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📡 Signal|Winklevoss 兄弟、Zcash の現物 ETF「WINK」を申請
Zcash の現物 ETF に2本目の申請。手数料0.25%・保管は Gemini。届出書は、信託が ZEC 保有者の投票に参加しない見込みだと明記した。
キャメロンとタイラーのウィンクルボス兄弟の資産運用会社が組成した信託「Winklevoss Zcash ETF」が10月6日、米証券取引委員会 (SEC) に S-1 登録届出書を提出した。Zcash (ZEC) を直接保有する現物 ETF で、ティッカーは「WINK」、上場先は Nasdaq、スポンサー手数料は年0.25%。保管は兄弟の暗号資産取引所 Gemini の信託会社が担う。
米国で ZEC の現物 ETF は、8月25日に NYSE Arca へ上場した Grayscale の「ZCSH」が先にある。2本目の申請は、プライバシーを売りにする銘柄が上場商品の器に入る流れが一社の試みで終わらないことを示す。ただし届出書は、その器が Zcash の最大の特徴である「見えない送金」とどう付き合うかについて、はっきりした線を引いている。
初期報は7日の速報で伝えた。本稿では届出書の本文で中身を確かめる。
届出書に書かれた器の形
信託は10月6日にデラウェア州法の法定信託として設立され、スポンサーの Winklevoss Asset Services は10月1日に設立されたばかりの会社だ。保管を担う Gemini Trust Company は、届出書の言葉で「スポンサーの関連会社」にあたる。
- ティッカー: WINK (Nasdaq への上場をめざす)
- スポンサー手数料: 年0.25% (ZEC 建てで日々計算、ZEC か現金で月次払い。スポンサーの判断で一部または全部を免除できる)
- 設定・交換: ZEC の現物による受け渡しと、現金による受け渡しの両方を受け付ける
- 保管: 信託専用に分けたコールドストレージ (オフラインの保管) のアドレス
- 基準価格: 60分間の時間加重平均価格を使う設計。指標の提供者名は空欄
兄弟のファミリーオフィスである Winklevoss Capital Fund は、この募集で最大1億ドル分の受益証券を買う意向を示した。拘束力のない意向表明で、届出書では、設定・交換の単位となる口数や当初の出資額もまだ空欄のままだ。
信託は「見えない送金」の投票に加わらない
Zcash の送金には、送り手・受け手・金額が公開される「非シールド」と、ゼロ知識証明でそれを隠す「シールド」の2種類がある。届出書によると、ネットワークの始まりから2026年までの取引のうち、約45%が非シールド、約45%が当事者の一方がシールドのアドレスを使ったもの、両者ともシールドだったのは約10%にとどまる。
信託がどちらの種類のアドレスで ZEC を持つかは、届出書に書かれていない。書かれているのは、ZEC の保有者が開発資金やネットワーク更新への賛否を示す「コインホルダー投票」に、信託は参加する見込みがないという一点だ。理由は、参加にはシールドの ZEC を自分で鍵を持つ財布 (自己保管) に置く必要があるからだという。2026年に行われた次期更新 NU7 をめぐる投票には、約240万 ZEC が参加している。
その一方で、信託は Cypherpunk Technologies と契約を結び、同社を「Zcash エコシステム・パートナー」に据えた。役割は、コインホルダー投票への対応の支援、プロトコルや技術の動向に関する助言などとされる。投票には加わらないが、投票の動きを追う窓口は持つ、という建て付けだ。
ETF という器は、カストディアン (保管機関) が鍵を持ち、監査できる形で資産を置くことで成り立つ。自己保管のシールド残高を前提にした Zcash の意思決定の場には、その器のままでは入れない。ZEC の値動きは信託の外から買えるようになるが、ZEC の運営に加わる権利は信託の外に残る。
先行する ZCSH と、届出書が開示したリスク
先行の ZCSH は、Grayscale が長く運用してきた Zcash の信託を ETF に転換したもので、Coinbase が保管を担う。Grayscale は上場から2週間後の9月8日、純資産が5億ドルを超えたと発表し、「現物の ZEC に投資できる世界で唯一の上場商品」だと説明した。WINK は手数料と保管先の組み合わせで、この先行商品と並ぶことになる。
届出書のリスク要因には、今年のネットワークの事故も書かれている。2026年5月下旬、Shielded Labs の研究者が、シールドの仕組みの一つ「Orchard」のゼロ知識証明の回路に、2022年の導入時からあった欠陥を見つけた。偽の ZEC を作り出すことに悪用できた可能性があるもので、6月上旬に緊急のネットワーク更新で修正され、7月28日には追加の更新「Ironwood (NU6.3)」が有効化された。取引の中身を隠す仕組みは、欠陥があっても外から気づきにくい。上場商品の投資家にとって、それは価格とは別のリスクとして開示されている。
ビットコイン (BTC) とイーサリアム (ETH) の現物 ETF は2024年に米国で取引が始まり、その後ステーキングを組み込んだ商品や時価総額の下位の銘柄へと広がってきた。ウィンクルボス兄弟は、その流れのはるか手前で BTC の ETF に挑んだ当事者でもある。兄弟の「Winklevoss Bitcoin Trust」の上場申請を、SEC は2017年3月10日に不承認とした。BTC で門前払いを受けた兄弟が、いま申請する対象にプライバシー型の銘柄を選んだ。
次に見るもの
確認先は、SEC の電子開示システム EDGAR にある Winklevoss Zcash ETF の提出書類の一覧だ。S-1 の修正版 (S-1/A) が出れば、空欄の基準価格の提供者、1口あたりの ZEC の量、当初の出資額が埋まる。Nasdaq がこの商品の上場に向けた規則変更の申請を出すかどうかも、同じ時期に動く。
ネットワークの側では、ブロックの間隔を縮める次期更新 NU7 がテストネットで動いている (LiveMakers の解説)。保管を担う Gemini 自身も、この更新に備えてノードを入れ替えてきた (同解説)。メインネットでの有効化の判断が出れば、信託の保管の運用もそれに合わせて動く。
ことば
- S-1 登録届出書 — 米国で証券を新しく公募するときに SEC へ出す届出書。ETF の場合は、信託の仕組み、手数料、保管、リスク要因が書かれる。最初の版は空欄を残したまま出し、修正版で埋めていくのが通例だ。
- シールド取引 — Zcash で、送り手・受け手・金額をゼロ知識証明で隠したまま、取引が正しいことだけを検証させる送金。公開型の送金と同じ ZEC を使い、利用者がどちらで送るかを選べる。
- コインホルダー投票 — シールドの ZEC を持つ人が、保有量に応じて開発資金やネットワーク更新への賛否を示す仕組み。結果は助言であって、ネットワークを拘束しない。
🔗 一次ソース
- Winklevoss Zcash ETF Form S-1 (SEC EDGAR・2026年10月6日提出) — ティッカー WINK・Nasdaq・手数料年0.25%・Gemini Trust Company による保管・最大1億ドルの購入意向・コインホルダー投票に参加しない方針・Cypherpunk との契約・シールド取引の比率・Orchard の欠陥と Ironwood を確認sec.gov
- Grayscale「The Zcash ETF (Ticker: ZCSH) Grows AUM to More Than $500 Million Following NYSE Arca Debut」(2026年9月8日・SEC 提出の 8-K 添付) — 8月25日の上場と純資産5億ドル超を確認sec.gov
- SEC Release No. 34-80206 (2017年3月10日) — Winklevoss Bitcoin Trust の上場申請の不承認命令sec.gov
Decrypt「Another Zcash ETF Is Coming as Winklevoss Twins File for WINK」(2026年10月6日)Decrypt- Cointelegraph 公式 X の初報 (2026年10月6日)