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📡 Signal|日本政府、IMFC 声明で補正予算の常態化からの脱却を表明
IMFC 声明で日本政府が補正予算の常態化からの脱却を表明。消費税減税は特例公債に頼らず財源を確保するとした。
日本政府は10月17日、タイで開かれている IMF・世界銀行の年次総会にあわせた第54回国際通貨金融委員会 (IMFC) に声明を出し、補正予算が常態化した財政運営から脱却すると表明した。恒常的な施策は当初予算で措置し、飲食料品の消費税率の引き下げなどは特例公債 (赤字国債) に頼らず財源を確保した上で実施するとした。
国内の政策を、各国の財務相と中央銀行総裁が集まる国際会議の場で約束した形だ。声明はその理由を「インフレ・金利のある世界に変わりつつある中でも、市場の信認を確保」するためと書く。金利が上がる局面で、日本の財政がどう見られるかを政府自身が意識していることが、文面から分かる。
財務省が公表した声明の全文から、財政に関わる部分を整理する。
声明が約束した4つのこと
声明の「日本の経済財政運営」の節は、財政について次の 4 点を並べた。
- 2029年度から本格導入する所得に応じたきめ細かな給付と、それまでの2年間に限った飲食料品の消費税率の引き下げ等を、特例公債に頼らず財源を確保した上で実施する
- 補正予算が常態化した財政運営から脱却し、恒常的な施策は当初予算で措置する
- 国・地方の総債務残高の対 GDP 比を安定的に低下させる
- これらにより、インフレ・金利のある世界でも市場の信認を確保し、経済成長と財政の持続可能性を両立させる
補正予算の項には、「IMF からも従前より指摘されていたように」という前置きが付いている。年度の途中で組む補正予算は、本来は災害や急な景気悪化への備えだが、日本では毎年の大型の補正が定着してきた。その使い方を改めると、IMF の場で明言したことになる。
同じ節は、成長に向けた国内投資が「圧倒的に不足していた」とし、潜在成長率の引き上げに向けて官民で戦略分野に大胆に投資するとも書く。投資は増やし、その財源は当初予算と恒久的な財源で賄う、という組み合わせだ。
国債市場はすでに「金利のある世界」
声明が市場の信認に触れる背景には、国債の金利水準がある。財務省の国債金利情報によると、10年国債の利回りは10月15日に 2.948%、30年は 4.024% だった。10月9日には 10年が 3.027% と、3% を上回っていた。
金利が 3% 前後にある国では、新たに借りる国債の利払いがそのまま将来の予算を圧迫する。補正予算で毎年積み増す財政運営は、金利がほぼゼロだった時期には市場の目を引きにくかった。今の水準では、その積み増しが国債の需給と利回りに直接響く。政府が財政の約束を国際会議の声明に書き込んだのは、その感応度が上がったことの表れと読める。
一方で、声明が示したのは方針であり、数値の目標は書かれていない。「特例公債に頼らず」の財源が何になるのか、補正予算をどこまで小さくするのかは、これからの予算編成で決まる。
財政以外の主張: 重要鉱物と中東
声明は財政以外にも踏み込んだ。重要鉱物について「恣意的な輸出規制は、世界経済の下方リスク要因であり、撤回されるべき」と書いた。国名は挙げていないが、重要鉱物の輸出管理を強めている国を念頭に置いた表現だ。中東情勢については、ホルムズ海峡の自由で安全な航行の確保が「不可欠」とした。
IMF の役割については、黒字国・赤字国の双方に不均衡の是正を求め、過度な対外黒字国には非市場的な政策・慣行 (NMPPs) の回避を求めた。過剰生産が世界経済に与える負の影響の分析を深めるよう IMF に求める部分もあり、全体として、貿易と供給網をめぐる摩擦を財政と並ぶ主題に置いている。
次に見るもの
確認できる次の一点は、年末に政府がまとめる2027年度予算案だ。恒常的な施策が当初予算に入り、年度途中の補正予算が小さくなるかどうかが、今回の約束の最初の検証になる。それまでの間は、財務省が毎営業日公表する国債金利情報で、10年債が再び 3% を上回るかを見る。財政の約束が市場に届いているかは、まずそこに表れる。
ことば
- IMFC (国際通貨金融委員会) — IMF の加盟国の財務相・中央銀行総裁が IMF の運営方針を話し合う閣僚級の委員会。春と秋の年に2回、IMF・世界銀行の総会にあわせて開かれ、各国は声明で自国の政策を説明する。
- 特例公債 — 公共事業などに充てる建設国債とは別に、歳入の不足を埋めるために特別の法律に基づいて出す国債。一般に赤字国債と呼ばれ、恒常的な支出の財源にすると債務が積み上がりやすい。
- 補正予算 — 年度の途中で当初予算を修正するために組む予算。災害対応や急な景気対策が本来の用途だが、日本では毎年の経済対策の財源として大型の補正が続いてきた。
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