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📡 Signal|SBI、ステーブルコイン決済 dtcpay の2,500万ドル調達に参加

資金調達

SBIグループがシンガポールのステーブルコイン決済 dtcpay に戦略出資し、シリーズAは総額2,500万ドルで確定した。押さえたのは決済技術ではなく、6法域にまたがる免許の束である。

LiveMakers Editorial Desk

📡 Signal|SBI、ステーブルコイン決済 dtcpay の2,500万ドル調達に参加

SBIグループが9月18日、シンガポールのステーブルコイン決済会社 dtcpay への戦略出資を発表し、同社のシリーズAは総額2,500万ドルで確定した。日本の金融グループがここで手に入れたのは決済アプリでも送金技術でもなく、シンガポールからルクセンブルク、香港、豪州、北米までつながった免許の束である。

dtcpay「dtcpay Welcomes SBI Group as Strategic Investor, Extending Series A to US$25M」(2026年9月18日・PR Newswire 配信の発表原文)The Manila Times

ステーブルコインで国境をまたいで支払うこと自体は、技術としてもう新しくない。数が少ないのは、それを既存の金融規制の内側で動かせる事業者のほうだ。今回の出資は、その少ない側を押さえにいく動きとして読める。

二つの器から入った

dtcpay の発表によれば、SBI は SBI Ventures Asset Pte Ltd と、SBI-NTU-Kyobo Digital Innovation Fund の二つを通じて参加した。このラウンドは2026年4月に Vertex Ventures Southeast Asia & India が先行して引き受けたもので、既存投資家の Genedant Capital と Kwee Liong Tek 氏も持ち分を維持している。SBI は後から入って締めた側にあたる。

dtcpay は2023年6月に1,650万ドルのプレシリーズAを調達しており、今回はそれに続く資金になる。使途として同社が挙げたのは、法人向けポータルの刷新、アプリ機能の拡充、加盟店網の拡大の三つだ。

免許そのものが資産になっている

dtcpay は2019年にシンガポールで設立され、シンガポール金融管理局 (MAS) の主要決済機関 (Major Payment Institution) 免許を持つ。これに加えてルクセンブルクで電子マネー機関 (EMI) の免許を取得し、香港・豪州・米国・カナダでも登録または免許を得ていると同社は説明している。Visa と組んだカードでは、保有するステーブルコインをそのまま店頭の支払いに回せる。

創業者兼CEOの Alice Liu 氏は「今あるものを維持するために調達したのではない。国境をまたぐ資金の動き方そのものを変えるために調達した」と述べた。グループ会長の Band Zhao 氏は「次の章は規模の話だ」として、金融機関との提携深化と規制市場への進出を挙げている。

SBI が名指しした「回廊」

出資の狙いを最も直接に語ったのは SBI 側である。SBI Ven Capital の CEO、Eiichiro So 氏は dtcpay について、従来の決済とステーブルコインを橋渡しする域内有数の規制対応決済基盤を築いてきた、と評した。SBI はこの出資を戦略提携の始まりと位置づけ、日本と東南アジアの間でデジタル資産の組成をつなぐ回廊を広げるものだと説明している。

ここで言う回廊は、送金経路の設計そのものを指している。日本から東南アジアへ資金を送る既存の道はコルレス銀行網で、途中に挟まる銀行の数だけ日数と手数料が積み上がる。ステーブルコインはその中継を減らす手段として持ち出されるが、機能するのは両端に免許を持った事業者が立っている場合に限られる。2,500万ドルのラウンドで SBI が押さえたのは、その東南アジア側の端である。

免許の束という言い方をしたのは、dtcpay 単体の技術が特別だからではない。シンガポール、ルクセンブルク、香港、豪州、米国、カナダという並びは、そのまま「この事業者を通せば規制当局に説明できる」という範囲を示している。銀行や証券会社がステーブルコイン決済に触れるとき、最初に要求されるのはこの範囲の広さだ。

次に見るもの

一つは、これが資本参加で終わるのか、SBI の顧客基盤と dtcpay の決済網をつなぐ業務提携に進むのかである。SBI ホールディングスは四半期ごとに決算説明資料を公表しており、デジタルアセット関連の取り組みはそこに載る。次の四半期報告でこの案件がどの粒度で扱われるかを見れば、出資の色が出る。

もう一つは、dtcpay 側の免許がどこまで増えるかだ。同社のニュースルームと MAS の金融機関ディレクトリを突き合わせれば、どの法域が次に加わるかは外から追える。日本の免許がその並びに入る日が来るかどうかが、回廊という言葉が実体を持ったかどうかの分かれ目になる。

ことば

  • ステーブルコイン — 米ドルなど法定通貨に価値を連動させた暗号資産。値動きを抑える設計のため、投機の対象としてではなく支払いや送金の器として使われる場面が増えている。
  • 主要決済機関 (Major Payment Institution) — シンガポールの決済サービス法に基づく免許区分のうち、取扱高の大きい事業者に課される上位の区分。デジタル決済トークンの取り扱いもこの枠の中で認可される。
  • コルレス銀行 — 海外送金のときに送金銀行と受取銀行の間に立ち、資金を中継する提携銀行。間に入る銀行が増えるほど着金までの日数と手数料がかさむ。

🔗 一次ソース

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