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📡 Signal|大和と SBI 証券、三井住友銀行のステーブルコインで ST 決済を実証

Project Trinity が第 2 段階を完了。銀行発行のステーブルコインでデジタル証券を同時決済する業務を、証券会社間で検証した。目標は即時でなく T+2。

LiveMakers 編集デスク

📡 Signal|大和と SBI 証券、三井住友銀行のステーブルコインで ST 決済を実証

大和証券と SBI 証券は、三井住友銀行が発行したステーブルコインを使い、デジタル証券 (セキュリティトークン、ST) の売買代金と ST そのものを同時に受け渡す決済 (DvP 決済) の業務検証を終えた。三井住友銀行、Progmat、大阪デジタルエクスチェンジ (ODX) など 9 社が10月6日、実証プロジェクト「Project Trinity」の第 2 段階 (2026年4〜9月) までを完了したと発表した。

いまの ST の二次流通では、証券会社どうしの代金の支払いと ST の受け渡しが同時に行われていない。片方だけが先に履行される間、相手が倒れれば元本を失う。今回の検証は、そのリスクをブロックチェーン上のプログラムで消せることを、検証用に実際に発行した ST とステーブルコインで確かめた。ただし発表が「目指す姿」に置いたのは、約定直後の即時決済ではなく、約定 2 営業日後 (T+2) の同時決済だ。

検証で動いたもの

発表によると、第 2 段階の中身は次のとおり。

  • ST: SBI VC トレードが発行した「自己私募 ST 社債」。ODX が運営する ST の取引市場 START での取引を想定し、SBI 証券と大和証券の間で 2 件の譲渡を行った
  • 決済に使ったステーブルコイン: 三井住友銀行が発行する第 3 号電子決済手段 (特定信託受益権型)。基盤は TISI と Fireblocks の協力で三井住友銀行が提供した
  • ST の基盤と社債原簿の管理: Progmat
  • 別々のブロックチェーンにある ST とステーブルコインをつなぐ技術: Progmat と Datachain が共同で提供

ST とステーブルコインは、どちらもこの検証のためだけに発行された。大和証券、SBI 証券、三井住友銀行、ODX は、検証用の手順書に沿って、ステーブルコインの購入と償還、DvP 決済、ステーブルコインが足りないときや照合が合わないときの対応までを回し、設定したシナリオの範囲で期待どおりの結果を確認したという。

第 1 段階 (2025年8月〜2026年3月) では、業務・システム・法制度の面から現状と目標のずれを整理し、弁護士の協力を得て関係当局に法的な照会をしている。

即時決済を「あるべき姿」に置き、T+2 を先に取る

発表は将来像を二段に分けている。約定後すぐに 1 件ずつ決済する即時グロス決済を「あるべき姿」とし、数年以内に実現できる現実解として、証券会社間でステーブルコインを使う T+2 の DvP 決済を「目指す姿」と定めた。

ブロックチェーンの決済は即時に済むことが売りに語られる。それでも T+2 を選んだのは、証券会社の業務がいまの決済の時間割で組まれているからだと読める。今回の検証が確かめたのは技術よりも、その時間割の中で、ステーブルコインの手当てや照合の不一致を人がどう処理するかだった。発表自身も、複数の取引や ST 基盤、決済手段が混ざる実務に向けては、決済の締め時刻の中で安定して回す体制や業務アプリケーションの高度化が課題として残ったと書いている。

9 月の貿易決済の実証と並べると

日本ではステーブルコインの実証が、決済の用途ごとに並行して進んでいる。9 月 29 日には、金融庁が 3 メガバンクらによる貿易決済向けステーブルコインの実証を、決済高度化プロジェクトの支援案件に決めた (LiveMakers の解説)。こちらは使うステーブルコインの方式も発行体もまだ公表されていない。Project Trinity は、銀行が発行したステーブルコインを実際に動かし、証券の決済という別の用途に当てた検証になる。

使われる場所も違う。貿易決済の実証では、輸出企業の書類を銀行が承認したことを合図に支払いが走る。Project Trinity のステーブルコインは、証券会社どうしの間でだけ使われる業者間の決済手段として置かれた。銀行が発行するステーブルコインが、まず金融機関どうしのお金として使われる道筋が、ここで一つ具体的になった。

次に見るもの

商用化の時期は示されていない。発表は、制度や市場インフラの整備の動向と、業者間の決済に向いたデジタル通貨の発展を見ながら「今後の対応を検討」するとしている。

確認先は Progmat のニュースページだ。次の発表で、第 3 段階の有無と、START 市場での実際の取引に組み込む時期が書かれるかを見る。あわせて、決済に使う手段がステーブルコインに固まるのか、銀行預金をトークン化した預金トークンも選択肢に入るのか。発表が「業者間決済に適したデジタル通貨」とあえて広い言葉を選んだ点に、その答えの余地が残っている。

ことば

  • DvP 決済 — 証券の引き渡し (Delivery) と代金の支払い (Payment) を同時に行い、片方だけが履行される状態をなくす決済の方式。相手が途中で倒れても、証券か代金のどちらかを失う元本リスクが生じない。
  • 第 3 号電子決済手段 — 2023 年施行の改正資金決済法で定めたステーブルコインの区分の一つで、信託の受益権 (特定信託受益権) の形をとる。裏付けの資産を信託で分けて管理する点が、銀行預金や資金移動業者が出す型と異なる。
  • T+2 — 約定日から 2 営業日後に決済すること。日本の上場株式の決済もこの周期で動いており、即時決済と比べて業務の手順を組み替えずに済む。

🔗 一次ソース

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