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📡 Signal|Lightning Labs、ノード不要の決済キット Wavelength を一般公開
Lightning Labs が Wavelength をメインネットで一般公開。ノード不要・自己保管の Ark 方式で、2 週間ごとの更新と 1 口座 30 万 sats の上限が条件。

Lightning Labs は10月23日、アプリや AI エージェントにビットコインの支払い機能を組み込むための開発キット Wavelength を、メインネットで誰でも使える形にした。同日の v0.2.0 は招待なしで参加できる初めての公開版で、ノードの運用もチャネルの管理も要らず、鍵は最初から利用者の側にある。
Lightning で支払いを受けるには、これまでノードを立て、チャネルを開き、受け取り用の流動性を用意する必要があった。Wavelength はその手間を運営側の調整サーバーに寄せ、代わりに「2 週間ごとの更新」「1 口座 30 万 sats までの上限」という条件を利用者に求める。手放したものと引き換えたものが、公式ブログとリリースノートに数字で書かれている。
ノードの代わりに、Ark 方式の残高を持つ
Wavelength の開発者向け資料は、自らを「自己保管の Bitcoin・Lightning・Ark のウォレット開発キット」と説明する。利用者の残高は VTXO (仮想的な取引出力) として持ち、オンチェーンの入金はその後の「ラウンド」で VTXO に組み込まれる。Lightning の支払いは、Lightning と Ark の間のアトミックスワップ (片方だけが成立することのない交換) で実現している。公式ブログはこの決済層を「Ark に似た (Ark-like)」仕組みと呼んでいる。
組み込み先は幅広い。資料には、Web 向け、React Native、iOS・Android 向けの Swift・Kotlin のラッパー、サーバー向けの gRPC・REST の API が並ぶ。
AI エージェント向けの道具も最初から入っている。コマンドラインの wavecli は wavecli mcp serve でウォレットを MCP (AI がツールを呼ぶための共通の手順) のツールとして公開でき、wavecli bakemacaroon で「受け取りだけ」に権限を絞った認証情報を発行できる。API の利用ごとに少額を払う L402 にも対応する。シードやパスワードの入力はコマンドラインに留め、エージェントとのやり取りには流さない設計だ。
自己保管の条件は「2 週間ごと」
公式ブログによると、調整サーバーが利用者の資金を一方的に動かすことはない。exit コマンドを使えば、誰の許可もなく、いつでも残高をビットコインのブロックチェーンに戻せる。自分で出る場合の費用は、ビットコインのネットワーク手数料だけだ。
ただし資金は「おおむね 2 週間ごと」に更新が要る。各期間の更新の窓のあいだに一度でもウォレットを開けば自動で更新され、アプリやエージェントに組み込んだウォレットなら利用者が気づくことはほとんどない。窓を過ぎてもオフラインのままだと、資金は失われないが、取り戻すにはサーバーと協力する手順を踏むことになる。この場合は一方的には出られない。
v0.2.0 のリリースノートは、この更新の扱いを明確にした。自動の更新は運営側が設ける無料の窓を待ち、手数料のかかる見積もりは拒む。有料の更新は明示的に頼んだ時だけ行い、資金を守るための緊急の退出は、必要ならオンチェーンの手数料を払ってでも進む。
手数料と上限が示す、使いどころ
Lightning の送金と受け取りには、それぞれ 0.25% のサービス料が Lightning の通常の経路手数料に上乗せされる。オンチェーンとの出し入れには、変動する少額のサービス料がかかる。
今回の版の上限は、1 口座あたり 30 万 sats (0.003 BTC)、VTXO 1 つあたり 5 万 sats だ。公式ブログは、まだアルファ版だと書いている。ステーブルコインへの対応は「近日」とされ、まだ使えない。
上限と手数料の組み合わせは、貯蓄の置き場ではなく、アプリやエージェントが日々の少額の支払いに使う財布を想定した設計に見える。ノードを持てない開発者にとって、Lightning の受け取り口を数回の API 呼び出しで持てることの意味は大きい。その一方で、利用者の資金の流れは調整サーバーのラウンドに依存する。運営側の手続きを信頼しなくても資金を取り戻せる経路が、実際の混雑や手数料の高い時期にどこまで機能するかは、メインネットの運用でしか確かめられない。
配布バイナリは Go 1.27.3 でビルドされている。10月19日に Go が出した証明書検証の修正を含む版で、Lightning Labs は同じ週に lnd などの主要ソフトも同じ版で作り直していた。
上限が動くときが、次の節目
確認先は GitHub の lightninglabs/wavelength のリリース一覧だ。次の版のリリースノートで、1 口座 30 万 sats の上限の引き上げ、アルファの表記の扱い、ステーブルコイン対応の有無を見る。もう 1 つは公式ブログの次の記事で、調整サーバーの運営の仕組みや、更新の窓を逃した資金の回復手順がどこまで具体的に書かれるかが、この財布にどれだけの額を置けるかの判断材料になる。
ことば
- Ark — ビットコインの上で、運営側の調整サーバーがまとめて取引を処理しつつ、利用者は自分の鍵で残高を持ち、いざとなれば単独でブロックチェーンに戻れるようにする仕組み。チャネルの管理が要らない点が Lightning と違う。
- VTXO — Ark 方式で利用者が持つ「仮想的な取引出力」。普段はブロックチェーンの外にあり、必要な時に本物の取引として書き出せる。期限があるため、定期的な更新が要る。
- L402 — HTTP の 402 応答 (支払いが必要) と Lightning の支払いを組み合わせ、登録や API キーなしで、使った分だけ払ってデータや API を使えるようにする手順。
🔗 一次ソース
- Lightning Labs 公式 X の告知 (10月23日)
- Lightning Labs 公式ブログ: Wavelength のメインネット公開 (10月23日・手数料・上限・2 週間ごとの更新・アルファ版)lightning.engineering
GitHub: wavelength v0.2.0 リリースノート (招待なしの初の公開メインネット版・無料の自動更新・Go 1.27.3)GitHub
Wavelength 開発者向け資料 (VTXO・ラウンド・Lightning と Ark のスワップ・対応環境)Wavelength
Bitcoin Optech: Ark の解説ページBitcoin Optech