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📡 Signal|SpaceX の7〜9月期、売上146億ドルの過半が AI 部門
SpaceX の7〜9月期は売上 145.8 億ドル (161% 増)・純利益 44.0 億ドル。売上の 52% を AI の SI 部門が稼ぎ、同部門の設備投資は 1 四半期で 164 億ドルに達した。

SpaceX (米ナスダック上場・ティッカー SPCX) は10月20日、2026年7〜9月期の決算を発表した。売上高は 145.8 億ドルで前年同期の 55.8 億ドルから 161% 増え、純利益は 44.0 億ドルと、前年同期の 10.5 億ドルの赤字から黒字に転じた。
数字の中身を分けると、この会社はもうロケットの会社として読めない。売上の 52% にあたる 75.6 億ドルを、AI を担う「Super Intelligence (SI)」部門が稼いだ。一方で SI 部門の設備投資は 1 四半期で 164 億ドルと同部門の売上の 2 倍を超え、純利益の大きさには営業の外から来た利益も多く含まれている。上場 2 四半期目の決算は、AI に資金を注ぐ会社としての姿を初めてはっきり見せた。初期報は21日の 速報 で伝えた。
3 部門の売上を並べる
SEC (米証券取引委員会) に提出された決算資料 (8-K の添付資料) から、部門ごとの売上を前年同期と並べる。
- SI (AI): 75.6 億ドル (前年同期 8.1 億ドル・830% 増)
- Connectivity (Starlink): 52.5 億ドル (同 31.0 億ドル・69% 増)
- Space (打ち上げ・宇宙船): 17.7 億ドル (同 16.7 億ドル・6% 増)
SI 部門の伸びについて、会社はクラウドの計算資源を貸す契約の稼働、8月14日に買収を終えたプログラミング支援 AI の Cursor、生成 AI「Grok」の利用拡大の 3 つを挙げている。Cursor だけで9月末までに 6.08 億ドルの売上を加えた。SpaceX は2月に xAI (Grok の開発元・X の親会社) を傘下に収めており、SI 部門はその事業を引き継いでいる。計算設備の容量は9月末で 1.7 ギガワットと、1 年前の 0.6 ギガワットからほぼ 3 倍になった。
Starlink も伸びが加速している。家庭向けの契約者は9月末で 1,360 万件と、6月末から 160 万件、1 年前から 640 万件増えた。ただし家庭向けの 1 契約あたりの月額収入は 69 ドルで、前年同期の 83 ドルを下回っている。件数は増え、1 件あたりの単価は下がった形だ。法人・政府向けの売上は前年同期から 91% 増えた。
打ち上げの Space 部門は売上の 1 割余りにとどまり、営業損益は 700 万ドルの赤字だった。期中には Starship の 14 回目の飛行で初めて軌道に到達し、Starlink の新型衛星 V3 を 26 基運んだ。
純利益 44 億ドルのうち、営業で稼いだのは 28 億ドル
純利益の大きさは、そのまま本業の力とは読めない。損益計算書を上から追うと、営業利益は 27.9 億ドルで、ここに受取利息 8.7 億ドル (前年同期 1.6 億ドル)、その他の収益 10.3 億ドル、税金の戻り 3.9 億ドルが加わり、利払い 6.8 億ドルを差し引いて純利益 44.0 億ドルになる。
受取利息が前年の 5 倍を超えたのは、6月の新規株式公開 (IPO) で手にした資金が大きいためだ。2026年4〜6月期の四半期報告書によると、IPO では 1 株 135 ドルで 6.4 億株を売り、手取りは 856.8 億ドルだった。9月末の現金と現金同等物は 512.9 億ドル、別に市場性のある有価証券が 385.6 億ドルある。1〜9月の 9 か月を通すと、純損益は 4.1 億ドルの赤字のままだ。
1 四半期で 196 億ドルを投じる会社
決算で最も大きな数字は設備投資だ。7〜9月期の総額は 195.9 億ドルで、そのうち 164.4 億ドルが SI 部門に向かった。1〜9月の SI 部門の設備投資は 400 億ドルに達する。会社は計算設備「COLOSSUS II」の建設を続けていると説明している。
AI の計算資源に巨額を投じる動きは、マイクロソフトやアルファベットなど米大手 IT に共通する流れだが、SpaceX の場合は売上の 1.3 倍を 1 四半期で投じている。IPO で集めた資金がそのまま計算設備に変わっていく構図で、SI 部門の売上がこの投資に見合う速さで伸び続けるかが、株価の評価を左右する。SI 部門の営業利益は 4.31 億ドルで、Cursor 買収に伴う株式報酬 12 億ドルを差し引いた後の数字だ。
次に見るもの
確認先は SEC の EDGAR に提出される SpaceX の 7〜9 月期の四半期報告書 (10-Q) だ。決算資料には業績見通しの数字がなく、会社は説明会で話すとしていた。10-Q では、SI 部門のクラウド契約の相手と期間、IPO 資金の残りと投資計画の関係がどこまで書かれるかを見る。次の大きな節目は 2027 年初めに出る 10〜12 月期決算で、SI 部門の売上が設備投資の伸びに追いつくかが数字で問われる。
ことば
- Super Intelligence (SI) 部門 — SpaceX が AI 事業をまとめた部門。2月に傘下に入れた xAI の Grok、8月に買収した Cursor、計算資源を貸すクラウド契約を含む。7〜9月期に初めて売上の過半を占めた。
- 8-K — 米上場企業が重要な出来事を SEC に届け出る臨時報告書。決算発表の資料も添付資料 (Exhibit 99.1) としてここに載る。数字の一次の確認先になる。
- 設備投資 (Capex) — 工場・設備・計算機などの長く使う資産に投じる支出。SpaceX では衛星やロケットに加え、AI 用の計算設備が大半を占めるようになった。
🔗 一次ソース