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📡 Signal|Uber、Canton 上で MMF を週末に換金する試験を完了
Uber が HSBC の預金トークンと Franklin Templeton のトークン化 MMF を使い、Canton 上で週末にも換金して支払う試験を終えた。

Uber が、手元資金の一部をトークン化した投資信託で運用したまま、週末にも換金して支払いに回す試験を終えた。HSBC の米国法人、Franklin Templeton、Tradeweb、Fireblocks が 10 月 30 日(米国時間)に発表し、仕組みは公開型のブロックチェーン Canton の上で動いた。
大企業の財務部門は、銀行の営業時間と決済の締め時間に合わせて、使わない現金を余分に寝かせている。その待ち時間を、利回りを生む時間に変えられるかを、実在の事業会社が自社のお金で試した。
Uber が実際にしたこと
発表文によると、流れは 3 段階だ。
- HSBC の預金トークン(HSBC Tokenized Deposits)で、Franklin Templeton のトークン化 MMF(マネー・マーケット・ファンド)の持ち分を買う
- 売買は Tradeweb の電子取引の仕組みで行い、資金と持ち分の受け渡しは Canton 上で同時に済ませる(DvP)
- 保有分の一部を、週末を含めて換金し、支払いの直前まで MMF の利回りを受け取る
Uber の財務部門で企業金融を担う Odette Rodrigues 氏は、この試験を「より効率的な 24 時間 365 日の仕組みへの重要な第一歩」と述べた。取引の金額、利回り、試験を行った日付は公表されていない。
4 社と Canton の持ち場
役割は社ごとにはっきり分かれている。
- HSBC Bank USA: 現金の側。預金トークンは同行の預金債務で、発表文は所定の上限まで米連邦預金保険公社(FDIC)の保護の対象だとしている
- Franklin Templeton: 運用の側。トークン化 MMF を、自社の Benji プラットフォームで発行している
- Tradeweb: 取引の側。国債などの電子取引で使う手順を、トークン化 MMF とデジタルの現金に広げる
- Fireblocks: 鍵の側。財務部門が、どの資産を誰の署名で動かせるかを設定するウォレットを担う
Canton は、Digital Asset が開発したネットワークだ。発表文は Canton を「機関投資家の金融のために作られた、公開・許可不要のブロックチェーン」と紹介している。換金した代金は、本人確認を済ませた企業の銀行口座にしか戻らない設計で、外のアドレスに流れ出る経路は最初から閉じてある。
預金と投資信託は、同じ画面でも別物
この仕組みの要は、性質の違う 2 つのトークンを 1 回の受け渡しでつなぐ点にある。預金トークンは銀行の負債で、預金保険の対象になる。一方の MMF は投資商品で、発表文の注意書きは、FDIC の保険も保証も無く、1 口 1 ドルを保つことを目指すが保証はできないと明記している。
企業の財務担当者から見れば、使い道は「すぐ払う現金」と「しばらく置く余資」の切り替えだ。従来は MMF を売ってから現金が届くまでに翌営業日以降(T+1 以上)かかり、金曜の夕方に売れば月曜まで待つことになる。その間の支払いに備えて現金を寝かせるか、費用のかかる与信枠を用意するしかなかった。売る・受け取る・払うが同じ瞬間に済むなら、寝かせておく現金そのものを減らせる。
どのチェーンに置くか
トークン化 MMF は、すでに複数のチェーンに広がっている。Franklin Templeton の MMF トークンは Stellar から始まり、Ethereum などの公開チェーンにも置かれてきた。BlackRock の BUIDL も Ethereum を起点に複数のチェーンに展開している。
今回の試験で目を引くのは、置き場所より相手の顔ぶれだ。銀行の預金、運用会社のファンド、債券の電子取引所、事業会社の財務部門が、同じネットワークの上で 1 本の取引としてつながった。財務部門の残高や取引相手を外から見せたくない事業会社にとって、Canton がうたうプライバシーの設計がどこまで受け入れられるかは、次の参加企業で分かる。
次に見るもの
まだ試験で、本番の開始時期も、ほかの参加企業も発表されていない。最初の確認先は、Canton Network の公式サイトの発表一覧と HSBC の企業向け決済部門の発表で、2 社目の事業会社の名前が出るかを見る。Uber 側では、次に米証券取引委員会(SEC)の EDGAR に出す四半期報告書の現金・投資の注記に、トークン化 MMF が保有区分として現れるかが手がかりになる。
ことば
- 預金トークン — 銀行が自行の預金をブロックチェーン上のトークンの形にしたもの。中身はあくまで銀行の預金債務で、ステーブルコインと違い、預金保険の枠組みの中に置かれる。
- MMF(マネー・マーケット・ファンド) — 短期の国債などで運用する投資信託。企業が余った現金を一時的に置く先の定番で、トークン化すると 24 時間いつでも受け渡せるようになる。
- DvP(Delivery versus Payment) — 資産の引き渡しと代金の支払いを同時に行う決済の方式。どちらか一方だけが渡る事故を防ぐ仕組みで、今回は同じネットワーク上で 1 回の手続きにまとめている。
🔗 一次ソース