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SNAPSHOT 2026-10-16 12:03 JST

Signal

📡 Signal|JPCERT/CC、連続不正アクセスで攻撃者の AI 利用を確認

JPCERT/CC が攻撃側サーバーの調査で、攻撃者の AI 利用を確認した。15日にはエムスリー、大和総研、発車オーライネットが新たな漏えいを公表した。

LiveMakers 編集デスク

📡 Signal|JPCERT/CC、連続不正アクセスで攻撃者の AI 利用を確認

JPCERT コーディネーションセンター (JPCERT/CC) は10月15日、国内で相次ぐ不正アクセス事案について、攻撃に使われた可能性のあるインフラの調査結果を公表した。攻撃者が AI を使って既知の脆弱性をスキャンし、API を経由した攻撃などを実施していたことを確認したという。

8日の注意喚起は被害側で見えた手口の整理だったが、今回は攻撃する側のサーバーに残った痕跡からの報告になる。15日には、エムスリー、大和総研、バス予約サイトの運営会社が新たな漏えいを相次いで公表した。8〜9日の注意喚起と点検項目は 10月10日の記事 にまとめている。

攻撃側のサーバーに残っていたもの

JPCERT/CC は8日の注意喚起の後、複数の組織と連携して、攻撃に使われた可能性のあるインフラを調べた。調査ブログ「連続不正アクセス事案の攻撃手法に関する調査」によると、確認できた主な痕跡は次のとおりだ。

  • Android アプリのパッケージ (APK) を解析し、関連する API に SSRF などの脆弱性がないかを調べた痕跡
  • SSRF の検証に使われたとみられる Python のスクリプト。HTTPS サーバーとして動き、特定のリクエストにリダイレクトを返す
  • Flutter で作られたアプリを解析するツールと、APK を展開した先とみられるディレクトリ
  • 別のサーバーでは、MySQL、Jenkins、メールゲートウェイを狙った痕跡、EDR (端末の不審な動きを検知する製品) を回避する試み、標的のネットワーク内に置かれたとみられる Web シェル。ただし本件と直接の関係は不明としている

ブログは、攻撃者が AI を使っていたことを確認したと書く一方で、どの AI をどう使ったかの具体的な説明はしていない。攻撃元のサーバーは日本以外の地域向けの Web サービスも攻撃していた。JPCERT/CC は不審な通信元として IP アドレス 3 件も公開した。

アプリを分解して中の接続先や鍵を取り出す手口は、8日の注意喚起でも 4 類型の一つに挙がっていた。情報通信研究機構 (NICT) も同じ手口を「A2B 攻撃」と呼んで警告している (14日の記事)。今回の報告は、その解析と脆弱性の探索に AI が使われていたことを、攻撃側の痕跡から裏づけた形だ。

15日に公表された新たな事案

同じ時期、新たな漏えいの公表も続いた。いずれも各社の発表による。

  • エムスリー: 製薬企業向けサービス「MR 君」のシステムへの不正アクセスを14日に確認。医師会員の一部 (医師会員全体の 1 割未満) と、製薬企業の担当者 (数百名規模) の氏名、勤務先、一部のメールアドレスなどが漏えいした。ログインパスワードは含まれていない
  • 大和総研: 内藤証券から運用を受託するインターネット取引システム「Financial Plate/WB4」の Web サーバーが、14日の午前4時46分から6時56分にかけて不正アクセスを受けた。その時間にログインしていた最大 631 名の氏名、住所、電話番号、証券口座番号、出金先の口座番号などが漏えいした可能性がある。資産や取引内容を保管する業務用のデータベースには、不正アクセスの痕跡は確認されていない
  • 工房: バスチケット予約サイト「発車オーライネット」の外部連携用 API サーバーに、9月16日から19日にかけて不審なアクセスがあったことを10月13日に検知した。最大 8,341 件 (5,614 人) の予約情報が流出した可能性がある (最終確認中)

このほか、電子書籍ストア「コミックシーモア」は15日夜、緊急メンテナンスを実施していると X で告知した。告知の時点で理由は示していない。

9月下旬から10月初めにかけても、第一生命グループの人事システム (約 12 万名・10月2日公表)、ディップの求人サイト「バイトル」(メールアドレス最大 388 万 5,771 件・9日公表)、ファインズの予約システム (153 万 6,322 件・9月25日公表) などの公表があった。三井不動産は9月28日の第二報で、システムの資格情報が攻撃者に不正利用されていたと明らかにしている。

同じ時期の事案と、同じ攻撃者は別の話

JPCERT/CC の調査は、注意喚起の対象になった国内の複数の組織で被害が出たとするが、組織名や件数は挙げていない。上に並べた各社の事案が、AI を使った同じ攻撃者によるものかどうかは示されていない。手口を公表していない会社も多い。

それでも、公表された手口には重なりがある。発車オーライネットは外部連携用の API サーバー、バイトルは一部機能の仕様の不備、三井不動産は資格情報の不正利用だった。どれも、利用者の画面からは見えない「裏口」側が入口になっている。AI が解析と探索の手間を下げれば、攻撃者は同じ作業を多くの標的に繰り返せる。被害の公表が9月から途切れずに続いていることと、この報告の内容は矛盾しない。

JPCERT/CC がブログの付録で挙げた対策は、アプリに API の秘密鍵や有効期間の長い認証情報を埋め込まないこと、アプリ側の署名や難読化に頼らずサーバー側で認証と認可を行うこと、正規のアプリ以外からのアクセスを前提にレート制限と監視を置くこと、外部の URL を取りに行く API では行き先とリダイレクト後の宛先を検証すること、の 4 点だ。

次に見るもの

確認先は JPCERT/CC の注意喚起 (JPCERT-AT-2026-0030) のページと、調査ブログの更新だ。8日の公開の翌日には手口が 1 類型追記された。AI の使われ方や新しい痕跡が加われば、まずここに出る。個別の事案では、エムスリーが対象人数を続報で示すとしており、工房の件数は最終確認中だ。

ことば

  • SSRF — サーバーに細工した URL を読み込ませ、外からは届かない内部のシステムへサーバー自身にアクセスさせる攻撃。外部の URL を取りに行く機能を持つ API が狙われやすい。
  • APK — Android アプリを配布するためのファイル形式。中を展開すると、アプリが通信する API の接続先や、組み込まれた鍵が読み取れる場合があり、今回の一連の攻撃の入口の一つになっている。

🔗 一次ソース

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