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SNAPSHOT 2026-11-03 18:03 JST

Signal

📡 Signal|Cipher Digital、営業赤字7,190万ドルでも最終黒字に

Cipher Digital の7〜9月期は純利益3,160万ドル。営業赤字7,190万ドルを、現金の動かないワラント評価益1億2,720万ドルが逆転させた。

LiveMakers 編集デスク

📡 Signal|Cipher Digital、営業赤字7,190万ドルでも最終黒字に

米ナスダック上場の Cipher Digital (旧 Cipher Mining・ティッカー CIFR) は11月2日、7〜9月期の業績を SEC に提出した事業報告で示した。純利益は3,160万ドルの黒字だったが、営業損益は7,190万ドルの赤字で、黒字を生んだのはワラント (新株予約権) の評価益1億2,720万ドルだった。

ビットコインの採掘会社から AI 向けデータセンターの貸し手へ移る途中の会社の数字は、見出しの黒字と中身が逆を向く。採掘の収入は1年前の3割以下に縮み、データセンターの賃料はこの期に初めて入った。移行の重さは、損益計算書の上の段にそのまま出ている。

黒字の中身を分解する

事業報告の損益の表から、主な数字を抜き出すと次のとおりだ (単位はドル)。

  • 売上高 2,670万 (前年同期 7,170万)
  • うち採掘 2,085万 (同 7,170万)
  • うちデータセンター (HPC) の賃料 585万 (前年同期はゼロ)
  • 営業損益 7,190万の赤字 (同 3,760万の赤字)
  • ワラント負債の評価の変動 1億2,720万の利益 (4〜6月期は1億5,050万の損失)
  • 純損益 3,160万の黒字 (同 330万の赤字)
  • 調整後 EBITDA 996万の赤字 (同 4,080万の黒字)

ワラント負債は、会社が出したワラントを負債として時価で測るもので、その価値が下がると、下がった分が利益に計上される。現金は動かない。4〜6月期には逆に1億5,050万ドルの損失を計上しており、2四半期を足すとこの項目は差し引き2,330万ドルの損失になる。1株あたりの利益も、基本は8セントの黒字、希薄化後は22セントの赤字と符号が割れた。

CoinDesk によると、このワラントは Google に発行したものだ。Google は、Cipher の施設を借りる AI 基盤会社 Fluidstack の賃料の支払いの一部を保証しており、その見返りの位置づけになる。事業報告にも、Fluidstack の賃料に対する Google の保証が出てくる。

採掘からデータセンターへ、どこまで来たか

社名は2月20日に Cipher Mining から Cipher Digital に変わった (同日に提出した 8-K)。7〜9月期の採掘量は、テキサス州オデッサの拠点で約296 BTC。採掘の能力は約11.6 EH/s だ。

一方、AI・HPC 向けに貸す契約済みの容量は合計700メガワットに積み上がった。

  • Barber Lake (300MW) — 「大手の AI 研究所」に20年。契約収入91億ドル。最初の容量の引き渡しは10〜12月期の見込み
  • Black Pearl (300MW) — 名前を伏せたハイパースケーラー (大手クラウド) に15年と延長3回。基本の契約で55億ドル。8月に最初の容量を引き渡し、これまでに18MW
  • Stingray (100MW) — 格付けの高い相手に15年と延長3回。基本の契約で20億ドル

基本の契約期間だけで166億ドル、延長を含めると284億ドルになる。この期の585万ドルの賃料は、その入り口にすぎない。

借入67億ドルを、賃料が追いかける

移行の資金は借入で賄っている。9月末の負債の総額は67億ドル、現金と同等物は6億5,600万ドルで、別に使い道の決まった制限付きの現金が約22億ドルある。この期の支払利息は5,899万ドルで、受取利息の3,268万ドルを上回った。

構図ははっきりしている。採掘の収入が細る一方で、データセンターを建てるための借入の利払いが先に立ち、賃料が本格的に入るのは各拠点の引き渡しが進んでからになる。ワラントの評価益は、その谷間の四半期の損益を一時的に黒字へ押し上げた。この項目が次の四半期にどちらへ振れるかは主に株価で決まり、データセンターの進み具合とは別の話だ。

Cipher の数字は、採掘会社が電力と土地を AI 向けに貸し替える途中で、本業の利益がいったん消える期間があることを示している。

次に見るもの

確認先は、SEC の EDGAR に載る Cipher Digital の次の四半期の事業報告だ。Barber Lake の最初の容量が予定どおり10〜12月期に引き渡され、HPC の賃料が585万ドルからどこまで伸びるかを見る。同じ報告で、ワラント負債の評価の変動が損益をどちらに振ったかも確かめたい。営業損益の赤字が縮むかどうかが、移行が利益に変わり始めたかの物差しになる。

ことば

  • ワラント負債 — 会社が出した新株予約権のうち、会計上は負債として扱うもの。期末ごとに時価で測り直し、価値が下がれば利益、上がれば損失として計上する。現金の出入りは伴わない。
  • HPC (高性能計算) — AI の学習や推論など、大量の計算を一度にこなすための計算資源。採掘会社は電力の契約と土地を持っているため、データセンターの用地として転用が進んでいる。
  • EH/s (エクサハッシュ毎秒) — ビットコインの採掘の計算能力の単位。1 EH/s は1秒に100京回の計算を指す。

🔗 一次ソース

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