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📡 Signal|フランス下院委が可決した暗号資産課税、本会議は政府原案から
仏下院財政委がステーブルコインへの交換の課税繰り延べ廃止と暗号資産の出国税を可決。ただ歳入部分の否決で、本会議は政府原案から審議する。
フランス国民議会 (下院) の財政委員会は10月7日と8日、2027年度予算法案 (PLF 2027) の審査で、暗号資産の課税を強める修正案を2本可決した。ステーブルコインへの交換を課税の対象にする案と、国外へ移住する人の暗号資産の含み益に課税する「出国税」の案だ。ところが委員会は9日夜、予算法案の歳入部分そのものを31対3で否決した。
この結果、本会議は委員会の修正を含まない政府の原案から審議を始める。2本の修正案は、本会議で改めて提出され、可決されなければ法案に残らない。ここまでに決まったのは委員会段階の意思表示で、税の中身も新しい税率ではなく、課税の繰り延べをやめる仕組みだ。歳入部分の否決は11日の 速報 で伝えた。
ステーブルコイン: 新税ではなく「繰り延べ」の廃止
可決された修正案 I-CF1826 は、共産党系の左派会派 (GDR) のニコラ・サンス議員ら17人が出した。フランスの税法 (租税一般法典150 VH bis 条) では、暗号資産どうしの交換で生じた利益への課税は、法定通貨に換えるまで繰り延べられる。修正案は、交換で受け取るのが「電子マネー・トークン」の場合、この繰り延べを適用しないとした。
電子マネー・トークンは、EU の暗号資産規則 MiCA (3条1項7号) の定義で、一つの法定通貨の価値に連動するステーブルコインを指す。ユーロ建てか米ドル建てかは問わない。提出理由は、ステーブルコインを通貨と同じに扱うべきだとし、いまの扱いを「法の穴」と呼んで、英国とイタリアの例を挙げた。適用は2027年1月1日以降の交換からで、税率を新しく定めるものではない。ビットコインをステーブルコインに換えた時点で、利益に既存の税率がかかるようになる。
出国税: 80万ユーロ超の暗号資産の含み益
もう1本の I-CF1822 も、同じ GDR の議員らの提出だ。移住前の10年のうち6年以上フランスに住んでいた人が税務上の居住地を国外へ移すとき、世帯の暗号資産の評価額が80万ユーロを超えていれば、含み益に課税する。修正案は、株式などの有価証券に対する出国税と同じ基準額だと説明している。税率や納税の猶予・免除の規定も既存の出国税を使い、2027年1月1日以降の移住に適用する。
同じ7日には、大統領派 (EPR) のダニエル・ラバロンヌ議員が出した、暗号資産の損失を10年間繰り越して利益と相殺できるようにする修正案 I-CF798 も可決された。修正案は、フランスのデジタル資産の業界団体 ADAN と調整したと明記している。課税の強化と緩和が、同じ委員会で並んで通った。
歳入部分の否決で、修正は本会議に引き継がれない
議会の放送局 LCP によると、委員会は9日夜、PLF 2027 の歳入部分を反対31、賛成3、棄権2で否決した。賛成したのは大統領派の EPR だけだった。予算の総括報告者のフィリップ・ジュヴァン議員は、委員会の修正で財政赤字が約100億ユーロ悪化すると見積もっていた。
フランス憲法42条は、予算法案の第一読会の本会議では、政府が提出した原案を審議すると定めている。委員会の修正は、本会議で議員が改めて提出し、可決されて初めて法案に入る。委員会と本会議では出席する議員も票の構図も違い、ステーブルコインの繰り延べ廃止と出国税が同じように通る保証はない。
予算をめぐる票の割れ方は、市場にも映っている。フランス国債の利回りは2002年以来の水準に近づいており、10日の 速報 で伝えた。委員会の修正が赤字を広げるという見積もりと、予算全体がまとまらない構図が、暗号資産の課税論議の背景にある。
次に見るもの
確認先は、国民議会のサイトにある PLF 2027 (法案3210号) の本会議向け修正案の一覧だ。週明けから始まる本会議の審議で、I-CF1826 と I-CF1822 と同じ内容の修正案が再提出されるか、そして採決で残るかを見る。ステーブルコインへの交換を課税の対象にする案が本会議で通れば、フランスでは暗号資産の利益が、法定通貨に戻さなくてもステーブルコインに移した時点で課税されるようになる。
ことば
- 電子マネー・トークン (EMT) — EU の暗号資産規則 MiCA が定めるステーブルコインの一種で、ユーロや米ドルなど一つの法定通貨の価値に連動するもの。発行には電子マネー機関か銀行の認可がいる。
- 出国税 — 国外へ移住する人が持つ資産の含み益に、移住の時点で課税する仕組み。フランスでは株式などに既にあり、修正案はこれを暗号資産に広げる。
- 第一読会 — 法案を両院が順に審議する手続きの最初の段階。フランスの予算法案は、まず国民議会の本会議で政府の原案をもとに審議される。
🔗 一次ソース
- 国民議会: 修正案 I-CF1826 (ステーブルコインへの交換の課税繰り延べ廃止・2026年10月7日可決)assemblee-nationale.fr
- 国民議会: 修正案 I-CF1822 (暗号資産の出国税・2026年10月8日可決)assemblee-nationale.fr
- 国民議会: 修正案 I-CF798 (暗号資産の損失の10年繰越)assemblee-nationale.fr
LCP: 財政委員会が PLF 2027 の歳入部分を否決 (2026年10月9日)LCP - Assemblée Nationale- 憲法院: 1958年憲法 全文 (42条)Conseil constitutionnel
- Cointelegraph の X 投稿 (2026年10月9日)