Signal
📡 Signal|Bitcoin Core、32.0 を配らず 32.1 を次の主要版に
Bitcoin Core が 32.1 と 31.2 のタグを付けた。32.0 は直前の問題で配布されず、32.1 が 32 系の最初の版になる。手数料の見積もりと接続の上限が変わり、29 系以前はサポート終了。

Bitcoin Core の開発者は10月26日 (UTC)、次の主要版 32.1 と、31 系の保守版 31.2 のタグを付けた。32.1 のリリースノートは冒頭で、10月21日にタグを付けた 32.0 が「直前に見つかった問題」のため、正式な告知も配布もされなかったと書いている。32 系で最初に配られる版は 32.1 になる。
32.1 の公開とともに、29 系以前はサポート終了になる。中身は手数料の見積もり・接続の上限・送信元を隠す送信の修正など、ノードを動かす取引所やウォレットの設定に直接触る変更が多い。日本時間27日朝の時点で、bitcoincore.org のダウンロードページはまだ 31.1 のままだ。
32.0 は配られず、32.1 が 32 系の最初の版に
タグの記録では、32.0 は10月21日、32.1 は10月26日 18時04分 (UTC)、31.2 は同日 19時36分 (UTC) に付けられた。32.0 で何が問題になったのか、リリースノートは「直前の問題」としか書いていない。
リリースノートには、セキュリティの方針にもとづく予告もある。公開から 2 週間後に、30.0 で修正した中・高の深刻度の脆弱性 3 件を開示し、32.1 で修正した低い深刻度の脆弱性は 0 件だという。サポートが終わる 29 系以前のノードには、今後の修正版は出ない。
手数料の見積もりが 2 つの方式の組み合わせに
利用者に最も近い変更は、手数料を見積もる estimatesmartfee だ。これまでの「過去のブロックに入った取引から見積もる方式」に、「いま待っている取引の中身 (メンプール) から見積もる方式」が加わった。2 つの結果のうち低いほうを返すので、新しい方式は見積もりを下げる方向にしか働かない。
新しい方式は、直近のブロックからメンプールが健全だと判断できるときだけ値を出す。メンプールが空いているときは、中継の最低手数料とメンプールの最低手数料の高いほうに戻る。Bitcoin Core の財布はこの組み合わせた見積もりを使うので、混んでいない時間帯には、これまでより低い手数料が提示されうる。従来の方式だけを使いたい場合は、オプションで明示して選べる。
接続の上限は 125 から 200 に
ノードが自動でつなぐ相手の上限 (-maxconnections) は、既定で 125 から 200 に増えた。増えた枠は主にブロックだけを中継する相手のためで、取引を中継する相手は受け入れ枠の 50% までに抑えられる。外へ取引を流す速さの制限も、相手ごとではなくノード全体の待ち行列で管理する形に変わり、10 分あたり 12MB の帯域の上限が新たに入った。
ほかにも、運用の負担を軽くする変更がある。
- 取引の索引 (
-txindex) は、作り直すとディスクの使用量が半分未満になる - RPC の HTTP サーバーは、外部ライブラリの libevent から自前の実装に置き換わった
- ブロックの検証時に、使う前の出力をデータベースから並行して先読みできるようになった (既定は 8 スレッド)
送信元を隠す送信と、財布の修正
送信元の IP アドレスを隠して取引を送る -privatebroadcast では、条件がそろうと送信元の IP アドレスが漏れうる不具合が直された。新しい接続方式 (v2) での接続に失敗して古い方式でつなぎ直すとき、Tor を通す指定が外れて直接つながる場合があった。送信の待ち行列は 1 万件、1 件あたりの送信の試行は 1,000 回までに制限された。
財布では、財布を作る権限を持つ RPC の利用者が、-walletnotify を設定したノードで任意のコマンドを実行できた問題が直された (Windows 以外)。財布の名前に置換用の文字を仕込む手口で、修正後は財布の名前をそのままの文字列として扱う。リリースノートの謝辞には、個人の開発者に並んで「Anthropic Security」の名もある。
31.2 は保守版で、32.1 と共通の修正を 31 系に取り込んだものだ。ソフトフォークの合図に使うバージョンのビット 5〜28 を合図として扱わなくなった変更 (BIP 323) と、送信の待ち行列の上限が入っている。
次に見るもの
確認先は bitcoincore.org のダウンロードページと、公式の告知のメーリングリストだ。32.1 と 31.2 の配布が始まった日から 2 週間後に、30.0 で直した脆弱性 3 件の内容が開示される。そこで深刻度と影響を受けた版が明らかになり、古い版のノードを残している事業者が、どれだけ急いで上げる必要があるかが分かる。
ことば
- Bitcoin Core — ビットコインのネットワークで最も広く使われているノードのソフトウェア。取引とブロックの検証・中継と、組み込みの財布を持つ。主要版は年に 2 回ほど出る。
- メンプール — ブロックに入るのを待っている取引の置き場。混み具合で手数料の相場が決まるため、32.1 から手数料の見積もりにも使われるようになった。
- サポート終了 (EOL) — その版には修正版がもう出ないという扱い。2 週間後に開示される脆弱性の修正も、29 系以前には届かない。
🔗 一次ソース