報告書の中で起点がずれているので、確かに言えるのは「少なくとも 2013 年以降の 5 回の調査で最も高い」ところまでだ。
借りられないのではなく、返すのが苦しい
同じ調査のほかの数字を見ると、どこに負担が集まっているかが分かる。
返済額が所得の 40% を超える家計は 6.5% から 8.6% に増えた。借入のある家計の返済負担 (返済額 ÷ 所得) の中央値は 15.4% で、2022 年から 2.0 ポイント上がっている。報告書はこの上昇を、住宅ローンと消費者ローンの金利上昇と結びつけて説明している。
一方で、借入を断られた家計の割合は 10.1% で、2022 年と変わらない。断られるのを恐れて申し込みをやめた家計は 12.9% から 13.5% へと、わずかに増えた程度だ。過去 5 年の自己破産の経験も 1.4% でほぼ横ばいだった。
借りる入口はそれほど狭まっていない。狭まったのは、借りたあとの出口のほうだ。
変化が大きいのは、新しい借り方だった。後払い決済 (BNPL) の残高がある家計は 7% から 12% に増え、報告書は「その他の分割払いの借入」の伸びのほぼすべてを BNPL で説明している。残高の中央値は 400 ドルと小さい。高金利の短期ローンであるペイデイローンの利用も 2.1% から 2.6% に増えた。小口で、手軽で、返済の管理が見えにくい借り方が広がった 3 年間でもあった。
次に見るもの
SCF は 3 年に 1 度なので、次の数字は 2028 年まで出ない。その間の変化を追うには、四半期ごとのデータを見ることになる。
確認できる次の一点は、NY 連銀の「家計債務・信用報告」の 2026 年 7〜9 月期分だ。例年 11 月上旬に公表され、クレジットカードや自動車ローンが新たに延滞に入った比率が出る。SCF が示した「返済の遅れ」が、残高ベースの延滞にも広がっているかはそこで分かる。その手前の 10 月 27〜28 日の FOMC (連邦公開市場委員会) では、会合後の議長会見で家計の返済負担に触れるかどうかを見る。
ことば
- 消費者金融調査 (SCF) — FRB が 3 年ごとに行う米国家計の資産と負債の調査。所得・資産・借入・返済の状況を同じ家計について細かく尋ねるため、家計の財務を最も広く描く公式統計とされる。2025 年版は 10 月 9 日に公表された。
- 返済負担比率 (DTI の一種) — 毎月の借入の返済額が所得に占める割合。40% を超えると返済の余力が乏しいとみなされることが多く、金利が上がると変動金利の借入から先に上がる。
- 後払い決済 (BNPL) — 買い物の代金を 4〜6 回程度の分割で払う仕組み。少額の買い物に使われやすく、信用情報に載りにくかったため、家計の借入の実態が見えにくくなる要因とされる。
🔗 一次ソース