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SNAPSHOT 2026-10-31 23:03 JST

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📡 Signal|CoinEx、売却を選ばず取引所事業を9年で終了へ

暗号資産取引所 CoinEx が、12月22日の出金期限をもって9年の取引所事業を終える。準備率100%超を掲げたまま創業者が売却を退けた判断と、期限後に月5%が差し引かれる保管の設計、規制コストが中堅取引所に重くのしかかる経路を読む。

LiveMakers Editorial Desk

📡 Signal|CoinEx、売却を選ばず取引所事業を9年で終了へ

暗号資産取引所の CoinEx は 9 月 14 日付の公式発表で、取引所の全事業を段階的に終了すると明らかにした。9 月 29 日に現物取引を止め、12 月 22 日の出金期限をもって、2017 年 12 月 22 日の開業からちょうど 9 年で店を閉じる。

Important Notice on CoinEx's Orderly Cessation of Operations(CoinEx 公式発表・2026年9月14日/撤退の理由、9月15日・22日・29日・12月22日の各段階、準備率100%超、CET の0.005 USDT での買い戻し、期限後の保管手数料月5%、2028年8月22日の請求期限、Wallet と Vault の継続を確認)CoinEx

利用者の資産は準備率 100% 超で全額引き出せるとしたうえでの撤退で、創業者の楊海坡 (ハイポ・ヤン) 氏は売却も検討したが選ばなかったと明かした。破綻ではなく、採算と規制コストの判断で中堅の取引所が自ら事業を畳む。市場の縮小期に取引所の数が減っていく経路の一つが、そのまま日程表になって出てきた案件だ。

12 月 22 日までの 4 段階

公式発表が示した日程は次のとおりである。時刻は協定世界時 (UTC) で、日本時間では 9 時間を足す。

  • 9 月 15 日: 新規登録と紹介報酬を停止。先物は新規の建玉を持てない決済のみのモードに移り、マージン取引・借入・運用商品 (Earn) の新規受付も止まる
  • 9 月 22 日: 現物以外の全サービスを終了。ブロックチェーン経由の入金も停止する (取引所トークン CET だけは 9 月 29 日まで入金可)
  • 9 月 29 日 02:00: 現物取引を終了。利用者の口座に残った CET は 1 枚 0.005 USDT で自動的に買い戻される
  • 12 月 22 日 02:00: 出金期間が終わり、取引所としての運営を終える

CET については、9 月 15 日から 29 日まで同じ 0.005 USDT で買い注文を出し続け、その後の自動買い戻しにも数量の上限や条件を付けないとしている。自己管理型の CoinEx Wallet と Vault は、今回の終了の対象外で運営を続ける。

公式の理由と、創業者が売らなかった理由

公式発表は撤退の理由として、暗号資産市場の長引く低迷、業界全体の出来高と流動性の大幅な縮小、主要な法域で上がり続ける規制要件を挙げ、コンプライアンス費用と運営上の不確実性が「合理的な範囲を超えた」と書いた。

楊氏は 9 月 15 日の X への投稿で、同じ判断をもっと率直な言葉で説明している。報道によると、同氏は取引所の運営に伴うセキュリティとコンプライアンスのリスクが管理しにくくなったとし、「限られた収益のために無限のリスクを負うのは、もはや合理的な選択ではない」と書いた。9 年運営しても業界の上位取引所にはなれなかったことも認めている。

目を引くのは、売却を退けた理由だ。楊氏は売却を真剣に検討したものの、利用者は取引所を、そして多くの場合は自分個人を信頼して資産を預けてきたのであり、その信頼ごと新しい持ち主へ渡して幕を引くのは適切ではないと判断したという。楊氏はマイニングプール ViaBTC の創業者でもある。

取引所の売却は、赤字の事業を手放しつつ利用者を引き継がせる常套手段である。それを選ばず、準備金が足りているうちに期限を切って返すという選択は、利用者から見れば出口の条件がもっとも読みやすい閉じ方になる。

出金期限のあとに残る 20 か月

利用者にとって実務上いちばん重いのは、12 月 22 日を過ぎた後の扱いだ。公式発表によると、出金期間内に引き出されなかった USDT は独立した保管に移され、期間終了時点の残高の 5% が毎月の保管手数料として差し引かれる。請求の受付期限は 2028 年 8 月 22 日である。

12 月 22 日から請求期限までは 20 か月ある。元の残高の 5% を 20 か月払うと、計算上、手数料の累計は元の残高と同じ額に達する。期限の後にも請求の窓口は残るが、時間が経つほど戻る額は減り、請求期限の頃には計算上ほとんど残らない。放置した資産を長く預かり続けない設計で、実質的な締め切りは 12 月 22 日だと読むべきだ。

USDT 以外の資産も 9 月 29 日の現物取引終了にあわせて処理手続きに入る。複数の資産を置いたままの利用者は、それより前に公式発表の手順を確認しておく必要がある。

規制コストは、どこで積み上がってきたか

公式発表は規制要件の上昇を個別の国名を挙げずに語っているが、CoinEx には規制当局と争った記録がある。米ニューヨーク州のレティシア・ジェームズ司法長官は 2023 年、CoinEx が証券・商品のブローカー・ディーラーとして登録しないまま州内の投資家に取引を提供していたとして提訴し、同年 6 月 15 日に和解で 170 万ドル超を回収したと発表した。

和解の条件は重かった。4,691 人のニューヨーク州の投資家へ約 117 万ドルを返金し、60 万ドル超の制裁金を州に支払ったうえで、同州での提供を禁じられ、州内の IP アドレスを遮断することになった。米国の顧客の新規口座も開けなくなり、既存の米国顧客は暗号資産の引き出ししかできない扱いになった。

一つの法域から締め出されるたびに、取引所は利用者の居住地を確かめて遮断する仕組みを作り、法域ごとに登録や免許を取るかどうかを判断し直す。主要な市場が規制の枠組みを整えるほど、登録を前提に事業を続けるための固定費は上がり、それを支えられる出来高を持たない取引所から降りていく。

CoinEx の撤退は、崩れて終わる取引所ではなく、帳尻が合っているうちに閉める取引所の記録として残る。出来高が戻らないまま規制の整備だけが進む局面では、同じ計算をする中堅の取引所が続いても不思議はない。そのとき利用者が見るべきなのは、撤退の発表そのものより、準備率の開示と出金期限の長さ、そして期限後の扱いが最初から書かれているかどうかである。

ことば

  • 準備率 (資産準備率) — 取引所が利用者から預かった資産に対し、同じ種類の資産をどれだけ保有しているかを示す比率。100% を超えれば全員が同時に引き出しても応じられる計算になり、撤退時に全額出金を約束できるかどうかの前提になる。
  • Reduce-Only Mode (決済のみのモード) — 先物で新しい建玉を持つ注文を受け付けず、既存のポジションを減らす注文だけを通す状態。取引所が先物を閉じる前に、利用者に自分でポジションを整理させるための移行措置として使われる。
  • CET — CoinEx が発行した取引所トークン。手数料の割引などに使われてきたが、取引所の終了で使い道がなくなるため、9 月 29 日に利用者の口座に残った分を 1 枚 0.005 USDT で買い戻す。

🔗 一次ソース

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