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SNAPSHOT 2026-10-16 05:03 JST

Signal

📡 Signal|zkSync、GPU 1 枚で Ethereum ブロックの実時間証明

zkSync の Airbender Prime が GPU 1 枚で Ethereum の 7,200 ブロックの 99% を 10 秒未満で証明。Vitalik Buterin 氏は速さの競争は決着とし、zkEVM の最優先を形式検証による安全性に置いた。

LiveMakers 編集デスク

📡 Signal|zkSync、GPU 1 枚で Ethereum ブロックの実時間証明

zkSync を開発する Matter Labs は10月13日、Ethereum のブロックを証明する新しい仕組み Airbender Prime を公開し、GPU 1 枚で Ethereum 本体 (L1) のブロックを実時間で証明できたと発表した。2日後の15日、Vitalik Buterin 氏はこの成果を受けて、zkEVM の「速さの競争は決着した」と書き、次の最優先は安全性だとした。

ゼロ知識証明で Ethereum を検証するという計画は、長く速さが足りるかが問いだった。その問いに区切りがついたと Ethereum の共同創設者が言ったことで、開発の焦点は、証明を速く作れるかから、その証明を信じてよいかに移る。

GPU 1 枚、7,200 ブロック、99% が 10 秒未満

zkSync の公式ブログによると、NVIDIA の RTX PRO 6000 Blackwell 1 枚で、Ethereum のメインネットの連続した 7,200 ブロックを証明した。99% のブロックは証明に必要なデータの準備を含めて 1 ブロックあたり 10 秒未満で終わり、すべてのブロックが 12 秒未満で終わった。12 秒は Ethereum で 1 つのブロックが作られる間隔に当たる。

zkSync は、知る限り GPU 1 枚で実時間の証明を示した初めての Ethereum 向けの証明器だとしている。2 枚と 4 枚の構成もあり、証明を集める公開の場 ETHproofs では、平均の証明時間、GPU の効率、費用で首位に立つと主張する。

仕組みは、ハッシュを使う STARK と呼ばれる方式で、量子計算機への耐性を意識して設計した。オープンな命令セット RISC-V を土台にし、単独で動く検証器を備える。L1 向けの証明では、楕円曲線の BN254 の代わりに Keccak-256 を使う形にするという。

ブログには、消費電力やハードウェアの費用、安全性の強さを示すビット数は書かれていない。ブログの最後は「さらに大きな発表が控えている」と結んでいる。

Ethereum Foundation の目標のうち、満たしたのは一つ

Ethereum Foundation は2025年7月、実時間の証明に求める条件を公表している。メインネットのブロックの 99% (P99) を 10 秒以内に証明すること、自前で置く機材の費用を 10 万ドル以下、電力を 10kW 以下にすること、コードを完全に公開すること、128 ビット以上の安全性、そして信頼できる初期設定を要らない 300KiB 以下の証明だ。

zkSync の「99% が 10 秒未満」は、このうち時間の条件に重なる。費用、電力、安全性の条件を満たすかは、今回のブログからは確かめられない。Buterin 氏が速さの次に安全性を挙げたのは、この残りの条件と同じ方向を指している。

Buterin 氏が挙げた「形式検証」の 3 点

Buterin 氏は15日の投稿で、安全性を高めるとは、次の 3 点を形式的に検証することだと書いた。形式検証は、プログラムが仕様どおりに動くことを数学的に証明する手法だ。

  • 証明の回路が表す計算 (算術化) が、Ethereum の仕様と同じであること
  • ブロックに含まれる計算量 (ガス) あたりの証明コストに、厳密な上限があること
  • 証明の仕組みそのものが安全であること

2 点目は、証明が遅すぎて作れないブロックを攻撃者が意図的に作れないようにする条件だ。証明が L1 の検証の役を担うなら、どんなブロックでも時間内に証明できる保証が要る。1 点目と 3 点目は、速い証明が正しい計算の証明であることを、数学で裏づける条件に当たる。

確かめ方の違いが、チェーンの広げ方を決める

Bitcoin は、すべてのノードが同じ取引を自分で再実行して確かめる設計を保ち、ブロックの容量を抑えることで、誰でもノードを動かせる状態を守ってきた。Ethereum が目指すのは、取引の再実行を証明の確認に置き換え、ブロックの容量を広げても家庭の機材で検証できる形だ。

GPU 1 枚で実時間の証明ができるなら、証明を作る側の機材は一部の大きな事業者に限られなくなる。その先で Ethereum は、ブロックあたりの計算量を大きく増やす余地を得る。ただ、その設計は証明が正しいことを前提にしている。Buterin 氏が速さを「決着」と呼び、安全性に全力を移せと書いたのは、この前提が崩れたときの被害が、一つのアプリではなくチェーン全体に及ぶからだ。

次に見るもの

確認できる次の一点は、ETHproofs の公開の比較表だ。Airbender Prime の 1 枚構成の数値が第三者の場に載るか、そして費用と電力が Ethereum Foundation の条件に収まるかを見る。zkSync が予告した「さらに大きな発表」で、Airbender Prime のコードの公開や形式検証への取り組みが示されるかも確認点になる。

ことば

  • zkEVM — Ethereum の計算を、ゼロ知識証明で「正しく実行された」と短い証明にまとめる仕組み。受け取った側は、計算をやり直さずに証明を確かめるだけで済む。
  • 実時間の証明 — ブロックが作られる間隔の中で、そのブロックの証明を作り終えること。Ethereum の間隔は 12 秒で、Ethereum Foundation は 99% のブロックを 10 秒以内とする目標を置いた。
  • 算術化 — プログラムの計算を、証明の仕組みが扱える数式の形に書き換える工程。ここで仕様とずれると、速く正しい証明が、別の計算の証明になってしまう。

🔗 一次ソース

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