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📡 Signal|Quantum Alliance 発足、9組織がブロックチェーンの耐量子標準づくりへ

9組織がブロックチェーンの耐量子対応の公開標準をつくる Quantum Alliance を設立した。引用された604万 BTC の大半は、持ち主が移せば露出が消える運用上の露出だ。

LiveMakers Editorial Desk

📡 Signal|Quantum Alliance 発足、9組織がブロックチェーンの耐量子標準づくりへ

耐量子暗号を手がける Quantus や Midnight Foundation、監査会社 Hacken、ハードウェアウォレットの Keystone など9組織が10月15日、ブロックチェーンの耐量子対応の公開標準をつくる団体「Quantum Alliance」を立ち上げた。共同発表は、ビットコインの発行済み供給量の30.2%にあたる604万 BTC が、すでに公開鍵をさらした状態で保管されているという推計を引いている。

「耐量子」を名乗る製品やチェーンが増えるなか、何をもって対応済みとするかの物差しはまだない。この団体が狙うのはその物差しの側で、標準の中身より先に、誰がどう決めるかの手続きを公開した。初期報は 速報 で伝えた。

何をつくる団体か

共同発表が挙げる目標は3つある。取引の署名、鍵の管理、合意形成 (コンセンサス)、ゼロ知識証明、ノード間の通信について「対応済み」の公開定義をつくること。誰でも自分の実装に対して回せる試験基準とベンチマークをそろえること。公開鍵がすでに露出した鍵や、長く動いていない口座、署名が大きくなる耐量子の取引をどう移すかの参照設計を出すことだ。

運営はインターネットの標準化団体 IETF に近い形をとる。公式サイトによると、参加費や入会審査はなく、個人の資格で参加し、所属は開示するが重みづけはしない。採決はせず、大筋の合意 (rough consensus) で決める。作業部会は、既存チェーンの移行、ゼロ知識証明、ウォレットの安全、チェーン間の互換の4つ。文書は討議文書から提案標準を経て団体標準に進み、団体標準になるには独立した2つ以上のプロジェクトでの実装が要る。成果物は CC BY 4.0 で公開する。

創設に名を連ねたのは、Quantus、AmericanFortress、Intmax、Keystone、Midnight Foundation、Postquant Labs、Abelian、The Vault、Hacken の9組織だ。

604万 BTC の中身

604万 BTC という数字は団体自身の分析ではなく、オンチェーン分析会社 Glassnode が2026年5月20日に公開した推計だ。保管中に公開鍵が見えている BTC を数えたもので、2つに分かれる。

  • 構造的な露出: 192万 BTC (9.6%)。初期の P2PK や Taproot など、スクリプトの形式そのものが公開鍵を見せるもの
  • 運用上の露出: 412万 BTC (20.6%)。アドレスの使い回しや、残高の一部だけを送った後の残りなど、使い方で公開鍵が見えているもの

後者は持ち主が新しいアドレスへ移せば露出が消える。前者には、長く動いていない初期のコインが多く含まれ、持ち主が移さない限りそのまま残る。つまり 604万という数字は「量子計算機が来たら一度に失われる量」ではなく、「移す手間をかけないと守れない量」に近い。送金の瞬間に初めて公開鍵が見えるリスクは、この推計に入っていない。

標準を書く側の顔ぶれ

名簿には読み方の注意が要る。発起の中心にいる Quantus は、最初のブロックから米国立標準技術研究所 (NIST) の耐量子署名 ML-DSA を使う自前のチェーンとトークンを持つ。標準を書く側と、その標準で測られる側を兼ねている。団体は「耐量子の誇張をしない・恐怖を売らない」を原則に掲げており、その原則は自らの名簿にもかかる。

ビットコインやイーサリアムそのものの開発者は、創設の名簿にいない。ビットコインでは公開鍵を隠したまま耐量子の署名へ移す案、イーサリアムではハッシュ型の署名を軸にした移行案が、それぞれの開発者の議論として進んでいる。この団体の標準が影響力を持つのは、そうした本体の議論が「対応済み」を測るときに、外の物差しとして使われる場合だ。

次に見るもの

確認できる次の一点は、公式サイト quantumalliance.io に最初の討議文書が載る時期と、その中で「対応済み」の定義がどの範囲まで書かれるかだ。もう一つは、Glassnode が露出量の推計を更新したとき、運用上の露出 412万 BTC がどれだけ減るかを見る。持ち主が自分で移せる分が減っていれば、標準づくりより先に移行が進んでいることになる。

ことば

  • 耐量子暗号 — 量子計算機でも解けないとされる数学問題にもとづく暗号。いまの楕円曲線署名は、十分に大きな量子計算機があれば公開鍵から秘密鍵を割り出せるため、置き換えが議論されている。
  • 公開鍵の露出 — ビットコインのアドレスの多くは公開鍵のハッシュで、送金するまで公開鍵そのものは見えない。使い回しや一部の形式では公開鍵がチェーン上に残り、量子計算機の攻撃の入口になりうる。
  • ML-DSA — NIST が2024年に標準化した耐量子の電子署名方式。格子と呼ばれる数学構造にもとづき、いまの署名より鍵と署名のサイズが大きい。

🔗 一次ソース

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