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SNAPSHOT 2026-11-04 07:30 JST

Signal

📡 Signal|FomoPeek 1.1〜1.2 に潜んでいた iOS カーネル攻撃の 8 手法

SlowMist が iOS アプリ FomoPeek の 1.1〜1.2 に、8 種類の手法を束ねた iOS カーネル攻撃フレームワークが含まれていたと公表した。成功すればサンドボックスを抜けて Keychain を復号でき、秘密鍵もシードフレーズも端末に置いてあるだけで露出しうる。

LiveMakers Editorial Desk

📡 Signal|FomoPeek 1.1〜1.2 に潜んでいた iOS カーネル攻撃の 8 手法

ブロックチェーンセキュリティ企業の SlowMist が9月19日、iOS アプリ「FomoPeek」のバージョン1.1〜1.2に、8種類の手法を束ねた iOS カーネル攻撃フレームワークが含まれていたと公表した。攻撃が通ればアプリは iOS のサンドボックスを抜け、Keychain のデータを復号できる——秘密鍵もシードフレーズも、その端末に置いてあるというだけで露出しうる状態になる。

自己保管をめぐる話は、ハードウェアウォレットか、ソフトウェアウォレットか、という鍵の置き場所の比較に集まりやすい。だが今回問われているのは置き場所ではなく、鍵を預けた OS がその時点で健全かどうかだ。Keychain が読める前提に立たれた瞬間、アプリ側の設計の差は効かなくなる。

SlowMist の警告は、利用者がどのチェーンにいるかを問わない。公表された内容と、公表されていない部分を分けて見ていく。

SlowMist が挙げた、本来の機能と無関係な二つのモジュール

きっかけは、資産を盗まれたという複数の報告だった。SlowMist は、該当した利用者には共通して秘密鍵の露出があり、その一部が過去に FomoPeek の1.1〜1.2を導入していたと述べている。そして OKX のセキュリティチームとの合同調査により、このアプリに本来の機能と無関係なモジュールが二つ含まれていることを確認したとしている。OKX 側からの独自の発表は、本稿の執筆時点では確認できていない。

うち一つが、iOS カーネルを狙う攻撃フレームワークである。SlowMist によれば8種類の攻撃手法を備え、端末の機種と iOS のバージョンに応じてどれを使うかを自動で選ぶ。攻撃対象として挙げられたのは iOS 12.0〜18.7 と iOS 26.0〜26.1。成功した場合、アプリは各アプリのデータを互いに隔離するサンドボックスを脱出し、OS が鍵やパスワードを暗号化して保管する Keychain にアクセスして復号できる。露出しうるものとして SlowMist が列挙したのは、秘密鍵、シードフレーズ、ログイン情報、チャット履歴、そしてファイルだ。

アプリはまた、公開されているサービスとは無関係な隠しサーバーに接続し、遠隔からの命令を受け取れる状態にあった。解析中に取得した平文の通信から、攻撃機能は現時点で有効で、一定間隔で自動的に動作していると SlowMist は書いている。同社の解析の時点で、機能はすでに動いていた。

対象は iOS 26.1 まで、Apple はすでに 26.7 と 27 を配っている

SlowMist が挙げた対象バージョンの上限は iOS 26.1 だ。Apple のセキュリティリリース一覧で確認すると、iOS 26 系はその後 26.6.2 が9月8日、26.7 が9月14日に出ており、同じ9月14日に iOS 27 と iPadOS 27 の配信も始まっている。今回名指しされた範囲は、現行のリリースより手前で止まっている。SlowMist 自身も、古い iOS を使っている端末ほどリスクが高いと明記している。

ここは読み方に注意がいる。上限が 26.1 なのは SlowMist がその範囲で確認したという意味であって、26.2 以降が対象外だと保証したものではない。下限側も同じで、iOS 12.0 からという幅は、十年ぶんの端末が対象に含まれることを意味する。手元の iPhone を何年も更新していない利用者ほど、この一覧の内側にいる。

表記の粒度にも曖昧さが残る。Apple の一覧では iOS 18 系は8月17日の 18.7.10 まで出ているが、SlowMist の記述は 18.7 で止まっている。18.7.x のどこまでを指すのかは、公表された文面からは読み取れない。

公表されていない三つのこと

以下の三点は、SlowMist の投稿では触れられていない。

第一に、配布経路である。SlowMist は FomoPeek がどう配られたかに触れていない。本稿の執筆時点で米国 App Store の検索に同名のアプリは出てこないが、それが削除の結果なのか、そもそも別の経路で配られていたのかは、公開されている情報だけでは切り分けられない。利用者が自分の端末に入れたかどうかを判定する手がかりは、いまのところアプリ名とバージョン番号しかない。

第二に、二つあったモジュールのうち、カーネル攻撃フレームワークではないほうが何なのかは説明されていない。同じアプリに、本来の機能と無関係な部品がもう一つ載っていたことだけが分かっている。

第三に、被害の規模だ。複数の報告があったとされる一方で、件数も金額も示されていない。

作り直しの順序と、確認先の二つ

SlowMist が該当バージョンの利用者に挙げた対応は六つある。資産に異常がないかの確認、FomoPeek を一度も入れていない信頼できる端末での新しい秘密鍵とシードフレーズの生成、新しいアカウントへの資産移動、iOS の最新版への更新、再インストールを含む利用の停止、そして不審な動きがあった場合の各プラットフォーム公式サポートへの連絡と、端末および関連証拠の保全である。

順序に意味がある。鍵の作り直しは、FomoPeek が一度も入っていない端末で行うことが条件になっている。露出した可能性のある端末の上で新しい鍵を作っても、同じ場所に置き直すだけになる。

確認先は二つある。ひとつは SlowMist の Medium(slowmist.medium.com)で、同社は過去の OKX との合同調査では短報の後に詳細レポートを出している。配布経路と二つ目のモジュールが明かされるとすればここになる。もうひとつは Apple のセキュリティリリース一覧(support.apple.com/en-us/100100)で、8種類の手法が既知の修正済み脆弱性なのか、未修正のものを含むのかは、今後の iOS 27.x および 26.7.x のエントリに現れる。前者は数日から数週間、後者は次の定例更新が目安になる。

ことば

  • Keychain(キーチェーン) — OS 側の金庫にあたる保管領域。ウォレットアプリは自前で鍵を守るのではなくここに預ける設計が一般的で、だからこそ Keychain が復号された時点で、アプリごとの守りの差は問われなくなる。
  • サンドボックス — アプリ同士を隔てる iOS の壁。攻撃者がカーネルを狙うのは、この壁を越えれば一つのアプリから端末上の他のアプリのファイルへ手が届くためで、今回の8種類はいずれもその越え方にあたる。
  • シードフレーズ — ウォレットの全ての鍵を復元できる単語列。パスワードと違って変更という概念がなく、露出したら新しい列を作り直して資産を移すしかない。その作り直しを汚染された端末で行うと、元の木阿弥になる。

🔗 一次ソース

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