SNAPSHOT
BTC/USD$76,861-2.7%
ETH/USD$2,235.04-1.6%
Coinbase(perp)$143.93-7.4%
S&P 500(perp)7,583.60-1.0%
米テック100(perp)28,422.00-1.8%
日経225(perp)62,409-2.2%
EUR/USD(perp)1.1148-0.4%
USD/JPY(perp)157.440-0.1%
Gold(perp)$3,888.40-3.3%
WTI(perp)$102.91+0.1%
米10年金利4.94%-0.8%
BTCボラティリティ(BVIV)43.38+0.9%
Review status: auto_collectedSource: collected_liveas-of 07:30 JSTPacket ID: alt20_2026103107Top-page market prices are Hyperliquid perpetual-futures prices (US 10Y from the U.S. Treasury).
SNAPSHOT 2026-10-31 07:30 JST

Weekly Brief

LVM Weekly Brief #13|Binance から約63億ドル流出、凍結は約30億ドル

Binance のホットウォレットから 10 月 29 日に約 63 億ドルが流出し、約 30 億ドルが凍結された。同じ週に DTCC はトークン化サービスを 20 社で稼働させ、FOMC は 2 人が利上げを求める中で据え置いた。ビットコインは週間 5.7% 安、トークン化米国債は 143 億 2,000 万ドルへ減った。

LiveMakers Editorial Desk

LVM Weekly Brief #13|Binance から約63億ドル流出、凍結は約30億ドル

Executive Summary

10 月 29 日 20 時 5 分 (協定世界時) ごろ、暗号資産取引所 Binance のホットウォレットから、約 63 億ドル分の資産が不正に引き出された。 Binance は 30 日の告知で、利用者の損失は SAFU 基金と自社資金ですべて補填するとし、その原資として 63 億 4,000 万ドル超を確保したと説明した。チェーン上で凍結できたのは約 30 億ドルで、出金は止まったままだ。

同じ週に、米国の証券の決済基盤はトークン化を本番に入れた。 米国の証券保管振替機関 DTC を持つ DTCC は 28 日、トークン化サービスの稼働を発表し、J.P. Morgan、Citi、Morgan Stanley など DTC の参加者 20 社が利用の契約を結んだ。取引所の財布が破られた週に、規制された保管の側では株と国債のトークンが動き始めた。

金利の側では、FRB が据え置きを決め、2 人が利上げを求めた。 連邦公開市場委員会 (FOMC) は 28 日、誘導目標を 3.75〜4.00% に据え置き、クック理事とクリーブランド連銀のハマック総裁が 0.25 ポイントの利上げを主張して反対した。翌 29 日に出た 9 月の個人消費支出 (PCE) 物価は前年比 3.6%。ECB と日銀も同じ週に据え置いたが、日銀でも 1 人が利上げを提案した。

30 日は株、金、暗号資産がそろって売られた。 Intel が売上見通しの弱さで 28.58% 下げ、Nasdaq 総合は 2.86% 安と報じられた。ビットコインは 7 万 6,000 ドル台まで下げて週間 5.7% 安、金の連動先物は 24 時間で 3.47% 下げた。原油だけは上がり、ブレントの 10 月の上昇率は 13.6% に達した。RWA ではトークン化米国債が 143 億 2,000 万ドルと 2.2% 減り、ドル建てのステーブルコインの総額は 3,000 億ドルを割った。

31 日朝の 12 指標は次のとおり。暗号資産・株価指数・為替・商品は先物 (perp) の価格で、24 時間比は取得時点の 24 時間の変化。前週比は 24 日朝との比較だ。

指標31 日朝24 時間比前週比
BTC76,820.0 ドル−2.98%−5.62%
ETH2,238.7 ドル−1.43%−6.69%
Coinbase(COIN 連動先物)143.82 ドル−8.11%−12.48%
S&P 500 連動先物7,581.6−1.06%−0.69%
米テック100 連動先物28,398−2.11%−2.09%
日経225 連動先物62,426−3.00%−0.15%
EUR/USD1.1145−0.33%−0.54%
USD/JPY (ECB 参照レート)157.25−0.51%+0.29%
金 (連動先物)3,879.7 ドル−3.47%−3.04%
WTI 原油 (連動先物)103.14 ドル+0.56%−0.02%
米 10 年金利 (米財務省)4.94%−4bp−6bp
BTC ボラティリティ (BVIV)42.739+2.40%+8.73%

Macro Lane

FOMC は据え置いたが、声明は景気の強さと物価の高さを並べた。 28 日の声明は「経済活動は力強いペースで拡大している」「インフレは高止まりしている」と書き、賛成 10、反対 2 で誘導目標を 3.75〜4.00% に据えた。反対の 2 人はどちらも利上げを求めた。9 月に利上げした後の最初の会合で、据え置きと利上げの差は 2 票まで詰まった。報道によると、会合後の先物市場は 12 月の会合での利上げを 8 割台で織り込んだ。次の FOMC は 12 月 8〜9 日で、経済見通しの公表がある。

物価の数字は、その 2 票を裏づけた。米経済分析局が 29 日に出した 9 月の PCE 物価は前月比 0.5%、前年比 3.6% で、食品とエネルギーを除くコアは前年比 3.1% だった。同じ日の第 3 四半期の国内総生産 (GDP) の速報値は年率 3.4% 増と、4〜6 月期の 2.2% から加速した。一方で 9 月の実質可処分所得は 0.3% 減り、貯蓄率は 3.8% まで下がっている。家計は所得の伸びより速く使っている。

雇用は崩れていない。労働省によると 10 月 24 日までの週の新規失業保険申請は 19 万 4,000 件で、前週から 1,000 件減った。コンファレンス・ボードの 10 月の消費者信頼感は 91.7 と 7.5 ポイント上がり、30 日に出た第 3 四半期の雇用コスト指数は前年比 3.4% 上がった。

長い金利は、FOMC の日に上げて、株安の 2 日で下げた。 財務省の日次利回りを前号の 10 月 23 日と 30 日で並べると、すべての年限で下がり、今週は短い年限ほど下げ幅が大きい。

年限10/2310/2810/30週間の変化
3 か月4.22%4.18%4.16%−6bp
2 年4.69%4.67%4.56%−13bp
5 年4.82%4.85%4.71%−11bp
10 年5.00%5.05%4.94%−6bp
20 年5.37%5.41%5.34%−3bp
30 年5.33%5.37%5.31%−2bp

10 年債は FOMC の 28 日に 5.05% まで上げ、29 日と 30 日の 2 日で 11bp 下げた。2 年と 10 年の差は 31bp から 38bp へ広がった。利上げを織り込みながら 2 年債の利回りが下がるのは、株安の日に安全な短い国債へ資金が逃げたためで、前号、前々号に続いて 3 週連続で、株の売りが国債の利回りを押し下げた。

財政・流動性の定点。 FRB の総資産は 10 月 28 日時点で 6 兆 7,456 億ドル、前週比 80 億ドル減。直接保有する米国債は 4 兆 5,766 億ドルで 39 億ドル増え、住宅ローン担保証券は 117 億ドル減った。今週も目立ったのは財務省の口座 (TGA) で、705 億ドル増えて 1 兆 156 億ドルと 1 兆ドルを超え、準備預金は 743 億ドル減って 2 兆 8,952 億ドルになった。前号の 613 億ドル減と合わせ、銀行の手元の資金は 2 週で 1,356 億ドル吸い上げられた。ECB の 10 月 23 日時点の財務諸表では、総資産が 5 兆 9,350 億ユーロで前週比 4 億ユーロ減、金融政策目的の保有証券は 3 兆 3,005 億ユーロで 105 億ユーロ減った。日本銀行の営業毎旬報告は 10 月 20 日時点から新しい公表がなく、変化なし。

米国の政府債務は 10 月 22 日の 40 兆 4,443 億ドルから 29 日の 40 兆 5,936 億ドルへ、1 週間で 1,493 億ドル増えた。前週の 560 億ドルの 2.7 倍の増え方で、その資金の一部が TGA に積み上がった形だ。FRB が 27 日に出した 9 月の M2 は 23 兆 4,139 億ドルで、前月比 0.48%、前年比 5.7% 増えた。政府の借り入れの速さ、FRB の資産の横ばい、ECB の資産の減少という組み合わせは今週も変わらず、日銀の数字は月末の旬報を待つ。

日本の長い金利は、3 週ぶりに上がった。 財務省の国債金利情報で、10 年債は 23 日の 2.837% から 29 日の 2.876% へ、30 年債は 3.904% から 3.956% へ上がった。日米 10 年金利差は 23 日の 2.16 ポイントから 29 日の 2.10 ポイントへ縮んだ。それでも ECB 参照レートで計算したドル円は 23 日の 156 円 80 銭から 30 日の 157 円 25 銭へ 45 銭の円安で、金利差が縮んでも円は買われなかった。

日銀は 30 日、政策金利を 1.25% 程度に据え置いた。賛成 8、反対 1 で、高田委員は基調的な物価が 2% の目標に達したとして 1.5% への利上げを提案し、否決された。全員一致で決めたのは保有 ETF の売却の加速で、年間の売却ペースを簿価で 3,300 億円程度から 8,600 億円程度へ引き上げ、2027 年 1 月から実施する。時価に換算すると年間 2 兆 4,600 億円程度になる。同時に出た展望レポートでは、2027 年度の生鮮食品を除く物価の見通しの中央値が 7 月の 2.4% から 2.6% へ上がった。

ECB は 29 日に主要な 3 つの金利を据え置き、預金金利は 2.50% のままだ。9 月のユーロ圏の物価は前年比 3.8% と 8 月の 3.2% から上がり、エネルギーを除くと 2.3% だった。会見でラガルド総裁は、2027 年 2 月の理事会の後に総裁を退くと表明した。ユーロは ECB 参照レートで 1.1193 ドルから 1.1172 ドルへ 0.19% 下げた。3 つの中央銀行がそろって据え置いた週だが、FRB では 2 人、日銀では 1 人が利上げを求め、ECB も 12 月の利上げを否定しなかった。

制度の側では、米国の連邦の免許とステーブルコインの準備金が結びついた。 Ripple は 26 日、米通貨監督庁 (OCC) から全国信託銀行 Ripple National Trust Bank の設立の最終承認を得たと発表した。この信託銀行は、ドル建てステーブルコイン RLUSD を裏づける分別管理された準備資産を管理し、開業後はデジタル資産の受託保管を行う。RLUSD の発行は、引き続きニューヨーク州金融サービス局の監督下にある Standard Custody & Trust Company が担う。前号で OCC が GENIUS 法の最終規則を出した翌週に、発行者の準備金の置き場所に連邦の監督が加わった。

議会の側は止まったままだ。暗号資産市場構造法案 (CLARITY 法、H.R.3633) は、9 月 15 日に上院の討論終結の採決が 49 対 50 で否決されて以来、委員会でも本会議でも動いていない。報道によると、11 月 3 日の中間選挙の後の会期で採決をやり直す余地は残っている。米商品先物取引委員会 (CFTC) は 28 日、24 時間・週 7 日の取引について 12 月 15 日に意見交換の場を開くと発表した。

Crypto Lane

ビットコインは週間 5.7% 安で、流出の翌日に 7 万 6,000 ドル台まで下げた。 CoinGecko の 1 時間ごとのデータで、週の高値は 29 日 16 時 (協定世界時) の 8 万 1,692 ドル、安値は 30 日 19 時の 7 万 6,360 ドル。高値をつけた 4 時間後に Binance の流出が始まった。30 日の暗号資産全体の強制決済は、集計によって 13 億〜16 億ドルと報じられている。31 日朝の先物価格は 7 万 6,820 ドルで、前週比は 5.62% 安だった。

Binance の流出は、鍵ではなく、出金を出す仕組みが破られた。 Binance の 30 日の 2 本の告知によると、最初の調べでは DevOps 担当者のノート PC が乗っ取られ、そこから出金の処理を担うサービス用のコンテナに入られて、不正な出金を出された。その後の調べで別の侵入の経路も見つかったとしている。ウォレットの秘密鍵が漏れた証拠は見つかっていない。影響を受けた資産には USDC、USDT、BTC、ETH、BNB が含まれる。Binance は確保した 63 億 4,000 万ドル超のうち 50 億ドルを影響を受けたトークンそのもので持ち、これで約 8 割をまかなえるとし、残りは市場と相対取引で買い集めている。入金とその他のサービスは動いている。

報道では、ブロックチェーン分析の TRM Labs が被害を約 63 億 6,000 万ドルと見積もり、北朝鮮系とされる TraderTraitor の犯行と「高い確度」で判断した。Binance はこの見方を確認していない。凍結では、Tether が 15 億 USDT 超、Circle が 8 億 USDC 超を止めたと伝えられ、Ripple の RLUSD や World Liberty Financial の USD1 も凍結に動いた。盗まれた資産のうち、発行体が止められる形で持っていたものから先に押さえられた。

現物ビットコイン ETF の資金は、流出の前まで入り続けた。報道されている集計で、26 日は 1 億 1,030 万ドル、27 日は 1 億 7,600 万ドル、28 日は 1 億 3,730 万ドル、29 日は 1,710 万ドルの流入で、4 営業日で約 4 億 4,000 万ドル入った。BlackRock の公式ページで、IBIT の受益証券は 29 日時点で 14 億 3,920 万口と、22 日から 80 万口増えた。流出が値段に効いた 30 日の分は、次の集計で確かめる必要がある。

イーサリアムは週間 6.8% 安で、ETF の口数は 1 週で 4% 減った。 報道によると、現物イーサリアム ETF は 26 日から 29 日まで流出が続き、29 日は 1 億 550 万ドルが出た。BlackRock の iShares イーサリアム・トラスト (ETHA) は 29 日時点で受益証券 1 億 3,969 万口と、22 日から 600 万口、4.1% 減った。上場企業の BitMine は 10 月 25 日時点で 605 万 1,933 ETH を持ち、1 週間で 1 万 452 ETH 増やした。2 週続けて 506 万 ETH 台で止まっていたステーキングの量は、522 万 7,037 ETH へ増えた。次期アップグレード Glamsterdam の Hoodi テストネットでの日程は、22 日の延期以来、まだ出ていない。

Coinbase の決算は、取引の稼ぎの細りを示した。 SEC に出した第 3 四半期の資料で、売上高は 12 億 1,560 万ドルと前年比 35% 減った。純利益は 7 億 1,870 万ドルだったが、保有する暗号資産の評価益を除いた調整後の純利益は 7,770 万ドルにとどまる。ステーブルコインからの収入は 3 億 700 万ドルで、取引の収入 5 億 9,020 万ドルの半分を超えた。10 月 25 日までの第 4 四半期の取引収入は約 1 億 6,500 万ドルとしている。株価は 30 日に 13% 前後下げたと報じられ、COIN 連動先物は前週比 12.48% 安だった。

Strategy は、今週はビットコインを買わず、資金を優先株の買い戻しに回した。 SEC への 26 日の届け出によると、10 月 19〜25 日にビットコインの購入はなく、保有は 84 万 8,517 BTC のまま。優先株 STRC を 206 万 8,459 株、2 億 490 万ドル買い戻し、ドルの準備金は 48 億 3,000 万ドルだった。28 日の臨時株主総会では、優先株 4 種の配当を日次払いにする議案が通り、STRC は 11 月 1 日から日次払いに移る。29 日の第 3 四半期決算は、暗号資産の評価益 209 億 1,000 万ドルで純利益 195 億 3,000 万ドル。一方で、1 株あたりのビットコインの保有の伸びを示す自社の指標は、年初来でマイナス 3.7% だった。

主要なアルトは、Hyperliquid の HYPE を除いて下げた。 CoinGecko の 30 日 22 時 55 分 (協定世界時) 時点の 7 日変化率は、HYPE が 14.8% 高、トロンは 0.1% 高で、ソラナは 8.2% 安、BNB は 6.1% 安、ドージコインは 5.0% 安、XRP は 4.4% 安、カルダノは 9.6% 安だった。流出の当事者の BNB は、ビットコインより大きく下げた。Zcash の開発者がブロック時間を 75 秒から 25 秒に縮める NU7 は、ブロック 3,543,405 で有効化する案で、11 月 5〜6 日ごろに当たる見込みだ。

📚 今週の論文

「Tritone: Pairwise Garbled Disputes for Multi-Party Proof Verification on Bitcoin」(Oleksii Avramenko、Alessandro Baccarini、Torben Poguntke〔Input Output〕・IACR ePrint 2026/2612・2026 年 10 月 23 日受理)。 ビットコインのスクリプトでは直接扱えないゼロ知識証明 (Groth16) の検証結果を、合意ルールを変えずにビットコイン上で強制する仕組みを示した。署名者の多数を信頼する従来のブリッジと違い、N 人の運営者のうち 1 人が正直なら資金は守られる。検証はふだんは鎖の外で行い、争いになった時だけ標準の取引で決着させる。メインネットでの費用は、全段階で争いになった場合でも、証明者側が 9,607 vB、検証者側が 1 万 8,160 vB の取引で済むとした。

含意は、ビットコインを他のチェーンや第 2 層へ持ち出す橋の安全性を、「誰を信頼するか」から「1 人でも正直か」へ移せる点にある。Binance の流出で、少数の運営者の鍵と出金の仕組みに資産が集まる危うさが見えた週に、ビットコインの側では、預け先を信頼しなくてよい設計が具体的な費用の数字つきで示された。運営者の数を増やすほど安全になる設計なので、ビットコインを担保にした貸し借りが広がるほど、橋の選び方の基準になりうる。

💰 今週の資金調達

ステーブルコインを中心にした企業向けの金融基盤と、AI の計算資源を担保にした融資に、今週は資金が付いた。AI の大手が設備投資で手元の現金を削った週に、その計算資源を別の財布で支える仕組みが形になり始めている。

  • PhotonPay — ステーブルコインと法定通貨の残高、支払い、為替、カードの発行、現地での清算を 1 つの API にまとめた、香港発の企業向け金融基盤。10 月 29 日、Blockchain Capital がリードするシリーズ C で 4,000 万ドルを集めたと発表した。SBI グループが新たに加わり、IDG Capital などが追加で出資した。12 か月のカード発行は 440 万枚、年換算の取扱高は 650 億ドル (2026 年 8 月時点) としている
  • NexGen Cloud — 欧州と北米で AI のクラウドを運営する会社。10 月 29 日、GPU とその契約収入を担保にした融資の市場を運営する USD.AI が手配役となり、4 年の担保付き融資 1 億 600 万ドルを組んだ。対象はフィンランドのデータセンターに置く NVIDIA の B300 サーバー 216 台で、容量は名前を伏せた大手の AI 推論基盤との契約で埋まっている。株ではなく借り入れで計算資源を買う形だ
  • Collective — 一人で事業を営む人の会計、給与、税務をまとめて受け持つ AI の財務の仕組み。10 月 29 日 (米国時間)、General Catalyst、QED Investors、Gradient Ventures が共同でリードするシリーズ B の 4,000 万ドルと、General Catalyst の顧客獲得向けの資金枠 6,000 万ドルを合わせ、計 1 億ドルを集めた
  • Upwind Security — クラウドと AI の基盤を、実行中の監視と AI エージェントで守るセキュリティ基盤。10 月 28 日、Bessemer Venture Partners がリードするシリーズ C で 4 億ドルを、38 億ドルの評価で集めた。1 月のシリーズ B の評価 15 億ドルから 2.5 倍になった。取引所の内部の端末が侵入口になった Binance の流出と同じ週に、運用中の基盤を守る側に大型の資金が入った

RWA Lane

トークン化米国債は 143 億 2,000 万ドルで、2 週続けて減った。 rwa.xyz の集計で 10 月 30 日時点の残高は 143 億 2,000 万ドル、前号の 146 億 4,000 万ドルから 2.2% 減り、30 日では 2.33% 減。商品数は 119 で変わらない。7 日の利回り (APY) は 3.66% で、同じ日の 3 か月物国債の 4.16% を 0.50 ポイント下回る。前号の 0.61 ポイントから差は縮んだが、器の外の国債の方が利回りは高いままだ。保有者は 8 万 5,661 と 7 日で 1.78% 増えた。

首位が入れ替わった。Ondo の USDY が 23 億 8,385 万ドルで、23 億 5,757 万ドルに減った Circle の USYC を抜いた。BlackRock の BUIDL は 21 億 4,202 万ドル、Franklin Templeton の iBENJI は 17 億 1,216 万ドル、JPMorgan の JLTXX は 7 億 9,194 万ドルで、前号に大きく増えた JLTXX は 0.4% 増と落ち着いた。WisdomTree の WTGXX は 7 億 6,260 万ドルから 6 億 6,076 万ドルへさらに 1 億 184 万ドル、13.4% 減り、2 週で約 4 億ドル減った。減少の理由は公表されていない。

DTCC は、株と国債のトークン化を 20 社で始めた。 DTCC が 28 日に発表したトークン化サービスは、Canton Network と DTCC の私設の Besu ネットワークにつながり、2027 年に他のネットワークを加える予定だ。利用の契約を結んだのは Alpaca、Apex Clearing、Barclays、Bank of America、BNP Paribas、Citadel Securities、Citi、Fidelity、J.P. Morgan、Morgan Stanley、State Street、UBS など DTC の参加者 20 社で、順次増やす。トークン化できるのは、2025 年 12 月の SEC のノーアクションレターが認めた Russell 1000 の構成銘柄、主要指数に連動する ETF、米国債の 3 種類で、製品ページでは開始時点で 34 銘柄を扱う。DTC が預かる資産は 114 兆ドルを超える。ラ・サラ CEO は、トークン化した証券を規制の枠組みに入れる長年の取り組みの「集大成」だと述べた。

前号の Watch では、公式ページが「10 月に提供予定」のまま開始の告知が出ていなかった。予定の月の内に出したことで、トークン化した株や国債の受け渡しが、取引所や発行体ごとの仕組みではなく、既存の証券決済の内側で行われる道ができた。

ステーブルコインの総額は、3,000 億ドルを割った。 DefiLlama の集計で、ドル建てステーブルコインの合計は 10 月 23 日の 3,032 億 5,000 万ドルから 30 日の 2,996 億 8,000 万ドルへ、1 週間で 35 億 7,000 万ドル、1.18% 減った。減少は週の間、毎日続いた。一方、Stripe 傘下の Bridge が発行する Open USD (OUSD) は、準備金ページで 10 月 30 日 22 時 40 分 (協定世界時) 時点の流通が 8 億 8,973 万 OUSD と、前号の 8 億 3,774 万から 6.2% 増えた。前号まで 3 週続いた伸びの鈍化は止まった。準備資産は 8 億 9,173 万ドルで、現金が 11.8%、米国債が 88.2%。

private markets では、2 社が決算で資金の流入を示し、解約の数字は出さなかった。 Ares が 29 日に出した第 3 四半期決算は、運用資産が約 6,910 億ドルで四半期に 193 億ドル増え、総コミットメントは 310 億ドル超、投資の実行は 350 億ドル、税引後の実現利益は 4 億 4,960 万ドル (1 株 1.26 ドル) だった。Blue Owl の同じ日の決算は運用資産が約 3,300 億ドルで、直近 12 か月に約 500 億ドルを集め、機関投資家からの調達は四半期として過去最高だったとした。どちらの決算資料にも、個人向けの非上場ファンドへの解約請求の数字は出ていない。上場している運用会社 (Hamilton Lane、Blue Owl、Ares、Apollo、Blackstone、KKR、StepStone) では、10 月 24〜31 日の提出分に経営陣が自社株を市場で買った開示 (Form 4) は出ていない。

トークン化 RWA の全体は 395 億 6,000 万ドルで、保有者は 545 万。 rwa.xyz で、チェーン上で流通する RWA の合計は 395 億 6,000 万ドル、前号の 390 億 1,000 万ドルから 1.4% 増え、30 日では 1.96% 増えた。保有者は 545 万 6,969 で、前号から 2.9% 増えた。チェーン別の表では Ethereum が 152 億ドル、BNB Chain が 63 億ドル、Solana が 52 億ドル、Stellar が 39 億ドル、Avalanche が 16 億ドル。米国債の器が縮んだ週に全体は増えており、伸びたのは国債以外の資産だった。

Cross-Lane Signals

1. 流出を止めたのは、発行体が凍結できるステーブルコインだった。 Binance から出た約 63 億ドルのうち、約 30 億ドルがチェーン上で凍結された。報道によると Tether と Circle だけで 23 億ドル分を超える。ビットコインやイーサリアムは誰も止められないが、発行体が管理するドル建てのトークンは止められる。前号の OCC の最終規則と今週の Ripple の信託銀行の承認で、ドル建てのトークンの発行と準備金は連邦の監督の下に入りつつある。止められることは、流出の場面では守りになり、平時には発行体と当局の権限になる。この性質が、次に銀行の発行するトークンがどこまで広がるかの論点になる。

2. 預け先のリスクが表に出た週に、規制された決済の器が動き始めた。 取引所の内部の端末と出金の仕組みが破られた 29 日の前日に、DTCC は 20 社でトークン化サービスを始めた。株と国債のトークンを既存の証券決済の内側で受け渡す仕組みが本番に入ったことで、トークン化の資産を持つ場所の選択肢は、暗号資産の取引所から証券会社と保管銀行の側へ広がった。Binance が 11 月 2 日までに出す準備金証明の結果は、取引所に置いた資産がどこまで裏づけられているかを、数字で確かめる最初の機会になる。

3. 3 つの中央銀行が据え置き、3 つとも利上げの声を残した。 FRB では 2 人、日銀では 1 人が利上げを求め、ECB の総裁も 12 月の利上げを否定しなかった。米国の 9 月の PCE 物価は前年比 3.6%、ユーロ圏の 9 月の物価は 3.8%、日銀は 2027 年度の物価の見通しを 2.6% へ上げた。それでも米国債の利回りは株安の日に下がり、3 週連続で同じ形になった。11 月 6 日の雇用統計が強ければ、利上げの織り込みと長い金利の低下のずれは、金利の上げで埋まる道が近い。

4. 逃げ場は今週も金ではなかった。 原油は 10 月にブレントで 13.6% 上がり、ホルムズ海峡でタンカーが損傷した 30 日も上げた。その同じ日に、金の現物は 2.7% 下げて 2025 年 10 月以来の安値になったと CNBC は伝えた。物価の上振れで利上げの見通しが強まり、ハイテク株の売りで損失を埋めるための売りも重なったと説明されている。前号に続き、資金の逃げ先は金ではなく米国債の短い年限だった。原油高が続けば、物価と金利の上げの側に回る材料が積み上がっていく。

5. AI の計算資源は、株から借り入れの側へ資金の出どころを広げた。 報道によると、Alphabet は第 3 四半期のフリーキャッシュフローが 90 億 7,000 万ドルのマイナスとなり、Amazon の直近 12 か月のフリーキャッシュフローも 424 億ドルのマイナスだった。同じ週に、USD.AI は GPU とその契約収入を担保にした 1 億 600 万ドルの融資を組んだ。計算資源を担保にした貸し出しは、private credit の新しい器になり始めている。Ares と Blue Owl は解約の数字を出さずに流入を語ったが、AI の設備の担保価値が下がる局面でこの器がどう振る舞うかは、まだ試されていない。

Risk Digest

1. Technical (技術・市場構造)。 Binance の流出は、取引所の財布の鍵ではなく、出金を出すための内部の仕組みが侵入口になった。被害は他の仕組みにも波及した。報道によると、流出に関係するとみられるウォレットが Aave で約 1 万 9,762 WETH (約 4,460 万ドル) を借り入れたため、Aave は V3 と V4 の市場を凍結し、30 日 13 時 57 分 (協定世界時) に解除した。ひとつの取引所の侵害が、担保を受け入れる側の貸し借りの仕組みを数時間止めた。Binance は詳しい事後報告を出すとしており、侵入の経路が他の取引所にも共通する作りかどうかが、次の確認点になる。

2. Regulatory (規制・立法)。 CFTC は 27 日、CFTC に登録した予測市場を州法で止めようとするユタ州を、連邦法の優先を根拠に提訴した。CFTC は他の 9 州でも法的な手続きを始めているとしている。セリグ委員長は、議会がこれらの市場を監督する唯一の連邦の規制当局として CFTC に任せたと述べた。予測市場の監督の主導権を、連邦と州のどちらが持つかの争いが、裁判所に移った。

3. Market (市場)。 報道によると、30 日に Nasdaq 総合は 2.86% 安、S&P 500 は 1.82% 安と、どちらも 6 月以来の大きな下げになった。Intel は 10〜12 月期の売上見通しが 150 億〜160 億ドルと市場予想を下回り、28.58% 下げて 1974 年以来の下げ幅になった。Alphabet は 28 日の決算で利益が予想に届かず 10% 超下げ、2027 年の設備投資を「大幅に増やす」とした。AI への支出が手元の現金を上回る会社が増え、株の売りがどこまで社債の利回りへ渡るかが、引き続きの確認点だ。

4. Geopolitical (地政学)。 CNBC によると、30 日の清算値は WTI が 104.12 ドル、ブレントの 12 月限が 117.64 ドルで、10 月の上昇率はブレントが 13.6%、WTI が 15.2% と、4 か月続けて上がった。フーシ派は 29 日、サウジアラビアのラス・タヌラ、ラービグ、アブカイクの石油施設を攻撃したと主張した。30 日には英海軍の海上貿易運用センター (UKMTO) が、ホルムズ海峡でタンカーが小型船から取り付けられた爆発物で損傷したと伝えた。WTI の連動先物は 31 日朝に 103.14 ドルで、前週比は横ばいだった。

Next Week Preview

1. 11 月 2 日 (月) まで: Binance の準備金証明と出金の再開。 Binance は出金を段階的に再開し、準備金証明の最初の結果を 11 月 2 日までに出すとしている。告知のページで、利用者の預かり資産を準備金がどこまで上回るかと、事後報告の中身を確かめる。出金が再開した後の資金の動きが、取引所全体の残高の流れを決める。

2. 11 月 3 日 (火): 米国の中間選挙。 下院の全 435 議席と上院の 35 議席が改選される。選挙後の会期で、止まっている CLARITY 法の上院の採決がやり直されるかを、米議会の法案ページで見る。同じ 3 日には Apollo の決算があり、private credit の解約の説明が出るかを確かめる。

3. 11 月 4 日 (水): 米財務省の四半期の国債発行計画。 TGA が 1 兆ドルを超え、政府債務が 1 週で 1,493 億ドル増えた後で、長い年限の発行額をどう組むかを財務省の発表で確かめる。同じ日に Circle の決算があり、凍結の後のステーブルコインの残高と準備金の収入の説明を見る。

4. 11 月 5 日 (木): イングランド銀行の金融政策委員会。 決定と金融政策報告が同時に出る。同じ週の 3 日にはオーストラリア準備銀行の会合もある。FRB、ECB、日銀が利上げの声を残して据え置いた後で、英国が先に動くかを、イングランド銀行の公表で確かめる。

5. 11 月 6 日 (金) 8 時 30 分 (米東部時間): 10 月の米雇用統計。 米労働統計局の公表で、雇用の増え方と平均時給の伸びを見る。12 月 8〜9 日の FOMC の利上げの判断に、最も大きく効く数字になる。

Watch リスト

  • トークン化株式: rwa.xyz で残高 37 億 8,000 万ドル (前週 34 億 5,000 万ドル・30 日 17.10% 増)、保有者 455 万。月間の送金額は 108 億ドルで 30 日 86.82% 減っている。DTCC の稼働の後で、rwa.xyz のトークン化株式ページの残高と使われ方の差が縮むかを見る
  • DTCC のトークン化サービスの銘柄数と参加者: 開始時点で 34 銘柄・20 社。DTCC のトークン化ページで、次の追加の告知が出るか
  • Open USD の流通: 10 月 30 日時点 8 億 8,973 万 OUSD。Bridge の準備金ページで、6.2% に戻った伸びが続くかを見る
  • Glamsterdam の新しい日程: 11 月 5 日の開発者の定例会議 (ACDE #249) とイーサリアム財団のブログで、Hoodi テストネットの日程が改めて出るか
  • MSCI の除外の最終対象: 11 月 11 日の公表で Strategy などの暗号資産を保有する上場企業が入るか。MSCI の指数の告知面で確認できる
  • WTGXX の残高: 2 週で約 4 億ドル減った WisdomTree のトークン化 MMF が、rwa.xyz で下げ止まるか

投資助言ではありません。情報提供・リサーチ目的のみ

🔗 一次ソース

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