SNAPSHOT
BTC/USD$81,770-0.9%
ETH/USD$2,422.70-1.5%
Coinbase(perp)$173.24-5.2%
S&P 500(perp)7,651.10-1.2%
米テック100(perp)29,198.00-2.4%
日経225(perp)63,327-3.3%
EUR/USD(perp)1.1241+0.2%
USD/JPY(perp)157.980-0.0%
Gold(perp)$4,167.60-0.0%
WTI(perp)$98.57+2.6%
米10年金利5.09%-0.2%
BTCボラティリティ(BVIV)40.14-1.1%
審査状態: auto_collectedソース: collected_liveas-of 07:30 JSTパケットID: alt20_2026101707トップの市場価格は Hyperliquid 上の先物(perp)価格です(米10年金利は米財務省)
SNAPSHOT 2026-10-17 07:30 JST

Weekly Brief

LVM Weekly Brief #11|物価上振れの週に米10年債15bp低下

米国の CPI は前年比 3.7%、PPI は 6.3% と物価が上振れた週に、AI 株安で資金が長い国債へ逃げ、米 10 年債は 5.09% へ 15bp 下がった。ビットコインは週間 1% 安にとどまり、MSCI は暗号資産を抱える企業の指数除外の基準を決めた。トークン化米国債は 1.7% 減の 146 億 9,000 万ドル。

LiveMakers 編集デスク

LVM Weekly Brief #11|物価上振れの週に米10年債15bp低下

Executive Summary

米国の 9 月の消費者物価は前年比 3.7%、翌日の生産者物価は 6.3% と、物価の数字が 2 日続けて上に振れた週に、米 10 年債の利回りは 10 月 9 日の 5.24% から 16 日の 5.09% へ 15bp (ベーシスポイント = 0.01%) 下がった。 売られたのは AI と半導体の株で、10 月 15 日には日経平均が 3,318 円安と下げ幅で歴代 3 位を記録し、資金は長い年限の米国債へ逃げた。

米労働統計局「Consumer Price Index – September 2026」(2026-10-14・前年比 3.7%、コア 2.6%、ガソリン前月比 9.1% を確認)Bureau of Labor Statistics

暗号資産は、株より小さく下げた。 17 日朝の先物価格で、米テック100 連動先物は前週比 5.45%、日経225 連動先物は 8.01% 下げたのに対し、ビットコインは 0.96%、イーサリアムは 2.55% の下げにとどまった。米国の現物ビットコイン ETF からの流出は、報道されている集計で 12〜15 日の 4 営業日に差し引き約 1 億 4,600 万ドルと、前週の約 7 億ドルから細っている。

その裏で、暗号資産への入口の付け替えが同じ週に進んだ。 株価指数の MSCI は 10 月 15 日、事業の実体が乏しく投資の保有が中心の企業を指数から外す基準を正式に決め、ビットコインを財務に抱える上場企業の指数経由の買いに期限を置いた。同じ週に、欧州銀行監督機構は USDC を MiCA のもとで初めて「重要な」電子マネートークンに指定し、日本の 3 メガバンクはステーブルコインの共同発行と国境を越える決済の実証を終えたと公表した。

RWA では、利回りの器が縮み、決済の線路が延びた。 rwa.xyz の集計でトークン化米国債は 149 億 5,000 万ドルから 146 億 9,000 万ドルへ 1.7% 減った。一方で Ripple は機関投資家向けに 100 を超える市場に連動する RWA の無期限スワップを始め、Mastercard と BVNK、Visa は法定通貨とステーブルコインを同じ基盤で動かす仕組みを本番に移した。

17 日朝の 12 指標は次のとおり。暗号資産・株価指数・為替・商品は先物 (perp) の価格で、24 時間比は取得時点の 24 時間の変化。前週比は 10 日朝との比較だ。

指標17 日朝24 時間比前週比
BTC81,736.8 ドル−0.64%−0.96%
ETH2,419.0 ドル−1.64%−2.55%
Coinbase(COIN 連動先物)173.7 ドル−4.80%−3.68%
S&P 500 連動先物7,656.7−1.05%−1.98%
米テック100 連動先物29,224−2.28%−5.45%
日経225 連動先物63,538−2.69%−8.01%
EUR/USD1.1241+0.16%+0.32%
USD/JPY (ECB 参照レート)158.02+0.03%−0.15%
金 (連動先物)4,167.6 ドル−0.04%−0.60%
WTI 原油 (連動先物)98.824 ドル+2.99%+8.42%
米 10 年金利 (米財務省)5.09%−1bp−15bp
BTC ボラティリティ (BVIV)40.149−1.35%+5.56%

Macro Lane

物価は川上ほど強く上がった。 米労働統計局によると、9 月の消費者物価指数 (CPI) は前月比 0.6%、前年比 3.7% の上昇で、食品とエネルギーを除くコアは前月比 0.3%、前年比 2.6%。押し上げたのはガソリンで、前月比 9.1% 上がった。15 日の生産者物価指数 (PPI) は最終需要で前月比 1.3%、前年比 6.3%。エネルギーは前月比 10.8%、ガソリンは 20.3% 上がり、食品・エネルギー・小売マージンを除くコアも前月比 0.5%、前年比 5.0% だった。原油の高さが、企業間の取引の段階で先に数字になっている。

消費と生産は弱っていない。米国勢調査局の 9 月の小売売上高は 7,450 億ドル、前月比 0.8% 増で、8 月分は 1.1% 増から 1.3% 増へ上方修正された。FRB の集計で 9 月の鉱工業生産は前月比 0.7% 増、設備稼働率は 76.9% だった。物価が上がり、消費も生産も続いている。前号で見た議事要旨の「年内にもう一度の利上げ」を退ける数字は、今週は一つも出ていない。

それでも長い金利は下がった。 財務省の日次利回りを前号の 10 月 9 日と並べると、下がり方は年限が長いほど大きい。

年限10/910/16変化
3 か月4.25%4.26%+1bp
2 年4.80%4.74%−6bp
5 年5.02%4.89%−13bp
10 年5.24%5.09%−15bp
20 年5.65%5.47%−18bp
30 年5.60%5.43%−17bp

大きく動いたのは 15 日で、10 年債は前日の 5.19% から 5.10% へ 9bp 下がった。PPI の上振れが出た日に、アジアの株安を受けて長い年限が買われた形だ。2 年と 10 年の差は 44bp から 35bp へ縮んだ。3 か月物は 4.26% で動かず、利上げの織り込みが乗る短い年限と、株から逃げた資金が向かう長い年限で、景色が分かれている。

FRB のウォーシュ議長は 16 日、バンコクで開かれた IMF の会合で、AI への支出は供給より先に需要を押し上げる「ショック」だと述べ、年内に残る会合での判断の示唆は避けたと報じられた。次の連邦公開市場委員会 (FOMC) は 10 月 27〜28 日。誘導目標は 9 月に 3.75〜4.00% へ引き上げられたままだ。

財政・流動性の定点。 FRB の総資産は 10 月 14 日時点で 6 兆 7,556 億ドル、前週比 80 億 7,900 万ドル増。直接保有する米国債は 4 兆 5,699 億ドルで 50 億ドル増え、準備預金は 3 兆 221 億ドルで 75 億ドル減った。ECB の 10 月 9 日時点の財務諸表では、総資産が 5 兆 9,439 億ユーロで前週比 39 億ユーロ減、金融政策目的の保有証券は 3 兆 3,163 億ユーロで 147 億ユーロ減った。日本銀行の営業毎旬報告は 10 月 10 日時点で資産合計 624 兆 6,327 億円、うち国債は 503 兆 6,000 億円程度。日銀の 9 月のマネーストック速報で M2 は前年比 2.0% 増。米国の M2 は今週新しい公表がなく、変化なし。

米国の政府債務は 10 月 8 日の 40 兆 3,053 億ドルから 15 日の 40 兆 3,883 億ドルへ、1 週間で 830 億ドル増えた。FRB は保有をほぼ横ばいに保ち、ECB と日銀は減らしている。政府の借り入れだけが週に数百億ドル単位で積み上がる組み合わせは、3 週続けて変わっていない。

日本の長い金利は、記録の翌週に下がった。 財務省の国債金利情報で、10 年債は 10 月 9 日の 3.027% から 15 日の 2.948% へ、30 年債は 4.085% から 4.024% へ下がった。月初の 10 年債 3.111%、30 年債 4.168% からは、それぞれ 16bp、14bp 低い。日米 10 年金利差は 9 日の 2.21 ポイントから 15 日の 2.15 ポイントへ縮み、ECB 参照レートのドル円は前週比 0.15% の円高で 158 円 02 銭だった。2 週続いた「金利差と逆向きの円」は、今週は金利差と同じ向きに戻った。

日銀は利上げの継続をもう一度言葉にした。植田総裁は 16 日の全国信用組合大会の挨拶 (内田副総裁が代読) で、基調的な物価上昇率が 2% を超えて上振れていくリスクがあるとし、引き続き政策金利を引き上げていくと述べた。物価を「2% 程度の水準で安定させていくという観点」が、これまでよりも重要になっているとも書いている。小枝審議委員は 15 日の熊本の講演で、中立金利の推計の幅を念頭に、政策金利を適時に調整すべきだと述べた。次の金融政策決定会合は 10 月 29〜30 日。ユーロは ECB 参照レートで 1.1206 ドルから 1.1253 ドルへ 0.42% 上げた。

規則の側では、銀行と暗号資産の距離を当局が縮めた。 欧州銀行監督機構 (EBA) は 10 月 14 日、MiCA のもとで届け出のあった 45 の電子マネートークンのうち、Circle の USDC を初めて「重要」に指定した。11 月 12 日からは、自己資本や準備資産、償還の計画を EBA が直接監督する。米通貨監督庁 (OCC) は同じ 14 日、監督する大手 9 行の調査で、2020 年から 2025 年 9 月まで、各行がデジタル資産を含む業種への取引を制限しうる方針を持っていたと公表した。グールド長官は 15 日、ステーブルコイン法 (GENIUS 法) を実施する OCC の最終規則を 10 月末までに出すと述べたと伝えられている。

米財務省の GENIUS 法第 3 条の規則案は 10 月 19 日に意見募集を締め切る。米商品先物取引委員会 (CFTC) が 10 月 5 日に出した暗号資産市場の登録区分の事前規則案 (ANPRM) は 13 日に官報に載り、60 日の意見募集が始まった。暗号資産市場構造法案 (CLARITY 法、H.R.3633) は上院で動きがないまま。ホワイトハウスの暗号資産担当の顧問パトリック・ウィット氏は職を離れたと The Block が報じている。法律が止まったまま、規則と監督で器を先に決める流れは、3 週目に入った。

Crypto Lane

ビットコインは週間 1.0% 安で、株の下げを吸収した。 CoinGecko の 7 日変化率は 17 日朝時点で 1.00% 安。7 日の値幅は 7 万 9,806 ドルから 8 万 4,231 ドルで、15 日に一時 8 万ドルを割った。Decrypt が引く CoinGlass の集計では、15 日の 24 時間の強制決済は 9 億 4,822 万ドルで、9 割が買い持ちの側だった。翌 16 日には 8 万 2,000 ドル台に戻している。17 日朝の先物価格は 8 万 1,736.8 ドルだ。

米国の現物ビットコイン ETF の資金フローは、集計事業者のデータを引いた報道で、12 日 6,540 万ドルの流出、13 日 1 億 7,560 万ドルの流入、14 日 2 億 6,146 万ドルの流出、15 日 506 万ドルの流入。4 営業日の合計は差し引き約 1 億 4,600 万ドルの流出で、前週の約 7 億ドルから小さくなった。BlackRock の公式ページで、IBIT の受益証券は 10 月 15 日時点で 14 億 1,968 万口と 8 日から 204 万口減り、1 口あたり純資産は 46.6352 ドルと 0.93% 上がった。16 日分を含む週の確定値は、次の集計で確かめる必要がある。

MSCI は、ビットコインを抱える上場企業の指数への道に線を引いた。 MSCI が 15 日に公表した協議の結果によると、まず事業用の資産が十分かを確かめ、足りない企業を業種を問わない 5 つの財務比率で判定し、4 つ以上に当てはまれば指数の対象外にする。今の構成銘柄は、直近 2 期の年次報告の両方で当てはまった場合に限って外す。最終の対象は 11 月 11 日に公表し、11 月 30 日の取引終了時点で適用する。暗号資産が総資産の 5 割以上を占める企業に続けてきた暫定の措置も、11 月の見直しで終わる。CoinDesk によると、5 月のデータでの試算では Strategy、Metaplanet、英国のウラン投資会社 Yellow Cake が該当し、JPMorgan は Strategy が外れた場合の流出を約 28 億ドルと見積もっている。

その Strategy は、ビットコインより優先株に資金を回し続けた。12 日に公表した資料によると、10 月 5〜11 日のビットコイン購入は 250 BTC、2,150 万ドル (平均 8 万 6,194 ドル) で、保有は 84 万 8,250 BTC。同じ期間に優先株 STRC の買い戻しに 1 億 9,240 万ドルを使った。ビットコインの購入額の約 9 倍で、前週の約 6 倍からさらに開いた。15 日には、STRC の 11 月の配当を年率 12% で日次に払うと決議し、10 月 28 日の臨時株主総会での承認を条件とした。

指数の外にいる会社は、もっと高い利回りで資金を集めた。Strive は 10 月 5〜9 日に 3,311 BTC を平均約 8 万 4,500 ドルで買い、保有を 3 万 2,773 BTC にしたと 13 日に開示した。15 日には、額面 100 ドルに年 15% の累積配当を営業日ごとに払う永久優先株 SATS を、1 株 90 ドルで 700 万株、総額約 6 億 3,000 万ドル売り出す条件を決めた。決済は 10 月 20 日、初回の配当は 11 月 9 日だ。3 か月物の国債利回りが 4.26% の週に、ビットコインを買う会社の資金の値段は 12〜15% に並んだ。

イーサリアムは週間 2.7% 安で、ETF からの流出が続いた。 現物イーサリアム ETF は報道ベースで 13 日 2,480 万ドルの流入、14 日 1 億 2,951 万ドル、15 日 6,022 万ドルの流出。BlackRock の iShares イーサリアム・トラスト (ETHA) は 15 日時点で受益証券 1 億 5,065 万口と 8 日から 560 万口減り、純資産は 83 億 5,864 万ドルと 3 億 2,330 万ドル減った。前号で 12.4% 減った純資産は、今週も 3.7% 減っている。

上場企業の BitMine は、10 月 11 日時点で 602 万 8,946 ETH を持ち、1 週間で 1 万 2,532 ETH 増やしたと公表した。ステーキングに回している量は 506 万 7,309 ETH で、前週から変わっていない。日付の決まった材料は前に進んだ。イーサリアム財団は 16 日、次の大型アップグレード Glamsterdam を 10 月 26 日 17 時 42 分 (協定世界時) に Hoodi テストネットで有効化すると発表した。同時にブロックのガスの上限を 2 億に引き上げる。メインネットの日付は決まっていない。

アルトは、ビットコインより大きく下げた。 CoinGecko の 7 日変化率で、ソラナは 4.4% 安、XRP は 6.0% 安、BNB は 2.5% 安。ソラナは、合意の仕組みを入れ替える Alpenglow を 10 月 21 日にメインネットベータで有効化すると開発会社 Anza が公式ページで示しており、確定までの時間は約 150 ミリ秒になる。香港では 13 日に 2 本目のソラナ現物 ETF が上場したと報じられた。日付のある材料を控えても、値動きはビットコインとイーサリアムの向きに従っている。

銀行と証券会社の口座が、暗号資産の入口になり始めた。 三菱UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行は 16 日、三菱UFJ信託銀行、TIS とともに、特定信託受益権として共同で発行するステーブルコインで、三菱商事の日本と海外の拠点の間の決済を想定した実証を 7 月 17〜23 日に行ったと公表した。金融庁の決済高度化プロジェクトの採択案件で、2026 年度中の実取引の開始をめざしている。米国ではチャールズ・シュワブが 16 日、暗号資産の口座を適格な個人顧客の全体に広げたと X で示したと報じられた。ドイツ銀行は数週間のうちに法人向けのビットコインとイーサの保管を始めると述べたと伝えられ、スタンダードチャータードは UAE の専門投資家に両通貨の現物取引を開いた。

📚 今週の論文

「Ripples in the Reserve Pool: Unveiling Liquidity Signals from the Federal Funds Market」(Sriya Anbil、Sebastian Infante、Zeynep Senyuz・FRB の FEDS Notes 掲載、ページに所属の記載なし・2026 年 10 月 16 日)。 フェデラル・ファンド市場の貸し手の 9 割超は連邦住宅貸付銀行 (FHLB) で、借り手の約 9 割は外国銀行の米国支店の裁定取引だと整理した。そのうえで、資産 100 億ドル未満の小さな銀行の預金が週に 100 億ドル増えると、銀行以外からの借り入れは 141% 増えて金利はほぼ動かず、銀行からの借り入れは 77% 増えて金利が 16bp 上がることを示した。銀行が貸し手のときの反応の大きさは、準備預金が少ない局面ほど強まる。

含意は、政策金利の実効値だけを見ても資金の詰まりは見えない点にある。著者は「誰が貸すかが、いくら貸すかと同じくらい重要」だとし、準備預金が減る局面ほど銀行どうしの貸し借りが資金繰りの体温計になると書いている。今週の H.4.1 で準備預金は 75 億ドル減った。短期の国債の器やステーブルコインの準備金がどこで資金を借りるかは、この市場の細かな値動きから先に見えてくる。

「Trustless Bitcoin Vaults」(Lukas Aumayr〔エディンバラ大学、Common Prefix〕、Xinshu Dong・Runchao Han〔Babylon Labs〕、Srivatsan Sridhar〔UC バークレー〕、David Tse〔Byzantine Research、スタンフォード大学〕、Nikhil Vanjani〔Byzantine Research〕・IACR ePrint 2026/2466・2026 年 10 月 14 日)。 ビットコインを他のチェーンで使う橋渡しは、これまで例外なく、引き出しを処理する中央の主体か委員会を信頼する必要があった。この研究は、預けた本人と決められた相手しか引き出せず、引き出しがアプリのスマートコントラクトの規則だけに従う「保管庫」を提案し、イーサリアムの Aave v4 でビットコインを担保に借り入れ、清算まで動かす形で組んだ。メインネットの実験では、預け入れの手数料が約 0.7 ドル、引き出しが最大 7.7 ドルだった。

含意は、ビットコインを「包んで」他のチェーンに出す際の信頼の置き場所が、橋の運営者からコードへ移せる見通しにある。ビットコインを財務に抱える企業が優先株で資金を集める週に、持ち主が手放さずにビットコインを担保として使う技術の側も前へ出た。担保としてのビットコインの使い道が広がるほど、その値段は保有企業の株価や指数の扱いだけでは決まらなくなる。

💰 今週の資金調達

株式市場で AI の銘柄が売られた週に、非上場と上場の増資では、AI を使う側の支出の管理と、計算基盤への転換に大きな資金が付いた。

  • Ramp — 企業の支出を管理する金融基盤で、AI への支出を管理する仕組みも出している。10 月 15 日、Dragoneer Investment Group がリードし、Thrive Capital、Founders Fund などが共同でリードする調達で 18 億 5,000 万ドルを集め、評価額は 600 億ドルになったと発表した。年換算の売上は 20 億ドルを超え、キャッシュフローは黒字。AI のコストを払う側の帳簿をまとめる会社に、AI 株安の週でも値が付いた
  • SWI Group — ユーロネクスト・アムステルダムに上場する持株会社で、傘下のビットコイン採掘拠点を AI・高性能計算の基盤へ転換している。10 月 12 日、機関投資家向けの増資で 8 億ユーロを、61 億ユーロの評価で集めると発表した。採掘会社の電力と土地が、AI の計算基盤として値付けされ直した例だ
  • Suki — 診療の会話を記録し、請求や臨床のデータに変える医療向けの AI。10 月 13 日、シリーズ E で 9,000 万ドルを調達し、オーダーの入力や再診の予約まで動く AI エージェントの開発に充てると発表した。既存の Venrock、Philips Ventures、Zoom Ventures なども参加している
  • Multiliquid — トークン化 MMF などの資産とステーブルコインを、24 時間、一度の取引で交換する流動性の層を作る。10 月 15 日 (米国時間)、Polychain がリードし、Circle Ventures などが参加したシードを終え、累計の調達は 800 万ドルになった。規模は小さいが、トークン化ファンドの償還の遅さを埋める側にステーブルコインの発行体の資金が入った

RWA Lane

トークン化米国債は 146 億 9,000 万ドル、1 週間で 2 億 6,000 万ドル減った。 rwa.xyz の集計で 10 月 16 日時点の残高は 146 億 9,000 万ドル、前号の 149 億 5,000 万ドルから 1.7% 減り、30 日では 5.07% 減。商品数は 109 から 117 へ増え、保有者は 8 万 6,753 と 0.6% 増えた。保有者 1 人あたりの残高は約 16 万 9,300 ドルで、前号の約 17 万 3,400 ドルから再び縮んだ。7 日の利回り (APY) は 3.58% で、同じ日の 3 か月物国債の 4.26% を下回っている。

上位は Circle の USYC が 23 億 8,494 万ドル、Ondo の USDY が 23 億 5,566 万ドル、BlackRock の BUIDL が 21 億 7,301 万ドル、Franklin Templeton の iBENJI が 17 億 1,179 万ドル、WisdomTree の WTGXX が 10 億 6,264 万ドル、JPMorgan の JLTXX が 7 億 3,834 万ドル。減り方が大きかったのは WTGXX で、前号の 12 億 2,900 万ドルから 1 億 6,600 万ドル、13.5% 減った。USYC と BUIDL も小さく減り、USDY だけが増えて、首位の USYC との差は約 2,900 万ドルまで縮んだ。長い国債が買われた週に、短期国債の器からは資金が出ている。

Open USD は 1 週間で 4.7% 増えた。 Stripe 傘下の Bridge が発行する Open USD (OUSD) は、準備金ページで 10 月 16 日 22 時 40 分 (協定世界時) 時点の流通が 8 億 2,582 万 OUSD、前号の 7 億 8,902 万から 3,680 万増えた。準備資産は 8 億 2,782 万ドルで、現金が 12.1%、米国債が 87.9%。前号の 18% 増からは伸びが落ちたが、トークン化米国債の全体が減る中で増えた器はこちらだった。トークン化米国債の市場全体に対する規模は約 5.6% になる。

決済の線路は、同じ週に何本も延びた。 Ripple は 10 月 15 日、Ripple Prime で機関投資家が株式、株価指数、ETF、金属、エネルギー、為替など 100 を超える市場に連動する RWA の無期限スワップを週末も含めて 24 時間取引できるようにしたと発表した。価格は Hyperliquid 上の Trade.xyz に上場する無期限先物に連動し、Ripple Prime が相手方になり、ステーブルコイン RLUSD を担保に使える。Virtu がすでに取引している。同じ日に Cross River Bank は RLUSD を自社の中核の決済の仕組みに組み込み、Visa は国際送金の Visa Direct で USDC による事前の資金手当てを試験から本番に移した。

Mastercard と BVNK は 15 日、1 本の API で法定通貨とステーブルコインを扱う複数通貨の口座「Global Money Platform」を BVNK 経由で始めた。2027 年に 40 を超える通貨、200 を超える国と地域へ広げる計画だ。欧州では 15 か国の銀行 37 行が出資する Qivalis が、オランダ中央銀行から電子マネー機関の認可を得た。ユーロ建ての電子マネートークンの発行は今後数か月で、MiCA の書類の公開が条件になる。Kraken の親会社 Payward はリトアニアの Saldo Bank を持つ持株会社の買収で合意したと報じられた。完了は 2027 年の見込みだ。

private markets では、私募クレジットの傷みが数字になった。 独ハンデルスブラットによると、Moody's が米国の中堅の借り手 607 社を調べたところ、6 月までの 12 か月の表に出たデフォルト率は 4.0% で、利払いの繰り延べ (PIK) や満期の延長を含めると 5.8% になった。銀行の側では、JPMorgan の第 3 四半期決算が純利益 153 億ドル、与信費用 27 億ドルで、引当の積み増し 5 億 3,900 万ドルは主にホールセールによるものだった。決算資料にノンバンクや私募クレジット会社向けの融資の額は出ていない。上場している運用会社 (Hamilton Lane、Blue Owl、Ares、Apollo、Blackstone、KKR、StepStone) では、10 月 9〜17 日の提出分に経営陣がまとまって自社株を買った開示 (Form 4) は出ていない。

トークン化 RWA の全体は 392 億 9,000 万ドル、保有者は 528 万。 rwa.xyz で、チェーン上で流通する RWA の合計は 392 億 9,000 万ドル、前号の 390 億 2,000 万ドルから 0.7% 増え、30 日では 1.35% 増えた。保有者は 527 万 7,416 で、前号の 518 万 7,866 から 1.7% 増えた。チェーン別の表では Ethereum が 169 億ドル、BNB Chain が 61 億ドル、Solana が 44 億ドル、Stellar が 35 億ドル、Avalanche が 17 億ドル。国債の器が減った分を、他の資産と保有者の広がりが埋めた。

Cross-Lane Signals

1. 物価が上振れた週に、長い金利を押し下げたのは株から逃げた資金だった。 CPI と PPI が 2 日続けて予想を上回り、FRB の利上げ観測を後押しする材料しか出なかった週に、米 10 年債は 15bp、30 年債は 17bp 下がった。3 か月物は 4.26% で動かず、短い年限は利上げの織り込みを保った。株の売りが止まれば、長い年限を支えた買いは外れ、物価の数字がそのまま長い金利に戻ってくる。次の FOMC までに株が落ち着けば、10 年債が 5.2% 台へ戻る道は短い。

2. 暗号資産は、株安の中で売られにくい側に回った。 米テック100 連動先物が前週比 5.45%、日経225 連動先物が 8.01% 下げた週に、ビットコインは 0.96% の下げにとどまり、現物 ETF からの流出は前週の約 5 分の 1 に細った。暗号資産は前号の週に先に下げ、現物 ETF からは 4 営業日で約 7 億ドルが出ていた。AI 株の調整が始まったとき、ETF の売りはすでに一巡しかけていた。BVIV は前週比 5.56% 上がっており、値幅への備えは増えている。株安が AI のクレジットへ広がる局面で、この差が続くかが次の試金石になる。

3. 指数の入口が狭まり、銀行の入口が広がった。 MSCI は 11 月 30 日から、ビットコインを抱えるだけの上場企業を指数の対象から外す基準を決めた。同じ週に、EBA は USDC を直接監督に置き、日本の 3 メガバンクは共同発行のステーブルコインの実証を終え、シュワブ、ドイツ銀行、スタンダードチャータードは自社の口座で暗号資産を扱う範囲を広げた。株価指数の買いに頼れなくなる企業は、Strategy の 12%、Strive の 15% という配当で資金を集めている。暗号資産に触れる経路は、上場企業の株から、銀行と証券会社の口座そのものへ移り始めた。

4. 器は縮み、線路は延びた。 トークン化米国債は 2 億 6,000 万ドル減り、7 日の利回りは 3 か月物を 0.68 ポイント下回った。一方で、Ripple の RWA スワップ、Mastercard と BVNK の口座、Visa Direct の USDC、Cross River の RLUSD と、ステーブルコインで価値を動かす仕組みは同じ週にそろって本番に入った。利回りを取りにいく資金が器から離れても、決済の手段としてのトークンの使い道は増えている。RWA の伸びは、残高の大きさより、どの線路に乗る取引が増えるかで測る段階に入った。

5. AI の資本は、借りる側と使う側で値付けが割れた。 私募クレジットのデフォルト率は PIK を含めると 5.8% で、AI のデータセンターを借り入れで建てる側の社債利回りは 14% 台まで上がったと報じられている。その同じ週に、AI への支出を管理する Ramp は 600 億ドルの評価で 18 億 5,000 万ドルを集め、採掘拠点を AI の計算基盤に変える SWI Group は 8 億ユーロを集めた。AI の需要を疑う売りではなく、誰の借金で建てるかを問う選別が始まっている。10 月 22 日の Blackstone の決算は、この選別が私募クレジットの側でどう見えているかを示す最初の場になる。

Risk Digest

1. Technical (技術・市場構造)。 Ledger は 10 月 13 日、東南アジアの販売代理店 CryptoBilis が売った端末の筐体に無許可の部品が入り、初期設定のときに画面に出る 24 語の復元用の語句を読み取って携帯回線で外へ送っていたと認めた。端末の Secure Element と OS は改ざんされていない。被害額を Ledger は確認しておらず、チェーン上の推計では最大 9,320 万ドルにのぼる。欧州では家電量販の MediaMarkt Saturn が Ledger の販売を止めた。攻撃を受けたのは、端末が利用者に届くまでの流通の段階だった。購入した店と経路を確かめることが、そのまま資産の保全になる。

2. Regulatory (規制・立法)。 金融安定理事会 (FSB) は 10 月 12 日、G20 の財務相・中央銀行総裁会議に向けた議長書簡とあわせて、グローバル・ステーブルコインの国境を越える脆弱性と監視についての報告書などを提出した。報道によれば、国境をまたぐ監督と危機対応は未成熟だとしている。EBA が USDC を直接監督に置き、OCC が月末までに GENIUS 法の最終規則を出すとされる週に、国際機関は国をまたぐ償還の連鎖を論点に据えた。ステーブルコインの規則は、国ごとの免許から、国をまたぐ危機対応の設計へ論点が移っている。

3. Market (市場)。 10 月 15 日、日経平均は 3,318 円 34 銭安 (4.90% 安) の 6 万 4,425 円 95 銭で終え、下げ幅は歴代 3 位だった。韓国の KOSPI は取引時間中にサーキットブレーカーが発動し、7.57% 安で終えたと報じられた。AI のデータセンターを借り入れで建てる CoreWeave の社債利回りは 14% 台まで上がったと伝えられている。IMF は 13 日に公表した国際金融安定性報告書の第 1 章で、AI 株の急落と国債利回りの急上昇を主要なリスクに挙げたと報じられた。株の売りが社債と私募クレジットへ渡るかどうかが、次の確認点になる。

4. Geopolitical (地政学)。 シンガポール海事港湾庁によると、同国船籍のコンテナ船 2 隻がホルムズ海峡で出所不明の飛翔体に被弾し、GFS PRIDE は火災の後に沈没した。乗員 21 人は全員避難している。米中央軍はイラン革命防衛隊の攻撃だとし、イラン側は機雷に触れたと主張していると報じられた。トランプ大統領が 10 月 11 日に宣言したロシアとウクライナの「エネルギー停戦」は、ロシアが確認しないまま、15 日にはウクライナがロシアの製油所を攻撃して事実上崩れた。WTI 原油の先物は 17 日朝に 98.824 ドルで、前週比 8.42% 上がった。原油の高さは PPI のガソリン 20.3% として、すでに物価の数字に入っている。

Next Week Preview

1. 10 月 19 日: 米財務省の GENIUS 法第 3 条の規則案の意見募集が締め切られる。 米連邦官報の規則案のページで確かめられる。OCC は月末までに自らの最終規則を出すとしており、ステーブルコインの発行者の要件が、財務省と銀行監督の両方の規則で固まっていく。同じ 19 日 (中国時間 10 時) には中国の第 3 四半期の GDP も出る。

2. 10 月 21 日: Solana の Alpenglow がメインネットベータで有効化される。 Anza の Alpenglow のページに日付が示されている。合意の仕組みの入れ替えで、確定までの時間は約 150 ミリ秒になる。アルトがビットコインより大きく下げた週の後で、日付のある大型の更新が予定どおり動くかを見る。

3. 10 月 21〜22 日: 20 年債のリオープンと 5 年物 TIPS の入札。 米財務省の 15 日の入札案内によると、21 日に 20 年債 130 億ドル、22 日に 5 年物インフレ連動債 (TIPS) の新発 260 億ドルを入札する。長い年限が株安で買われた週の後で、20 年債の落札利回りが 5.4% 台にとどまるかと、物価の上振れの後にインフレ連動債がどう引き受けられるかを、TreasuryDirect の入札結果で確かめる。

4. 10 月 22 日 9 時 (米東部時間): Blackstone の第 3 四半期決算。 私募クレジットの傷みが Moody's の集計で 5.8% と数字になった後の、最初の大手運用会社の決算になる。私募クレジットのファンドへの資金の出入りと、個人向けの非上場ファンドの解約請求をどう説明するかを、Blackstone の決算資料で見る。Ares と Blue Owl は 29 日に続く。

5. 10 月 23 日 8 時 30 分: 日本の 9 月の全国 CPI。 総務省の公表予定 (e-Stat) による。植田総裁が物価の上振れのリスクに触れた後で、10 月 29〜30 日の日銀の金融政策決定会合を前に出る最後の全国の物価の数字だ。強ければ、今週下がった日本の長い金利が再び上を向く。米国の FOMC は 27〜28 日、ECB の理事会は 28〜29 日に続く。

Watch リスト

  • トークン化株式: rwa.xyz で残高 35 億ドル (前週 32 億 4,000 万ドル・30 日 24.15% 増)、保有者 442 万。一方で月間の送金額は 72.73% 減、月間アクティブアドレスは 59.98% 減っている。rwa.xyz のトークン化株式ページで、残高の伸びと使われ方の差が縮むかを見る
  • DTCC のトークン化サービス: 公式ページは「2026 年 10 月に市場へ広く提供予定」のまま。月内の開始の告知が DTCC のトークン化ページに出るか
  • Open USD の流通: 10 月 16 日時点 8 億 2,582 万 OUSD。Bridge の準備金ページで、トークン化米国債の全体が減る中でも増え続けるかを見る
  • Strategy の臨時株主総会: 10 月 28 日。優先株 4 種の日次配当化が承認されるか。SEC の EDGAR で結果の開示を確かめる
  • MSCI の除外の最終対象: 11 月 11 日の公表で Strategy と Metaplanet が入るか。MSCI の指数の告知面で確認できる
  • Glamsterdam の Hoodi テストネット: 10 月 26 日 17 時 42 分 (協定世界時)。イーサリアム財団のブログで、有効化の後にメインネットの日付が出るか

投資助言ではありません。情報提供・リサーチ目的のみ

🔗 一次ソース

関連記事