SNAPSHOT
BTC/USD$81,323+1.3%
ETH/USD$2,661.60+3.5%
ADA/USD$0.2306+5.1%
NIGHT/USD$0.02386-1.6%
S&P 5007,650.50+0.2%
日経平均先物65,060+0.1%
DXY100.275+0.1%
USD/JPY156.941+0.5%
Gold$4,406.00-0.4%
WTI$93.88-6.4%
米10年金利4.998%+1.0%
VIX14.81-4.1%
審査状態: auto_collectedソース: collected_liveas-of 2026-09-21 12:45 JSTパケットID: mext_2026092112数値は取得時点のスナップショットです
SNAPSHOT 2026-09-21 12:03 JST

Signal

📡 Signal|JPYC が Upbit で 1 円割れ、償還窓口のない市場の値段

JPYC が上場 5 日目の Upbit ウォン建て市場で 1 円を下回り続ける。償還の窓口が韓国の買い手に開いていないことを、Upbit 自身が上場当日に書いていた。

LiveMakers 編集デスク

📡 Signal|JPYC が Upbit で 1 円割れ、償還窓口のない市場の値段

日本円ステーブルコインJPYCが、9月17日に上場した韓国の取引所Upbitのウォン建て市場で、1円を下回る値で取引され続けている。Upbitの公開データでは、9月19日に付けた安値8.41ウォンが上場後の最安値で、9月21日の午前も8.6ウォン台にとどまる。欧州中央銀行(ECB)の9月18日の参照レート(1円=8.7916ウォン)で換算すると、安値は約0.96円、直近の値は約0.98円にあたる。

発行体のJPYC株式会社は、1JPYC=1円で償還できる設計を変えていない。設計が変わらないまま値段が1円に戻らないのは、償還の窓口が誰にでも開いているわけではないからだ。Upbitの値段は、償還に手が届かない買い手がつける値段である。ディスカウントを信用の問題として読む前に、窓口の構造を見ておく必要がある。

■ 参照値8.81ウォンを割るまでの2日間

Upbitは9月17日9時48分(韓国時間)に、PayPalのPYUSDと並べてJPYCの取り扱い開始を告知した。市場はウォン建て・BTC建て・USDT建ての3つ、入出金のネットワークはEthereumである。告知には「入出金の開始後、一定水準の流動性を確保できない場合は取引開始が延期されることがある」との条件があり、実際に開始時刻は正午から15時へ、15時から18時へと2度延びた。告知が示した参照値は、CoinMarketCapの相場を基準にした8.81ウォン(9月17日9時40分時点)だった。

18時に取引が始まると、初日の値は参照値から大きく外れた。日足の始値は12.0ウォン、高値は37.6ウォンで、ECBの9月17日の参照レート(1円=8.8801ウォン)で換算すると高値は約4.2円になる。初日の売買代金は2,858億ウォン、およそ322億円相当に達した。翌18日には安値8.70ウォン、終値8.78ウォンと参照値を割り込み、19日に安値8.41ウォンを付けた。売買代金は18日が419億ウォン、19日が115億ウォン、20日が39億ウォンと日を追って細り、21日は午前中で10億ウォンにとどまる。値は8.6〜8.8ウォンの帯に落ち着き、1円相当の8.79ウォン(9月18日のECBレート換算)には戻っていない。

Upbitが取引前に置いた制限も記録しておく。取引開始から約5分間は買い注文を受け付けず、前日終値から10%以上安い売り注文は受け付けず、約2時間は指値注文以外を受け付けない。初日の高値は、この制限の中で付いた値である。なお9月21日時点で、Upbitはこの銘柄に投資注意や投資警告の指定を出していない。

■ Upbit自身が償還の制約を書いている

9月17日18時44分、取引開始の直後にUpbitはもう一つ告知を出した。KaiaとPolygonのネットワークを通じたJPYCの入金を受け付けるというもので(19時23分に開始)、出金は追って対応するとしている。同じ告知に、次の趣旨の文がある。JPYCは1JPYCあたり1円で償還されうるステーブルコインだが、韓国の利用者がJPYC EXを通じて直接1円で償還するには利用要件上の制約がある。ステーブルコインという特性だけを根拠に、価格が常に一定に保たれると判断しないように。

取引所が上場と同じ日に、自らの市場で取引される銘柄について「償還には制約がある」と書いた。これがUpbitのJPYC価格を読むときの出発点になる。参照値8.81ウォンは、CoinMarketCapが集計する世界の相場、つまり1円で償還できる人が値付けの中心にいる市場の値である。Upbitのウォン建て市場は、その人たちがいない市場だ。

■ JPYC側で同じ2日に起きていたこと

発行体の側も、この2日間は静かではなかった。JPYC株式会社は9月17日20時34分(日本時間)に、Ethereum上のJPYC発行予約を一時停止したと公式アカウントで告知し、23時43分に復旧を伝えた。停止の原因は公表されていない。NADA NEWSの取材に対し、岡部典孝代表は「特に発行が急増して夜中に在庫が足りなくなってしまいました」と述べている。

翌18日18時45分、同社は累計発行額が100億円を突破したと発表した(9月18日時点)。発表は対応チェーンをAvalanche、Ethereum、Polygon、Kaiaの4つとし、1JPYC=1円で利用でき、同額の日本円に償還でき、裏付け資産は円の預貯金と国債で保全すると改めて書いている。発表文にUpbitや海外取引所への言及はない。

上場そのものについて、岡部代表はCoinPostの取材に「国内の電取業者より先に、韓国最大手のアップビットで取り扱われることになり驚いている」と語り、NADA NEWSの取材では「Upbitの上場は全く知りませんでした」「JPYC社は発行時に必ず1円を受け取っています。その為2次流通価格に関係なく、償還することができます」と述べた。発行体は上場を事前に知らず、償還の約束は二次流通の値段と切り離されている。発行体の発言と取引所の告知は、同じ構造を反対側から描いている。

■ 裁定の経路が細い理由

理屈の上では、Upbitで0.98円のJPYCを買い、Ethereumで引き出し、JPYC EXで1円に償還すれば差額が取れる。値が1円へ寄らないのは、この経路が細いからだ。

第一に、償還できるのはJPYC EXの口座保有者に限られ、Upbitの告知が言う「利用要件上の制約」がそこにかかる。第二に、JPYC EXには1回あたり100万円の発行上限があり(2026年5月のアップデートで「1日あたり100万円」から変更)、岡部代表はCoinPostの取材で「今回の上場が国内の発行・償還100万円を見直すきっかけの一つになれば嬉しい」と語っている。往復の1回ごとに上限がある経路で、初日に322億円相当が動いた市場を1円へ戻すには、多くの人が何度も往復する必要がある。第三に、Upbitから引き出せるネットワークは9月21日時点でEthereumだけで、PolygonとKaiaは入金のみである。

同じ細さは、上場初日の逆方向にも出ていた。高値37.6ウォン、約4.2円という値は、買い手が集まったのに供給が追いつかなかった数時間の値である。JPYC側では同じ夜にEthereum上の発行予約が止まり、Upbit側で受け付ける入金はEthereumだけだった。パイプが細ければ、需要が先に来れば上へ、供給が先に来れば下へ、同じ理由で値が外れる。上場から5日で4.2円から0.96円まで動いた値幅は、その細さの大きさをそのまま示している。

■ 次に見るもの

確認先は三つある。一つ目はUpbitのお知らせで、PolygonとKaiaの出金が開放されるかどうか。開放されれば裁定の経路が一本増える。二つ目はUpbitのKRW-JPYC市場の日足で、出金開放の後に終値が8.79ウォン前後、つまり1円相当へ寄るかどうか。三つ目はJPYC株式会社のPR TIMESと公式アカウントで、Upbit市場の価格や海外利用者の償還について発行体が何かを書くかどうかである。岡部代表が触れた「国内の電取業者」での取り扱いが決まれば、償還に手が届く買い手がいる市場が国内にできることになり、値付けの中心が動く。

■ ことば

  • 電子決済手段 — 2023年施行の改正資金決済法で定義された、法定通貨に価値を連動させ償還を約束するステーブルコインの法的な区分。JPYCは資金移動業者として2025年8月に登録し、同年10月から発行している。
  • 参照値 — 取引所が新規上場の際に示す基準の価格。Upbitは今回、CoinMarketCapの相場をもとに8.81ウォンと示した。上場後の値がここからどれだけ外れたかを測る物差しになる。
  • 償還 — 保有者がステーブルコインを発行体に返し、同額の法定通貨を受け取ること。JPYCでは日本円で1JPYC=1円。誰が償還できるかが、二次流通の値段を1円に引き戻す力の源になる。

🔗 一次ソース

関連記事