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SNAPSHOT 2026-10-15 23:03 JST

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📡 Signal|仏国民議会の財政委、ステーブルコインへの交換に課税案

仏国民議会の財政委が、暗号資産を MiCA 準拠のステーブルコインに替えた時点で課税する修正案を可決。提出は左派会派で、本会議は政府原案から審議する。

LiveMakers 編集デスク

📡 Signal|仏国民議会の財政委、ステーブルコインへの交換に課税案

フランス国民議会の財政委員会は10月7日、2027年予算法案 (PLF 2027) への修正案 I-CF1826 を可決した。暗号資産を、EU の暗号資産市場規則 (MiCA) が定める電子マネートークン (法定通貨 1 つに連動するステーブルコイン) に交換した時点で、譲渡益に課税する内容で、2027年1月1日以降の取引に適用する。

ユーロに換金していない交換が課税の対象になり、しかも EU のルールに沿って発行されたステーブルコインほど網に入りやすい。規制の内側に入った資産が、税の上では外側の資産より不利に扱われうる。フランスの議論は、ステーブルコインを「現金」とみなすか「投資の器」とみなすかという、各国の税務がまだ答えを揃えていない問いに踏み込んだ。

提出したのは政府ではない。左派会派「民主共和左派 (GDR)」の Nicolas Sansu 議員ら 17 人で、10月4日に委員会へ出した。報道の第一報は14日の速報で伝えた。本稿では、議会に掲載された条文から、何が変わり、どこまで決まったのかを整理する。

一般税法典 150 VH bis 条の「繰り延べ」を外す

フランスでは個人の暗号資産の譲渡益に、一般税法典 150 VH bis 条で課税する。税務当局の申告要領によれば、税率は所得税 12.8% に社会保障負担が上乗せされる。ただし暗号資産どうしの交換は、差額の現金 (清算金) を伴わない限り課税が繰り延べられ、税がかかるのはユーロへの換金や、暗号資産で商品・サービスを買った時点だ。

修正案はこの繰り延べから、受け取る側が電子マネートークンになる交換だけを外す。たとえば 3 万ユーロで買った BTC を 7 万ユーロ分のステーブルコインに替えると、ユーロを一切受け取っていなくても 4 万ユーロの譲渡益が確定する。BTC から ETH への交換のように、受け取る側がステーブルコインでなければ、これまでどおり繰り延べが続く。

条文はもう一点、計算の方法も変える。現行の譲渡益は、ポートフォリオ全体の取得価額を、売却額と保有総額の比で按分する独特の式で求める。修正案は、売った暗号資産そのものの取得価額 (同じ種類を複数回買った場合は加重平均) との差に改める。2026年末以前に取得した分は、実際の取得価額を使うか、2026年12月31日時点の総取得価額を保有銘柄に時価で割り振るかを、一度だけ選べる。

趣旨説明は、ステーブルコインは取引所で他の暗号資産を買える投資の器であり、課税されないのは「法の穴」だと書く。英国とイタリアがすでに同じ方向で立法したとも述べている。

31.4% の中身と、MiCA 準拠のトークンに寄る理由

31.4% は、暗号資産の譲渡益にすでにかかっている税率だ。所得税 12.8% と、資産所得に対する社会保障負担 18.6% を合わせた水準になる。社会保障負担は、2025年12月30日の法律 (loi n° 2025-1403) で一般社会税 (CSG) が 9.2% から 10.6% に上がり、17.2% から 18.6% になった。合計は 30% から 31.4% に上がっている。修正案はこの既存の税率を、課税されてこなかった交換に広げるものだ。

対象の決め方が論点になる。条文は MiCA 第 3 条 1 項 7 号の「電子マネートークン」の定義を引く。MiCA の下で EU 域内に電子マネートークンを発行できるのは、銀行か電子マネー機関に限られる。Circle は2024年7月、フランスの健全性監督・破綻処理機構 (ACPR) から電子マネー機関の免許を得て、USDC と EURC を MiCA の下で発行していると発表した。課税の網に最もはっきり入るのは、フランスの当局自身が免許を出した発行体のトークンということになる。

条文は定義を引くだけで、EU で認可を得ていないドル建てトークンを同じように扱うかは書いていない。CoinDesk の取材に応じた Chainalysis のフランス担当 Francois Volpoet 氏は、修正案は MiCA 準拠のステーブルコインを狙う一方で、他のトークンは対象の外に残りうると指摘した。取引が DeFi や個人間取引、国際的な税務報告の枠の外にある取引所へ流れ、暗号資産の取引を規制の内側へ寄せてきた流れを損ないかねないという見立てだ。

委員会の可決は、まだ審議の本文ではない

委員会での可決は法律の成立ではない。フランス憲法第 42 条は、予算法案の第一院での第一読会に限り、本会議の審議を政府が提出した原案で行うと定めている。委員会で通った修正は本会議の原案に自動では入らず、改めて提出し、本会議で可決される必要がある。

委員会は法案を大幅に修正したうえで、歳入の部そのものを 31 対 3 (棄権 2) で否決した。議会専門チャンネルの LCP は、本会議は政府の原案から出直すと伝えている。国民議会の議事局が9月29日付で示した日程では、歳入にあたる第 1 部の本会議審議は10月13日から19日まで、第 1 部全体の採決は10月20日の政府質問の後に行う。その後は上院が審議する。

同じ委員会は暗号資産について、ほかに 2 本の修正を可決している。

  • I-CF798 (Ensemble pour la République 会派の Daniel Labaronne 議員・10月7日可決): 暗号資産の譲渡損を、株式と同じく 10 年間繰り越せるようにする。趣旨説明は、業界団体 ADAN (デジタル資産開発協会) と準備したと明記している
  • I-CF821 (LIOT 会派 (自由・独立・海外領土) の Charles de Courson 議員ら・10月9日可決): 交換業者に預けず自分で管理するウォレットに、年末時点で 10 万ユーロ以上の暗号資産がある場合、税務当局への申告を義務づける。趣旨説明によれば、申告しない場合の制裁は最大 1 万ユーロ

損失の繰り越しで負担を軽くする修正と、ステーブルコインへの交換や自己管理ウォレットに網をかける修正が、同じ週に同じ委員会を通った。フランスの議会は、暗号資産を既存の資産課税の体系に組み込む方向で動いている。どの線で組み込むかを決めるのが、ここから先の本会議と上院だ。

次に見るもの

確認できる次の一点は、国民議会の PLF 2027 立法資料ページに並ぶ本会議向けの修正案だ。GDR 会派が I-CF1826 と同じ内容を本会議に出し直すか、出し直した場合に10月20日の第 1 部の採決までに可決されるかを見る。本会議で通らなければ、委員会の可決は記録に残るだけになる。通った場合は、上院の財政委員会がこの条文を残すかが次の分かれ目になる。

ことば

  • 電子マネートークン (EMT) — MiCA が定める、法定通貨 1 つの価値に連動させるステーブルコインの区分。EU で発行できるのは銀行と電子マネー機関に限られ、今回の修正案は課税の範囲をこの定義で区切った。
  • 課税の繰り延べ — 資産を交換しても、その時点では譲渡益に課税せず、後で換金した時にまとめて課税する扱い。フランスは暗号資産どうしの交換にこれを認めており、修正案はステーブルコインを受け取る交換だけを外す。
  • 一律課税 (PFU) — 金融所得に所得税 12.8% と社会保障負担を一律にかけるフランスの方式。社会保障負担の引き上げで、合計 31.4% になった。暗号資産の譲渡益にも同じ水準がかかる。

🔗 一次ソース

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