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📡 Signal|Circle Arc の創設バリデータに BlackRock・Visa・DTCC——法が動かない間に、レールの運営者が決まった
Circle が 9 月 16 日に立ち上げる L1「Arc」の創設バリデータ 11 社に BlackRock・DTCC・Visa が並んだ。米国の市場構造法案が上院で止まる一方、ルールが適用される場所の運営権が先に配られている。
Circle が 8 月 6 日、9 月 16 日にメインネットを立ち上げる L1 ブロックチェーン Arc の創設バリデータを公表した。名前は BlackRock、DTCC(米証券保管振替機関)、Visa、Mastercard、ICE、Standard Chartered、SBI グループ、住友商事、Global Payments、MoneyGram、Galaxy の 11 社。ここに Circle 自身が加わる。
同じ週、米国のデジタル資産の市場構造を定める法案は上院で止まったまま夏季休会に入ろうとしている。法律が誰に何を許すかを決める前に、決済レールを誰が動かすかの方が先に決まりつつある。この発表の重みは、参加企業の知名度ではなくその順序にある。
発表文を一文だけ正確に読むと、構図はもっとはっきりする。
■ 「open」と「permissioned」が、同じ一文に入っている
Circle の発表文は Arc をこう定義している。"Arc is an open L1 blockchain launched by Arc Network Services LLC ("Arc LLC") and operated by a permissioned validator set."
開かれた L1 であり、運営するのは許可制のバリデータ集合である——この二つが一文に同居している。運営主体は Arc Network Services LLC という法人だ。ガス代は USDC で支払われる。
つまりアプリケーションを載せる側は開かれているが、ネットワークを動かす側は選ばれている。今回名前が出た 11 社は、その選ばれた側だ。
そして発表文には、バリデータ集合をいつどう開くのかについての記述がない。ネイティブトークンについての記述もない。4 月に Circle の CEO がプルーフ・オブ・ステークによるガバナンスへの一歩としてネイティブトークン ARC に言及したと報じられているが、今回の発表はそこに触れていない。9 月 16 日に立ち上がるのは、現時点では許可制のまま立ち上がる。
■ 立法が止まっている間に、運営者が決まる
米国のデジタル資産市場構造法案(CLARITY Act)は、下院を通過し、上院銀行委員会が 5 月 14 日に可決した。そこから先が動いていない。本会議の採決日程はなく、討論終結の動議も出ていない。上院の休会入りは 8 月 7 日で、その前に残る審議日は 2 日だった。再開後、9 月と 10 月に上院が開く日は 14 日しかない。不法金融、農業関連、そして政権幹部が暗号資産で利益を得られるかという倫理条項が、まだ交渉中だ。
一方で 7 月下旬、BlackRock、Fidelity、Franklin Templeton、Goldman Sachs、SoFi が相次いで同法案への支持を表明している。BlackRock の Samara Cohen 氏は「投資家を第一に置くデジタル資産の規制枠組みへの重要な一歩」と述べ、Goldman Sachs の David Solomon 氏は 7 月 23 日に「市場構造を整えるため、CLARITY Act を前に進めることを強く支持する」と語った。連名の書簡ではなく、個別の表明が並んだ形だ。
同じ BlackRock が、法が動かない側では法案への支持を表明し、動く側では Arc の創設バリデータとして名前を出している。どちらも公開情報であり、矛盾ではない。順序の問題だ。ルールが議会で確定するのを待たず、ルールが適用される場所の運営権が先に配られている。
■ 効き始めるのは、2027 年の方だ
発表と同時に出た統合予定を時系列で並べると、9 月 16 日は入口でしかないことが分かる。
BlackRock はトークン化マネーファンドの BUIDL を Arc に展開する予定で、Arc の USDC ネイティブ統合を利用するとされる。DTCC との協業は、DTC が保管する資産のトークン化を 2027 年後半から可能にすることを目指す。BNY と Standard Chartered は、トークン化資産の決済、デジタル資産のカストディ、ステーブルコインへのアクセス、FX・レポ基盤にまたがる統合を検討している段階だ。
Circle の Jeremy Allaire 氏は、世界最大級の銀行・資産運用会社・DeFi プロトコルから 100 を超える構築主体がすでにプライベートメインネット上で開発している、と述べている。ローンチ初日には Aave、Uniswap、FalconX、Binance Wallet、Kraken、MetaMask などが載る予定だ。
新しいチェーンが立ち上がること自体は珍しくない。この発表で見るべきなのは、既存金融の在庫——DTC が保管している資産——が乗ってくる時期が 2027 年後半と名指しされたことだ。9 月のローンチは看板であり、実体の移動はその 1 年以上あとに置かれている。
■ 見るべきもの
- 上院が 8 月 7 日までに討論終結の動議を出したかどうか。出ていなければ、この法案の次の窓は 9 月の 14 日間に圧縮される
- 9 月 16 日までにバリデータが 12 社から増えるか、増えないか。増えないなら、許可制の輪郭はしばらく固定される
- ネイティブトークンとバリデータ開放の設計が、ローンチ前に文書として出てくるか
- DTCC 側から 2027 年後半に向けた中間マイルストーンが示されるか
制度が決まる前に既成事実が積み上がる局面では、条文よりも運営者名簿の方が先行指標になる。今回はその名簿が公開された。
🔗 一次ソース
- Circle プレスリリース(創設バリデータ 11 社と統合、9 月 16 日メインネット。"open L1 ... operated by a permissioned validator set" と Arc Network Services LLC の記述を原文で確認)
- Unchained(11 社の一覧、ガス代の USDC 建て、4 月の ARC トークン言及の報道)
- CoinDesk(8 月 5 日時点の市場構造法案の見通し、休会日程と 9〜10 月の会期日数、交渉中の争点)
- CoinDesk(7 月 28 日・BlackRock、Fidelity、Franklin Templeton、Goldman Sachs、SoFi の支持表明と発言)
- Davis Wright Tremaine(上院銀行委員会が 5 月 14 日に法案を可決し、上院農業委員会案との調整に進む経緯)
- Laura Shin の投稿(11 社の要約と一覧へのリンク)