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📡 Signal|Tenstorrent、15億ドル調達で評価額62億ドル Tether も出資
RISC-V の AI 半導体 Tenstorrent がシリーズ E で 15 億ドルを調達し、評価額は 62 億ドルに。Fidelity や Morgan Stanley と並んでテザーの投資部門も出資した。

RISC-V ベースの AI 半導体を設計する米 Tenstorrent は 10 月 19 日、シリーズ E で 15 億ドルを調達したと発表した。調達後の企業評価額は 62 億ドル。Trace Capital と Innovation X が共同で主導し、Fidelity や T. Rowe Price、Morgan Stanley、ARK Invest に並んで、ステーブルコイン USDT の発行体テザーの投資部門 Tether Investments も名を連ねた。
Tenstorrent: Tenstorrent Announces $1.5B Series E (10 月 19 日/評価額 62 億ドル・出資者・資金使途・ケラー氏の発言)Tenstorrent
前回、2024 年 12 月のシリーズ D では、調達前の評価額 20 億ドルで 6.9 億ドル超を集めていた。評価額は 2 年足らずで、20 億ドル (調達前) から 62 億ドル (調達後) へ上がった。Nvidia に計算が集まる AI の市場で、チップから設計図の切り売りまでを 1 つの設計で揃える挑戦者に、伝統的な運用会社と暗号資産の発行体の資金が同じ列に並んだ。
15 億ドルの顔ぶれ
発表に載った出資者は次の通りだ。
- 共同主導: Trace Capital、Innovation X
- 参加: Agostinelli Group、ARK Invest、Brett Barna、Cadence Ventures、Eclipse、Fidelity Management & Research Company、Maverick Silicon、Morgan Stanley、Protagonist、Sandisk、T. Rowe Price、Tether Investments、Troluce Capital、Virtu Financial、XTX Markets
大手の投資信託の運用会社、記憶媒体メーカーの Sandisk、高頻度取引の XTX Markets と Virtu Financial、そしてテザーと、資金の出どころは幅広い。テザーは事業投資を広げてきた発行体で、AI の計算基盤もその投資先に入った。
1 枚のカードから設計図まで、同じ設計で売る
Tenstorrent の売り方は、規模を問わない点に特徴がある。1 枚のカードやワークステーションから、ラック、大規模なクラスター、さらにチップの設計図 (IP) まで、同じアーキテクチャーで売る。CEO のジム・ケラー氏は「1 つのアーキテクチャーをつくり、あらゆる大きさで売る」と述べた。ケラー氏は Apple の A4/A5、AMD の Zen、Tesla の自動運転用チップの設計者として知られる。
設計図の側では、RISC-V の CPU「TT-Ascalon」と AI 用の演算コア「Tensix」を、自前のチップを設計する企業にライセンスしており、発表は Samsung と LG を顧客に挙げる。ソフトウェアはオープンソースで公開し、開発者が手元で最先端のモデルを動かし、企業が自社の設備内でモデルを運用できるようにしている。
調達した資金は、サーバー「Galaxy」の大規模な展開、大規模言語モデルや動画生成のオープンウェイトのモデルの提供、ライセンス用の AI・CPU の設計図の開発に充てる。
「開かれた計算」に資金が集まる理由
ケラー氏は「計算の未来は開かれ、拡張でき、その上で作る人々のものになる」と語った。Nvidia の GPU と独自のソフトウェアに計算が集まるほど、それ以外の選択肢には値段と供給の両面で価値が出る。命令セットの使用料がかからない RISC-V と、オープンソースのソフトウェアの組み合わせは、自前のチップを持ちたい企業や国にとって、設計の自由度を買う手段になる。
一方で、評価額 62 億ドルは、Nvidia の時価総額と比べれば桁がいくつも違う。ライセンス先が自社のチップを量産し、Galaxy のサーバーが実際の計算の需要を取れるかで、今回の資金の回り方が決まる。
次に見るもの
確認先は Tenstorrent のニュースルームで、Galaxy サーバーの導入先と、TT-Ascalon のライセンス先として Samsung と LG 以外の名前が出るかを見る。あわせて、RISC-V の設計図を使ったチップが量産に入った時期と顧客の公表が、今回の評価額の裏付けになる。
ことば
- RISC-V — 誰でも無償で使える CPU の命令セット (ソフトウェアとチップの間の約束事)。Arm や x86 のような使用料がかからず、自前のチップを設計したい企業や国が採用を広げている。
- シリーズ E — スタートアップの資金調達の段階を表す呼び名。シード、シリーズ A から順に進み、E は上場前の後期の大型調達にあたることが多い。
🔗 一次ソース