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📡 Signal|米10年債4.95%は2026年の最高値。上げ幅の中心は5年ゾーンだった
9月10日の米10年債の引け値は4.95%で、2026年の最高値だった。ただし当日いちばん上げたのは3年と5年で、30年は9ベーシスポイントにとどまる。同じ日の欧州中央銀行の利上げと米8月の生産者物価5.4%を、一次データで並べて読む。
9月10日の米10年債の引け値は4.95%だった。前日の4.83%から12ベーシスポイント(1ベーシスポイントは0.01%)上がり、2026年に入っていちばん高い水準で終えている。同じ日、欧州中央銀行は3つの政策金利をそろって25ベーシスポイント引き上げ、米労働統計局は8月の生産者物価が前年比5.4%だったと発表した。
Monetary policy decisions(欧州中央銀行・9月10日/3政策金利の25bp引き上げ、2.50%・2.65%・2.90%、9月16日発効、スタッフ見通しの数値を確認)European Central Bank
三つとも公的機関がその日に出した数字で、向きはそろっている。ただ、金利のほうは見出しの水準だけを見ていると読み違える。当日いちばん上げたのは10年でも30年でもなく、3年と5年の14ベーシスポイントだった。30年は9にとどまっている。長期債の買い手が足りないから金利が上がった、という説明では、この形にならない。
財務省が毎日出している数字で確かめる。
引け値を年限順に並べる
米財務省の日次の国債利回り(CMT)で、9月9日から10日への動きはこうなっている。
- 2年 4.43% → 4.56%(+13)
- 3年 4.49% → 4.63%(+14)
- 5年 4.61% → 4.75%(+14)
- 7年 4.71% → 4.84%(+13)
- 10年 4.83% → 4.95%(+12)
- 20年 5.28% → 5.39%(+11)
- 30年 5.28% → 5.37%(+9)
上げ幅は手前から中ほどにかけて厚く、遠い年限ほど薄い。10年の4.95%は2026年の最高値である。年初の引け値は4.19%、2月27日には3.97%まで下げていた。半年余りで約1%上がったことになる。4.95%以上で引けた日をさかのぼると、直近は2023年10月25日にあたる。1日の上げ幅としても、2026年では3月20日の14ベーシスポイントに次ぐ大きさだった。
年限の並び方には意味がある。遠い年限は、国がこれから何十年にわたってどれだけ借りるか、その紙をだれが持つかを映す。手前の年限は、中央銀行がこの先1、2年に何をするかを映す。10日に厚く動いたのは後者のほうだった。
上がっているのは需要ではなく、燃料の値段だ
米労働統計局が同じ日に出した8月の生産者物価は、最終需要が前月比0.4%、前年比5.4%だった。内訳を見ると、財が1.1%上がり、局はその「広範な上昇の4分の3超」がエネルギー価格の上昇によるものだとしている。エネルギーは前月比4.2%、ディーゼルは24.1%上がった。
対してサービスは0.1%で、3か月続けて小幅な上昇にとどまる。食品・エネルギー・商業サービスを除いた指数は前月比0.3%、前年比4.7%だった。
つまり、8月に値段を押し上げたのは、経済が強すぎることではなく、燃料が高いことである。生産者物価は企業が仕入れる段階の値段なので、ここで付いた4.2%は、これから輸送費や光熱費として下流に流れていく。前年比4.7%という除外後の数字は、そのうちのいくらかがすでに流れ終えたことも同時に示している。
欧州中央銀行は、供給側の値上がりに利上げで応えた
欧州中央銀行の政策理事会は10日、3つの政策金利を25ベーシスポイント引き上げると決めた。預金ファシリティ金利2.50%、主要リファイナンス・オペ金利2.65%、限界貸付ファシリティ金利2.90%で、9月16日に発効する。
声明はこう書いている。「中東の紛争は物価上昇圧力を生み続けており、インフレは長期にわたり目標を大きく上回る見込みである」。
スタッフの新しい見通しでは、総合インフレ率の基準シナリオが2026年3.0%、2027年2.5%、2028年2.1%。エネルギーと食品を除く指数は2.5%、2.6%、2.3%となっている。2026年は6月時点と同じだが、2027年と2028年は上方修正された。成長率の見通しも0.9%、1.4%、1.5%へ引き上げられ、理由として「ユーロ圏経済が予想以上に底堅かったこと」を挙げている。リスクの置き方は、物価が上振れる側、成長が下振れる側である。そのうえで「特定の金利経路にはコミットしない」と書いた。
供給側の値上がりに中央銀行が引き締めで応える局面は、扱いがいちばん難しい。金利を上げても原油は増えないからだ。それでも理事会が上げたのは、2年先・3年先の見通しが6月より高くなったからである。一時的な値上がりとして見送る段階は終わった、と読める。
需給の説明も、点検しておく
米長期金利の上昇については、財務省が自国債の買い戻しを積み増してもなお利回りが上がった、という説明がこの一週間で繰り返されてきた。買い手が国であっても長期債の値段は言うことを聞かない、という需給の話である。
ただ、需給の話なら、いちばん影響を受けるのは発行の重い遠い年限のはずだ。10日の曲線はそうなっていない。30年の9ベーシスポイントは、この日の全年限のなかで最も薄い部類にある。
2日に広げても形は変わらない。9月8日から10日にかけて、5年は4.57%から4.75%へ18ベーシスポイント、2年は4.39%から4.56%へ17、10年は4.80%から4.95%へ15、30年は5.25%から5.37%へ12上がった。厚いのは一貫して手前から中ほどである。
需給の圧力が消えたわけではない。20年と30年が5.3%台にいること自体、遠い年限の重さを示している。ただ、10日に新しく乗ったぶんは、その重さとは別のところから来ている。
同じ日に三つの機関が出した数字は、ひとつのことを言っている。値段を押し上げているのは燃料で、金利を押し上げているのは政策の見通しだ。この二つは別々の話ではない。中央銀行が供給側の値上がりを見送らないと決めた瞬間に、供給の問題は政策の問題へ移る。9月10日の曲線は、その移り変わりを遠い年限より先に、手前の年限に映した。
🔗 一次ソース
Monetary policy decisions(欧州中央銀行・9月10日/3政策金利の25bp引き上げ、2.50%・2.65%・2.90%、9月16日発効、スタッフ見通しの数値を確認)European Central Bank
Producer Price Index News Release(米労働統計局・8月分/最終需要 前月比0.4%・前年比5.4%、財1.1%、エネルギー4.2%、ディーゼル24.1%、除外後 前月比0.3%・前年比4.7%を確認)Bureau of Labor Statistics- Daily Treasury Par Yield Curve Rates(米財務省・2026年9月/日次データで9月10日の10年4.95%、前日4.83%、各年限の前日比を確認。年初来および2023年以降の水準比較も同データによる)home.treasury.gov