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📡 Signal|ESMA、MiCA 非準拠ステーブルコインの全サービス停止を要請
ESMA が MiCA 非準拠ステーブルコインについて、保管や送金を含む全サービスを提供すべきでないとする意見書を公表。是正期限は公表から 3 か月。
欧州証券市場監督局 (ESMA) は10月8日、MiCA (EU の暗号資産市場規則) の要件を満たさないステーブルコインについて、暗号資産サービス事業者 (CASP) が EU の顧客向けのサービスを提供すべきでないとする意見書 (Opinion) を公表した。各国の監督当局に対し、残っている取扱いを見つけた場合は公表から 3 か月以内に是正させるよう求めている。
2025年1月の指針は、取引所への上場や公募にあたる場面を中心にしていた。今回の意見書は保管や送金も含めたすべてのサービスに範囲を広げ、残すのは既存残高の売却・交換・出金・移転・保管のための期限付きの出口だけにした。拘束力のある規則ではないが、EU で認可を受けた事業者にとって、非準拠のステーブルコインを「置いておく」余地はほぼなくなる。
本サイトの速報 (EU当局、MiCA非準拠ステーブルコインのサービス終了を要請) の続報として、意見書の原文から、何が求められ、何が求められていないかを整理する。
意見書が CASP に求めること
意見書 (文書番号 ESMA75-113276571-1742) は、ESMA 規則の監督上の収れんの手段として、主に各国の監督当局 (NCA) に宛てて出された。中心の主張は 12 項にある。CASP は、MiCA の要件を満たさない資産参照型トークン (ART) や電子マネートークン (EMT) に関連する暗号資産サービスを提供すべきでない、という一文だ。
根拠に使われたのは、MiCA 第66条1項の「顧客の最善の利益のために、誠実・公正かつ専門的に行動する」義務だ。意見書は、非準拠のトークンでサービスを提供すること自体が、この義務と両立しないと推定されるとした。発行体の認可や準備資産の保全といった利用者保護の仕組みが無いトークンに、事業者が顧客を知りながらさらすことになるからだという。
対象になるサービスは広い。取引プラットフォームの運営、交換、注文の執行と取次ぎ、助言、送金、保管、ポートフォリオ運用までが並ぶ。リスクの警告文を表示したり、顧客の同意を取ったりしても足りないと明記した点も、事業者の逃げ道をふさいでいる。
2025年1月の指針から広がった範囲
ESMA は2025年1月、欧州委員会とともに、非準拠のステーブルコインの扱いについて指針を出していた。このときの期限は2025年第1四半期末で、焦点は公募や取引への上場にあたる場面だった。保管や送金は、引き続き提供できる余地が残っていた。
今回の意見書は 14 項で、個々のサービスが公募や上場にあたるかどうかに関係なく結論が変わらないとした。EU で認可を受けた CASP は、サービスを通じて非準拠のトークンを EU 内で使える状態に保つべきでない、という考え方だ。2025年1月の指針の立場は変えず、それを補うものと位置づけている。
出口として認めるのは、既存残高の清算・交換・出金・移転・保管に限られる。それも期限を区切り、顧客に明確に伝え、監督当局の厳しい監視の下で行うことが条件だ。27 項は、各国当局が残った取扱いを見つけた場合、公表日から 3 か月以内に是正を求めるべきだとし、その間のサービスも売却専用・交換・移転・出金に絞るよう求めた。公表日から数えると、期限は2027年1月8日前後になる。
銘柄の名前は書かれていない
意見書は特定のステーブルコインの名前を挙げていない。CoinDesk は、MiCA の認可を受けていない代表例として Tether の USDT と PayPal の PYUSD を挙げている。一方、Circle の USDC と EURC は、同社のフランス法人が電子マネー機関の認可を受けたうえで、MiCA の EMT として発行されている (2024年7月の Circle の発表)。
時価総額で最大のステーブルコインが EU の認可事業者の店頭から外れていく流れは、2025年の指針の時点から始まっていた。今回の意見書はそれを、保管や送金を含めた全面的な退出へ進める。EU の利用者にとっては、手元の非準拠トークンを、期限のうちに準拠したトークンへ換えるか、EU の外の事業者へ移すかの選択が現実になる。
次に見るもの
確認できる次の一点は、各国当局が自国の CASP に向けて出す通達や公表だ。ESMA は各国当局と協力して適用状況を定期的に監視するとしており、フランスの AMF やドイツの BaFin など主要国の当局が、3 か月より短い期限を設けるか、2027年1月8日前後の期限に合わせるかが分かれ目になる。大手取引所が EU の顧客に出す取扱い終了の告知も、同じ時期に出そろっていく。
ことば
- MiCA — EU の暗号資産市場規則。ステーブルコインの発行体に認可と準備資産の管理を求め、暗号資産サービス事業者にも認可制を敷く。今回の意見書は、その認可を受けた事業者の側の振る舞いを問うている。
- ART と EMT — MiCA のステーブルコインの 2 分類。EMT (電子マネートークン) は 1 つの法定通貨に連動するもの、ART (資産参照型トークン) は複数の通貨や商品などの組み合わせに連動するもの。
- 監督上の収れん — EU の各国当局がばらばらに規則を解釈しないよう、ESMA などが共通の考え方を示すこと。意見書は法的拘束力を持たないが、各国当局の監督の基準になる。
🔗 一次ソース
- ESMA Opinion on the provision of crypto asset services in relation to non-MiCA-compliant ARTs and EMTs(ESMA75-113276571-1742・2026年10月8日・12〜14 項と 27 項を確認)esma.europa.eu
- ESMA sets out supervisory expectations on services related to unauthorised stablecoins(ESMA プレスリリース・2026年10月8日)esma.europa.eu
- ESMA and European Commission publish guidance on non-MiCA compliant ARTs and EMTs(ESMA・2025年1月17日)esma.europa.eu
- EU securities regulator gives crypto platforms 3 months to remove unauthorized stablecoins(CoinDesk・2026年10月8日)coindesk.com
Circle is first global stablecoin issuer to comply with MiCA(Circle・2024年7月1日)circle.com