朝の12指標
🔬 8月9日朝のマーケット|12指標
市場は止まっている。12指標のうち8つが、金曜の終値のまま動いていない。 生きている4つのうち、大きい2つもほとんど動かなかった。 動いたのは、その外側だ。
週末の朝は、値動きの話をする日ではない。取引そのものが無いからだ。米株も金利も為替も商品も、8月7日(金)の終値のまま週末を越えている。
だから今朝、生きている数字は暗号資産の4つしかない。そしてその4つを見ると、上の2つが止まっている。BTCは+0.11%、ETHは+0.24%。24時間でこの幅は、方向を持っていないのと変わらない。
今朝の主題はここにある。市場が止まっているのではなく、止まって見える表面の内側で、選別だけが進んでいる。
同じ週末レコードに並ぶ他の暗号資産では、ICPが+4.89%、SOLが+3.44%、ATOMが+2.14%、LINKが+2.01%、XRPが+2.00%上げた。逆にALGOは-1.71%、ADAは-0.76%下げている。大型2銘柄の静止と、その外側の5%を超える開きが、同じ24時間に同居している。
そして金曜の米国株の内側でも、同じことが起きていた。指数は+0.62%。だがその内側には、+35.31%から-7.79%まで43ポイントの開きがあった。
【朝の12指標】
2026年8月9日07:30 JSTの自動12指標レコードが基準。暗号資産の4銘柄は9日朝のライブ値。米株・米金利・為替・商品・日経平均先物は8月7日(金)終値で、週末をはさんで新しい取引が無く、値は先週末版から更新されていない。
なお金とWTIの金曜終値は、先週末版が示した値(金$4,401.30/WTI$77.08)から、今朝のレコードでは$4,340.70/$78.18に動いている。先物の終値は確定までに動くことがある。以下は今朝のレコードの値を使う。
1|BTC $64,958(+0.11%) 24時間でほぼ動いていない。金曜の$64,889との差は$69だ。7日朝の$64,315からは3日で+1.0%の位置にある。
2|ETH $1,918.88(+0.24%) BTCと同じく静止している。$1,900台を維持。金曜の$1,914.41との差は$4.47。majorの2銘柄が揃ってこの幅に収まる日は、方向が出ていない日だ。
3|ADA $0.199948(-0.76%) $0.2をわずかに割った。先週は前週末比+19.92%で12指標最大の上昇だった銘柄が、週末は小幅に戻している。
4|NIGHT $0.01891022(-1.02%)参考値 小幅安。外部ライブでの独立確認ができないため参考値として扱う。
5|S&P 500 7,757.64 8月7日(金)終値。週末をはさんで新しい取引はない。先週は前週末比+3.58%で終えている。
6|日経平均先物(NKD1) 66,345 8月7日(金)終値。更新なし。先週は前週末比+5.30%と、12指標の株価指数で最大の上げだった。
7|DXY 99.60 8月7日(金)終値。100を割り込んだ水準のまま止まっている。
8|USD/JPY 157.745 8月7日(金)終値。157円台で動いていない。先週1週間の変化も+0.22%で、ほぼ横ばいだった。
9|Gold $4,340.70 8月7日(金)終値。先週は12指標で最大の上昇だった。原油が崩れた週に金だけが逆へ振れた構図は、週末をまたいでそのまま残っている。
10|WTI $78.18 8月7日(金)終値。先週は12指標で最大の下落で、80ドルを割り込んだ水準にある。次の材料は8月12日の米在庫統計だ。
11|米10年債利回り 4.66% 8月7日(金)終値。先週は前週末比-8.5bpの低下だった。来週は11日から13日にかけて3年債・10年債・30年債の入札が続く。
12|VIX 14.90 8月7日(金)終値。15を割り込んだ水準のまま。7月25日の18.58から、3週間で4ポイント近く下がっている。
🛰️ 補助シグナル(サテライト|12指標本体とは別枠)
(個別株は8月7日〔金〕終値・前営業日〔8月6日木〕比・配当調整後。本体12指標の置き換えではなく、サテライトとして見る)
■ Private Markets / RWA
9社のうち上げたのが4社、下げたのが5社。Blue Owl +3.58%、Blackstone +2.76%、Hamilton Lane +2.63%、TPG +0.99%。下げた側はApollo -0.43%、KKR -0.52%、Ares -0.96%、Carlyle -2.23%、そしてStepStone -7.79%。
レーン全体としては方向が出ていない。上下に割れて、平均すればほぼ動いていない週の終わり方だ。目を引くのは1社だけである。
StepStoneは$50.91で寄り、そこが当日の高値になり、$46.41で引けた。前日終値は$50.33。出来高は524万株で、直近の平均のおよそ3倍にあたる。上げ続けた週の最終日に、寄り付きから引けまで一方向へ売られた形になっている。
■ AI Capital Cycle
金曜のこのレーンは、ほぼ1社に集約される。
Atlassianが+35.31%。前日終値$110.17に対して$145.13で寄り付く窓を開け、$149.07で引けた。出来高は2,008万株で、前日の791万株の2.5倍を超えている。
同社は8月6日、6月30日締めの第4四半期および通期決算を公表した。四半期売上高は17億6,600万ドルで前年同期比+28%、うちクラウドが12億1,300万ドルで+31%。サブスクリプションARRは66億600万ドルで+23%、残存履行義務は48億1,700万ドルで+44%。GAAPベースの営業損益は2億1,100万ドルの黒字で、前年同期の2,800万ドルの赤字から転換した。営業利益率は12%、前年同期は-2%である。
発表資料では、同社のMCPサーバーとTeamwork Graph CLIの月間アクティブユーザーが100万に達し、社内で最も速く伸びた連携面になったとしている。
そして同じ資料のなかで、共同創業者兼CEOのMike Cannon-Brookes氏が、最大2億5,000万ドルのクラスA普通株を市場で買い付ける取引計画を結ぶ意向を示した。規則10b5-1(c)の要件を満たす形で組成されるとしている。
レーンの他の銘柄も同じ方向に寄った。ServiceNow +6.42%、Super Micro +5.96%、Marvell +3.89%、Salesforce +3.20%、Oracle +2.47%、NVIDIA +2.27%、Applied Materials +2.21%、Lam Research +1.82%、Broadcom +1.71%。下げたのはArista -1.90%、AMD -1.21%、Vertiv -1.01%、Alphabet -0.96%、Micron -0.44%。
12指標の外側になるが、同じ金曜、Coinbaseは+5.63%で引けている。
【12指標の読み方】
今朝の12指標は、動いていないことを見る日だ。
8つの指標が金曜の終値のまま止まっている。これは値が動かなかったのではなく、取引が無いという意味である。週末の数字は、市場が最後にどこで手を止めたかの記録であって、いまの評価ではない。
生きている4つを見ると、上の2つが止まっている。BTC+0.11%、ETH+0.24%。この幅は、方向を持っていないのと変わらない。
だが外側は動いている。ICP+4.89%、SOL+3.44%、ATOM+2.14%、LINK+2.01%、XRP+2.00%。逆にALGO-1.71%、ADA-0.76%。同じ24時間で、上と下に5%を超える開きがある。
先週、暗号資産は久しぶりに方向がそろった週だった。BTCもETHも株と同じ向きに上げ、majorの動きは株式のリスク選好とほとんど区別がつかなかった。その連動が、週末に入って解けている。大型が止まってその外側だけが動くとき、資金は市場全体のリスク許容度を売買していない。個別の材料を売買している。
そして金曜の米国株にも、同じ構造があった。
S&P500は+0.62%。指数だけ見れば静かな日だ。だが内側では、Atlassianが+35.31%、StepStoneが-7.79%。同じ日の同じ市場に、43ポイントの開きがある。指数が小さく動いた日ほど、内側では大きな入れ替えが起きていることがある。
Atlassianの窓は、出てきた情報の量と整合している。売上+28%、クラウド+31%、残存履行義務+44%、そしてGAAPベースでの黒字転換。加えて創業者本人が、最大2億5,000万ドルの買い付け計画を示した。株価が一晩で3分の1以上動くだけの材料が、一度に並んでいる。
ただし、これは1社の話だ。同じレーンでArista、AMD、Vertiv、Alphabet、Micronは下げている。AIという一つの括りの内側で線が引き直され続けている状態は、7月から変わっていない。
【先行指標 Watch】
① 大型2銘柄の静止が解けるか——BTC$64,958、ETH$1,918.88。月曜の東京・NY再開でこの幅が広がるか。先週の株との連動に戻るなら、金曜のS&P500+0.62%に遅れて追随する形になる
② 上と下の開き——ICP+4.89%からALGO-1.71%まで、週末の暗号資産には5%を超える分散がある。平日の出来高が乗ったときに縮むか、広がるか。広がるなら、資金は市場全体ではなく個別材料を見ている
③ 日銀「主な意見」——8月10日8時50分公表。7月30〜31日会合で1.25%への引き上げを提案した委員が孤立していたのか、他の委員がどこまで同じ方向を見ていたか
④ 米国債の入札——8月11日から13日にかけて3年債・10年債・30年債、総額1,250億ドル。4.66%まで下げた10年金利で消化できるか。金利が戻れば、先週の株高が乗っている前提のほうが先に崩れる
⑤ Atlassianの窓が埋まるか——$149.07。決算翌日の+35.31%が水準として残るか、数日で戻すか。ServiceNow+6.42%、Salesforce+3.20%が追随するなら、1社の決算ではなくAI関連ソフトウェア全体の評価の話になる
⑥ StepStoneの-7.79%——同レーン9社で唯一の急落。寄り付きが高値、引けが安値、出来高は平均の約3倍。単日の需給か、プライベート資産側に別の材料があるか
⑦ 原油と金の組み合わせ——WTI$78.18、金$4,340.70。先週は原油が崩れて金が上げた。この組み合わせが月曜以降も続くなら、金を買っている理由は物価の側にはない。8月12日の米在庫統計が原油側の次の材料になる
今日の結論。
週末の12指標は、8つが止まって4つが生きている。その4つのうち大きい2つも、ほとんど動いていない。
だから今朝いちばん情報量があるのは、動いた数字ではなく、動き方の分かれ方のほうだ。暗号資産では大型が止まって外側が5%動き、金曜の米国株では指数が+0.62%動く裏側に43ポイントの開きがあった。表面はどちらも静かで、内側はどちらも静かではない。
市場全体の方向を売買する局面から、どこに置くかを選び直す局面へ。先週そろった連動が週末に解けたのは、その形をしている。
来週それを試すのは、10日の日銀「主な意見」と、11日から13日の1,250億ドルの入札だ。止まっているように見える数字が、どちらを向いて止まっていたのかは、そこで分かる。
🔗 一次ソース
- Atlassian「Fourth Quarter and Fiscal Year 2026 Results」(2026年8月6日公表・四半期売上17億6,600万ドル/+28%、クラウド12億1,300万ドル/+31%、サブスクリプションARR 66億600万ドル、残存履行義務48億1,700万ドル、GAAP営業利益2億1,100万ドル、創業者による最大2億5,000万ドルの買い付け計画)https://s206.q4cdn.com/270053503/files/doc_financials/2026/q4/TEAM-Q4-2026-Earnings-Release.pdf
- 日本銀行「金融政策決定会合の日程・議事要旨等」(7月30〜31日会合の「主な意見」は8月10日8時50分公表)https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/index.htm
- 米財務省「四半期定例リファンディング公表」(2026年8月5日・総額1,250億ドル・11日3年債/12日10年債/13日30年債)https://home.treasury.gov/news/press-releases/sb0590
- 米エネルギー情報局「Weekly Petroleum Status Report」(週次の石油在庫統計・次回8月12日公表)https://www.eia.gov/petroleum/supply/weekly/
本稿は市場環境の解説であり、投資推奨ではない。数値は更新時刻・データ元により差が出る。