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Weekly Brief

LVM Weekly Brief #6|エネルギーが押した利上げ織り込みで、米30年債は2007年の高値を抜いた

8月の米PPI・CPIにディーゼルとガソリンが入り、9月利上げの織り込みは85〜90%へ。米2年債は1週間で26bp上げ、30年債は5.37%と2007年6月の高値を抜いた。日本は全年限が下がり、それでも円は1.71%高。ビットコインETFは3日連続流出、ETHの週の上げはCPI後の1日に集中。トークン化米国債はBUIDLがUSYCを抜いて首位に戻り、BCREDの解約は上限5%のまま。

LiveMakers Editorial Desk

LVM Weekly Brief #6|エネルギーが押した利上げ織り込みで、米30年債は2007年の高値を抜いた

Executive Summary

9 月 11 日に米労働統計局が公表した 8 月の消費者物価指数は、前月比 0.4%、前年比 3.4% だった。 ガソリンが前月比 3.9% 上がり、統計はこの 1 項目だけで全項目の月次上昇の 3 分の 1 超を占めたと書いている。食品とエネルギーを除くコアは前年比 2.4% で 7 月の 2.5% から下がったが、前月比は 0.3% で 7 月の 0.2% から加速した。前日 10 日の生産者物価指数は前年比 5.4% で、財の上昇の 3 分の 1 超をディーゼル燃料の 24.1% が説明している。ウォラー理事が 9 月 3 日に据え置きの条件として置いた「8 月のインフレ」は、前年比で見れば進捗が続き、前月比で見れば熱い。市場は後者を採り、報道が引く CME FedWatch の 9 月利上げ確率は発表前の 7 割前後から 85〜90% へ上がった。FRB はブラックアウト期間に入っており、9 月 5 日から 17 日まで高官の発言はない。

米国債はその 2 日で年限をまたいで動いた。 財務省の日次利回りで 9 月 4 日と 11 日を比べると、2 年債は 4.37% から 4.63% へ 26bp、5 年債は 4.54% から 4.78% へ 24bp、10 年債は 4.78% から 4.96% へ 18bp、30 年債は 5.24% から 5.35% へ 11bp 上がった。途中の 10 日、30 年債は 5.37% で引け、2007 年 6 月 12 日の 5.35% を上回った。同じ週の 3 年債、10 年債、30 年債の入札は 3 本とも応札倍率が前回や直近の平均を上回り、30 年債はディーラーの取り分が 2.2% しかない。買い手は来ている。それでも利回りは上がった。需要が消えたのではなく、金利の前提そのものが書き換わった週だった。

日本は反対を向いた。 財務省の日次データで 9 月 3 日と 10 日を比べると、国債利回りは 1 年から 40 年まで全年限が下がり、10 年は 2.966% から 2.920% へ、30 年は 4.052% から 3.995% へ戻した。日米の 10 年金利差は 1.814 ポイントから 2.040 ポイントへ 22.6bp 広がり、それでもドル円は前週末の 156 円 22 銭から 153 円 55 銭へ 1.71% の円高になった。ドル指数は 0.06% しか動いていない。2 週続けて、円だけが買われている。

暗号資産では、資金の向きが金利に沿った。 米国の現物ビットコイン ETF は 9 月 8 日から 10 日まで 3 営業日続けて流出し、合計 4 億 4,950 万ドル。前週の 9 億 8,670 万ドルの流入から向きが変わった。ビットコインは週末レコードで 7 万 7,199 ドル、前週末比 3.11% 安。イーサリアムだけが前週末比 2.85% 高で、その上げはほぼすべて CPI 公表後の 11 日に入っている。同日の 24 時間清算は 6 億 9,270 万ドルで、ショート側が 3 億 8,560 万ドルと多く、ETH のショート清算だけで 2 億 1,600 万ドルあった。

RWA では順位と規模が 1 つずつ動いた。 トークン化米国債は 9 月 11 日時点で 157 億 4,000 万ドルと 30 日で 3.10% 減り、BlackRock の BUIDL が 27 億 2,600 万ドルで、30 日で 13.4% 減った Circle の USYC (26 億ドル) を抜いて首位に戻った。ナスダックは Kraken の親会社 Payward に 1 億ドルを投じ、2027 年第 2 四半期に「Nasdaq Equity Tokens」を出すと発表した。Blackstone の私募クレジットファンド BCRED は、発行済み持分の約 10% にあたる第 3 四半期の解約請求に対して上限 5% だけに応じるという 9 月 3 日付の書簡を SEC に提出している。受け皿は増え、出口は同じままだ。

Macro Lane

8 月の物価は、財で上がりサービスで止まった。 生産者物価指数 (9 月 10 日公表) は最終需要が前月比 0.4%、前年比 5.4%。財が 1.1% 上がり、サービスは 0.1% だった。統計は上昇の 4 分の 3 超を最終需要のエネルギーに帰し、その中でディーゼル燃料が 24.1% 上がって財の上昇の 3 分の 1 超を占めたと書いている。翌 11 日の消費者物価指数は総合が前月比 0.4%、前年比 3.4% で 7 月と同じ。エネルギーが前月比 2.1%、ガソリンが 3.9% (前年比 27.4%)、住居費は 0.3% (前年比 3.0%)。コアは前月比 0.3%、前年比 2.4%。前年比のコアは 7 月の 2.5% から下がり、前月比は 7 月の 0.2% から上がった。同じ統計の中に、減速と加速が 1 つずつ入っている。

ウォラー理事の条件は、どちらにも読める。 9 月 3 日の講演は「2% 目標に向けた進展が続くのであれば、政策金利を現行水準に据え置くことを支持する用意がある」と述べ、同時に「インフレが強く出れば利上げを検討する」「8 月に 2% への進捗が反転した証拠があれば、小幅な調整が再開を確実にする」と続けていた。コアの前年比 2.4% は進捗の継続で、前月比 0.3% は予想 0.2% を超える加速だ。市場は加速のほうを読んだ。CBS News が引く CME FedWatch では、9 月 16 日の利上げ確率が前日の 70% から発表後に 90% 近くへ、Yahoo Finance の引用では 70% 前後から 85% 前後へ上がった。予測市場 Polymarket は 25bp 利上げを 81% で値付けしている。誘導目標は現在 3.50〜3.75% で、利上げなら 3.75〜4.00% になる。FRB の対外発信規則ではブラックアウトは会合 2 週前の土曜 0 時に始まり会合翌日の 23 時 59 分に終わる。今回は 9 月 5 日から 17 日までで、この間に金融政策に関する高官の講演はない。ウォラー理事の 3 日の講演が、会合前の最後の公式見解になる。

入札は通り、利回りは上がった。 財務省の 3 年債 (9 月 8 日、580 億ドル) は最高落札利回り 4.474%、応札倍率 2.72 倍、間接入札者 62.1%。10 年債 (9 日、390 億ドルのリオープン) は 4.834%、2.71 倍、間接 79.2%、ディーラー 4.3%。30 年債 (10 日、220 億ドル) は 5.308%、2.61 倍、間接 79.5%、ディーラー 2.2%。報道による事前取引 (WI) との差はそれぞれ 0.1bp、1.5bp、2.7bp のストップスルーで、3 本とも予想より低い利回りで消化された。3 本の受渡日はいずれも 9 月 15 日、FOMC 初日にあたる。入札に買い手が並んだ週に、日次の利回りは全年限で上がった。30 年債は 10 日に 5.37% で引け、2007 年 6 月 12 日の 5.35% を上回った。2 年債と 30 年債の差は 87bp から 72bp へ 15bp 縮み、動いた中心は短い側にある。政策金利に近い年限から順に、織り込みが書き換わった。

財務省は買い戻しを 3 倍にした。 8 月 19 日に公表した長期ゾーンの流動性支援買い戻しは、10〜20 年と 20〜30 年の 1 回上限を 20 億ドルから「40 億ドル以上」へ引き上げ、9 月 9 日から 11 月 4 日まで適用する。9 月 9 日付の日程表では、10 日の 10〜20 年ゾーンの上限が 60 億ドルで、8 月 11 日の 20 億ドルの 3 倍になった。17 日は 7〜10 年 40 億ドル、24 日は 20〜30 年 40 億ドル以上と続く。財務省の説明は「長期ゾーンには市場参加者の一貫して強い支持があり、質の高いオファーが定期的に大量に寄せられている」というもので、目的は流動性の支援であって利回りの抑制ではない。買い戻しが 3 倍になった週に 30 年債は 2007 年の高値を抜いた。上限 60 億ドルは、週間発行の 220 億ドルの 30 年債 1 本にも届かない。

日本の金利は下がり、円は上がった。 財務省の国債金利情報で 9 月 3 日と 10 日を比べると、1 年 1.563% から 1.550%、2 年 1.850% から 1.823%、5 年 2.303% から 2.244%、10 年 2.966% から 2.920%、20 年 3.806% から 3.754%、30 年 4.052% から 3.995%、40 年 4.063% から 4.003%。全年限が下がり、長いほど幅が大きい。8 日の 5 年利付国債 (第 187 回、表面利率 2.2%) は応募額 6 兆 5,543 億円に対して募入決定額 1 兆 9,154 億円で応札倍率 3.42 倍、平均利回り 2.239%。入札翌日の 5 年債は 2.258% から 2.243% へ下がった。米国で 30 年債が 2007 年以来の水準に出た同じ週に、日本の 30 年債は 5.7bp 戻している。日米の 30 年金利差は 9 月 1 日の 1.139 ポイントから 10 日の 1.375 ポイントへ広がった。

ドル円は前週末の 156 円 22 銭から 11 日の 153 円 55 銭へ、1.71% の円高。7 日には 154 円台に入り、7 月末の日米協調介入の水準を上回る円高になった。日米の 10 年金利差は 1.814 ポイントから 2.040 ポイントへ、2 年では 2.520 ポイントから 2.807 ポイントへ広がっている。金利差は年限を問わず開き、円は上がった。ドル指数は 99.157 から 99.095 へ 0.06% 安で、ドルが売られたのではない。財務省が 8 月 28 日に公表した 7 月 30 日から 8 月 26 日の為替介入額は 15 兆 3,993 億円で、8 月 27 日以降の分は月次公表を待つほかない。金利差でも、ドル全体でも、公表済みの介入でも説明できない円高が、2 週続いた。

日銀の審議委員は、利上げの継続を明言した。 増一行審議委員は 9 月 10 日の福井県金融経済懇談会で「基調的な物価上昇率はまだ 2% の下にいるものの、かなり 2% に近接している状況」と述べ、「現在の金融環境が緩和的であることを踏まえれば、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになる」と続けた。イラン情勢による燃料や化学品の値上がりについては「一時的なショックと言うよりも、より基調的なものとして物価を押し上げるのではないか」と懸念を示し、「仮にインフレが加速した場合には、急速な利上げを迫られるリスクがある」とも述べている。政策金利は 1.0%。次の決定会合は 9 月 17〜18 日で、声明は 18 日に出る。市場が円を買っているのは、この会合を「起きる前提」で値付けしているからだと読める。決定が織り込みどおりなら円はそれ以上動きにくく、見送られれば金利差に沿って戻る。非対称は 18 日まで残る。

ECB は 2 度目の利上げを全会一致で決めた。 9 月 10 日、3 つの政策金利をそろって 25bp 引き上げ、預金ファシリティ金利は 16 日から 2.50% になる。声明は「中東の紛争が引き続きインフレ圧力を生み、インフレは長期にわたって目標を大きく上回る見込み」と書き、スタッフ見通しは総合インフレを 2026 年 3.0%、2027 年 2.5%、2028 年 2.1% に置いた。ラガルド総裁は記者会見で「全会一致の決定」「no-brainer (迷う余地のない判断)」と述べ、次回会合の方向については見解を示さなかった。12 月の追加利上げに言及した事実はなく、会合ごとに判断する姿勢に戻っている。米国が利上げを織り込み、欧州が利上げを実行し、日本が利上げを予告した週になった。

財政・流動性の定点。 FRB の総資産は 9 月 9 日時点で 6 兆 7,406 億ドル (前週比 +34 億ドル)。ユーロシステムの総資産は 9 月 4 日時点で 5 兆 9,122 億ユーロ (前週比 −32 億ユーロ)。日銀の営業毎旬報告は 8 月 31 日時点の 644.7 兆円が直近で、今週の新規公表はない。M2 は 8 月 25 日公表の 7 月分 (23 兆 2,180 億ドル) が最新で、8 月分の公表は 9 月下旬になる。政府債務の対 GDP 比は今週の更新がない。月次系列に動きのない週で、定点は変わらず。動いたのは日次の金利と為替だけだ。

立法は 15 日に一票がある。 上院の暗号資産市場構造法案 (CLARITY 法、H.R.3633) は、スーン院内総務が 8 月 8 日に提出した審議入り動議へのクローチャー (討論終結) 採決が 9 月 15 日午後 2 時 15 分 (日本時間 16 日午前 3 時 15 分) に行われる。可決には 60 票が要り、共和党は 53 議席だから民主・無所属から 7 票以上が必要になる。この一票は法案の可否ではなく審議入りの可否で、通っても動議の討論、本文の審議、本文へのもう一度の 60 票が残る。ラミス上院議員は 9 月 6 日に「今議会で通らなければ、市場構造法案を再び取り上げる次の現実的な機会は 2030 年だ」と投稿した。9 月 10 日には 630 ページの修正版を公開し、民主党側の要求で 114 条項を取り込んだと説明している。報道によれば、分散型金融 (DeFi) の適用範囲は現物・現金取引に限定され、DeFi を名乗るが実態が集中型の取引プロトコルには CFTC 登録が新設された。大統領や副大統領、議員による暗号資産の発行を禁じる倫理条項は実質的に変わらず、ステーブルコインの利回りをめぐる条項にも新しい記述はない。ベッセント財務長官は 9 月 9 日に「交渉のテーブルにとどまり、審議入り動議に同意し、立法プロセスを続けるよう強く求める」と投稿した。下院は 9 月 21 日と 28 日の週の本会議を取り消し、17 日に離会して 11 月 3 日の中間選挙まで戻らない。上院で条文が変われば下院の再同意が要るから、15 日に審議入りしても年内成立の経路はレームダック会期に集約される。

Crypto Lane

ETF は 3 日続けて出た。 米国の現物ビットコイン ETF の日次純流出入は、9 月 8 日 −4,660 万ドル、9 日 −1 億 2,020 万ドル、10 日 −2 億 8,270 万ドル。3 日合計で −4 億 4,950 万ドルになる。前週は 5 営業日で +9 億 8,670 万ドルだったから、向きが変わった。10 日は ARK 21Shares の ARKB が −1 億 6,430 万ドルで最大、Grayscale の GBTC −3,640 万ドル、Fidelity の FBTC −3,360 万ドル、BlackRock の IBIT −2,450 万ドル。3 日間で見ても ARKB が −2 億 3,420 万ドル、GBTC が −1 億 2,910 万ドルで、流出の 8 割が 2 本に集まっている。11 日の集計は執筆時点で一部の発行体が未反映で、週間の数字は 3 日分で読む。金利が全年限で上がった 3 日間に、前週の流入の半分近くが戻った。

価格は週末レコードで 7 万 7,199 ドル、前週末比 3.11% 安。CoinDesk は 10 日に 7 万 8,000 ドル前後で取引され、原油高と米国債利回りの上昇、翌日の CPI を控えた持ち高調整を挙げた。金が同じ週に 1.95% 下げているのと並べると、ビットコインは金利上昇局面で売られる側に置かれた。前号で書いた「金利資産として値付けされている」読みは、今週も続いている。

清算はショートに来た。 Coinglass の 24 時間集計 (日本時間 12 日朝) は総額 6 億 9,270 万ドル、ロング 3 億 710 万ドルに対してショート 3 億 8,560 万ドル、清算されたトレーダーは 9 万 6,923 人。銘柄別では ETH のショート清算が 2 億 1,610 万ドルで最大、BTC はロング 9,060 万ドル、ショート 9,710 万ドルとほぼ拮抗した。最大の単一注文は Hyperliquid の ETH-USD で 2,028 万ドル。デリバティブの建玉は 1,324 億ドルで 2.8% 減った。CPI 前日の 10 日には報道ベースで 1 時間に 1 億 2,900 万ドル (ほぼロング) の清算があり、11 日に向きが反転した。2 日で両側のレバレッジが順に外れた形になる。

イーサリアムの週の上げは、1 日に入っている。 ETH は前週末比 2.85% 高、前日比 2.76% 高で、週の上昇のほぼ全部が 11 日にある。Bitcoin.com News は CPI 公表後に 2 月以来初めて 2,600 ドルを超え、一時 2,663 ドルをつけたと報じた。現物イーサリアム ETF の流出入は 8 日 −2,430 万ドル、9 日 +3,470 万ドル、10 日 −2,990 万ドルで 3 日合計 −1,950 万ドル。BlackRock のステーキング型 ETHB だけが 3 日で +3,680 万ドルと一貫して流入し、ETHA は −890 万ドル、FETH は −1,530 万ドルだった。ETF は流れておらず、上げはショート清算が作った。デリバティブ主導の 1 日で、現物の買い手が付いたかどうかは来週の ETF 集計で確かめる。

イーサリアム財団は 9 月 7 日、次期アップグレード Hegotá に提案された 62 件の EIP (改善提案) をプロトコル部門の統一見解として格付けした。必須 2 件 (EIP-7805 FOCIL、EIP-8141 Frame Transactions)、実装見込み 15 件、見送り 28 件。9 日には 16 日 14 時 UTC (日本時間 23 時) に r/ethereum で公開質疑を行うと告知し、その中で「Glamsterdam ハードフォークは公開テスト中」「Hegotá の範囲は絞り込み中」と現状を書いている。報道では Glamsterdam の Sepolia テストネット適用が 9 月 28 日から 10 月 6 日へ後ろ倒しになった。

上場企業の財務。 Strategy (旧 MicroStrategy) が 9 月 8 日に提出した 8-K によれば、8 月 31 日から 9 月 7 日のあいだにビットコインの売買はなく、保有は 84 万 5,050 BTC、平均取得単価は 7 万 5,412 ドル。同社は優先株 STRC を 1 億 7,630 万ドル分買い戻し、デジタル・クレジット証券の買い戻し枠を 10 億ドルから 20 億ドルへ倍増した。ビットコインを買う代わりに自社の優先株を買った週で、平均取得単価 7 万 5,412 ドルは週末レコードの 7 万 7,199 ドルから 2.4% 下にある。

アルトの動意。 ソラナの現物 ETF は週間で約 1,000 万ドルの流入、累計 13 億 1,600 万ドル。XRP 系 ETF は週間 1,350 万ドル、累計 9 億 1,650 万ドル。暗号資産全体の時価総額は日本時間 12 日朝の CoinGecko で 2 兆 7,300 億ドル。

Circle は 9 月 8 日、シンガポールの越境決済プラットフォーム Tazapay の買収合意を発表した。SEC への 8-K によれば対価は 4 億ドル分のクラス A 普通株で、Tazapay は 100 超の着金市場と 60 超の銀行・フィンテック提携先、年率換算 250 億ドル超の取扱量を持ち、そのうち約 6 割がすでにステーブルコイン関連だという。クローズは 2027 年の見込み。同じ Circle の L1 ブロックチェーン Arc は 9 月 16 日にパブリックメインネットへ移行する。バリデータは許可制で、創設メンバーは BlackRock、DTCC、Galaxy、Global Payments、ICE、Mastercard、MoneyGram、SBI グループ、Standard Chartered、住友商事、Visa の 11 社。BlackRock は BUIDL を Arc に展開し、DTCC は 2027 年後半に DTC 保管資産のトークン化サービスを統合する。

Cronos は 9 月 8 日に事後報告を公開した。8 月 30 日の Tectonic 攻撃で 9 市場から 1 億 2,040 万ドルが借り出され、バリデータはブロック 90,907,150 で停止し、状態を攻撃前のブロック 90,896,188 へ戻した。捨てられたのは 10,961 ブロック、1 時間 54 分ぶんの確定済み取引で、攻撃と無関係の取引も含まれる。1 億 1,120 万ドルは戻り、停止前にチェーンの外へ出た 919 万ドルは「復元の届く範囲にない」と書かれている。

規制側では、インドの金融情報部門 (FIU-IND) が 9 月 9 日にマネーロンダリング防止法の不遵守通知を海外取引所 15 社に出し、アプリと URL の遮断を情報技術法に基づいて求めた。義務は「活動に基づくもので、インド国内の物理的拠点の有無によらない」としている。シンガポール取引所 (SGX) のビットコイン・イーサリアム無期限先物は、報道によれば CFTC 規則 48.10 のもとで米機関投資家が直接取引できるようになった。累計出来高は 58 億ドルという。

カルダノ (今週は動意あり)。 Intersect の 9 月 11 日の週次更新によれば、憲法委員会を更新するガバナンス案は 9 月 1 日のエポック境界で DRep 71.95% (閾値 67%)、SPO 56.54% (閾値 51%) の賛成で批准され、エポック 654 の開始をもって「施行済み」になった。新任は Philip DiSarro、Leandros BSP、Marek Mahut、Cardano Curia の 4 者。Cardano Node 11.2 は 9 月 14 日の週に出る予定で、Leios を除く Dijkstra の全機能がテストできるという。ミッドナイトは今週、ネットワークやトークンに関する一次確認できる動きがない。深掘りは SIPO.TOKYO の Weekly Brief に譲る。

RWA Lane

首位が入れ替わった。 rwa.xyz の 9 月 11 日時点で、トークン化米国債の分配価値は 157 億 4,000 万ドル、30 日で 3.10% 減。保有者は 7 万 4,333 で 7 日比 8.09% 増えた。上位は BlackRock の BUIDL 27 億 2,600 万ドル、Circle の USYC 26 億 300 万ドル、Ondo の USDY 22 億 2,100 万ドル、Franklin Templeton の iBENJI 17 億ドル、WisdomTree の WTGXX 12 億 2,000 万ドル、JPMorgan の JLTXX 8 億 100 万ドルと続く。前号では USYC が約 30 億ドルで BUIDL を上回っていた。USYC は 30 日で 13.40% 減り、保有者は 35。BUIDL は 106 保有者で 10 ネットワークに展開している。総額が縮み、機関向けの最大商品に資金が寄る形になった。

私募クレジットの出口は変わっていない。 Blackstone Private Credit Fund (BCRED) が 9 月 3 日付で株主に送った書簡は、SEC への公開買付届出書の添付資料として EDGAR に載った。第 3 四半期の買い戻し請求は約 43 億ドルで発行済み持分の約 10%、応じるのは上限の 5% を按分。流入が純資産の約 2% あるため純流出は約 3% で「過去 2 四半期と同じ」と書いている。第 2 四半期と第 3 四半期に解約を求めた投資家は、約 90 日以内に請求額の推定 75% を受け取ることになる。手元流動性は 170 億ドル超、レバレッジは負債比率 0.8 倍、不良化は原価ベース 2.2%。Apollo の ADS (純資産 141 億ドル)、Ares の ASIF (103 億ドル)、Blue Owl の OCIC (186 億ドル) は今週、第 3 四半期の買い戻し結果を 8-K で出していない。

トークン化された私募クレジットのほうは増えている。rwa.xyz の同日時点で分配価値 79 億 4,000 万ドル、30 日で 6.29% 増。Tether と Fasanara Capital は 9 月 9 日、両社が 4 億ドルを共同出資するエバーグリーンの私募クレジットファンドを発表し、最大 30 億ドルの外部機関資金を目標に置いた。60 か国超のフィンテック貸し手を通じた短期の資産担保融資で、Tether は USD₮ の決済レールを提供する。発表文にファンド持分をトークン化する記述はない。トークン化米国債が 30 日で 3% 減り、トークン化私募クレジットが 6% 増えた。利回りの取れる側へ、受け皿の中で資金が移っている。

予測市場は、規制の管轄争いに入った。 Robinhood は 9 月 8 日、アメリカンフットボールのイベント契約を Crypto.com 傘下の OG.com へ回送すると発表した。既存の Kalshi、ForecastEx、Rothera に続く 4 つ目の会場で、Robinhood は Crypto.com と OG.com に出資する。今年 8 月までの取引契約数は 300 億超。第 2 四半期決算ではイベント契約の収益が 1 億 5,600 万ドルで前年比 10 倍超だった。同じ週の 9 月 9 日、Citadel Securities は SEC と CFTC の共同意見募集 (スワップ定義、File S7-2026-21) に意見書を出し、米上場企業に連動する商品については SEC が主たる規制当局であることを再確認するよう求め、CFTC の自己認証で SEC の管轄を回避する会場が「並行する影の市場」を作ると警告した。対象は株式連動のイベント契約と、株式連動の無期限デリバティブの両方に及ぶ。報道では Kalshi が個別株の無期限先物約 60 本を計画している。予測市場の次の争点は、会場の数ではなく、株式に連動する契約を誰が監督するかに移った。

チェーン上の総量は横ばい。 DefiLlama の RWA ダッシュボードは 9 月 12 日時点でオンチェーン時価総額 346 億ドル、DeFi で担保として稼働している分は 38 億ドル、発行体は 232。前号時点の 348 億ドル、37 億 9,000 万ドルとほぼ同じで、週間の動きはない。トークン化株式は rwa.xyz で 28 億 5,000 万ドル (30 日で 7.56% 増)、保有者 331 万で 30 日に 181% 増えた。プラットフォーム別では Ondo 8 億 3,200 万ドル、Binance の bStocks 6 億 2,600 万ドル、Backed の xStocks 6 億 800 万ドル。

トークン化株式 (Watch)。 ナスダックは 9 月 10 日、Nasdaq Ventures を通じて Payward (Kraken の親会社) に 1 億ドルを投資すると発表した。2027 年第 2 四半期に「Nasdaq Equity Tokens」を発行体中心の枠組みで出し、Kraken を配布先とし、Payward は暗号資産、株式、トークン化株式、先物、オプションの全会場にナスダックの市場監視技術を入れる。評価額は発表文にない (報道は 210 億ドル)。SEC の名義書換代理人規則案は 9 月 4 日に連邦官報に載り、意見募集は 11 月 3 日まで。11 日時点の意見書は 15 通。欧州では 9 月 7 日付で証券会社とフィンテック団体が EU 理事会と欧州議会に書簡を送り、DLT パイロット制度の上限を 60 億ユーロから最大 1,000 億ユーロへ引き上げる欧州委員会案に対して、上限の撤廃または 1 兆 5,000 億ユーロを求めた。DTCC のトークン化サービスは 10 月の全面稼働が予定のままで、今週の新しい参加者告知はない。ナスダックのトークン化フラグ付き注文の稼働日も未発表で、Watch にとどめる。

Cross-Lane Signals

1. エネルギーから物価、物価から金利への経路が、今週は米国で閉じた。 前号まで欧州で先に閉じていた「エネルギーが金利を押す」経路は、今週 PPI のディーゼル 24.1%、CPI のガソリン 3.9% として米国の統計に入り、2 年債が 26bp 上がった。ECB は同じ週に中東の紛争を理由に利上げした。EIA の短期見通し (9 月 9 日) は 8 月のブレント平均を 91 ドルとし、2026 年末まで在庫が減り続け、価格は今後数か月 8 月の水準にとどまると書き換えている。週末レコードの WTI は 99.99 ドル、前週末比 9.61%。9 月の統計に入るのはこの水準の原油で、10 月に出る 9 月 CPI までこの経路は閉じたままになる。FOMC の 16 日の判断は、8 月の数字で行われる。

2. 金利の織り込みは ETF の買いを止め、清算は価格を作った。 前週の ETF 流入 9 億 8,670 万ドルは利上げ織り込みが 5 割へ落ちた週に入り、今週の流出 4 億 4,950 万ドルは織り込みが 85% 超へ上がった 3 日間に出た。ビットコインの 3.11% 安と金の 1.95% 安は同じ側に並ぶ。イーサリアムの 2.85% 高は ETF ではなくショート清算 2 億 1,600 万ドルが作った 1 日の値動きで、現物の買い手が付いたとは言えない。来週の FOMC で確率が 100% に近づくか戻るかで、ETF の向きがもう一度決まる。

3. 円高は金利差でも介入公表でも説明できず、18 日に答えが出る。 日米の金利差は 10 年で 22.6bp、2 年で 28.7bp 広がり、ドル指数は動かず、円は 1.71% 高くなった。8 月 27 日以降の介入は月次公表待ちで、いま分かっているのは 7 月 30 日から 8 月 26 日の 15 兆 3,993 億円だけだ。増審議委員の 10 日の発言は利上げ継続を明言し、「急速な利上げを迫られるリスク」まで言葉にした。市場が日銀の 18 日を「起きる前提」で値付けしているなら、決定そのものより会見で示される到達点が次の変数になる。日経平均は報道によれば 11 日に 2.8% 安の 63,442 円で 3 日続落し、円高と米金利上昇の両方を受け取っている。

4. トークン化の配管は増え、中の資産は出口を変えない。 Arc の 11 社のバリデータ、ナスダックの 2027 年のトークン化株式、SEC の名義書換代理人規則、EU の上限撤廃要求。今週動いたのはいずれも記録と移転の配管だ。中の資産では、BCRED の解約は 5% のままで、トークン化米国債は 30 日で 3% 減り、USYC は 13% 減った。配管の数が増えるほど、成長の指標は発行残高から、受け皿に入った資産と保有者の数に移る。トークン化株式の保有者 331 万 (30 日で 181% 増) と、トークン化米国債の保有者 7 万 4,333 (7 日で 8% 増) は、次に見るべき指標として残高より先に動いている。

Risk Digest

  1. Technical (技術・市場構造)。 Blockstream のサイドチェーン Liquid で 9 月 6 日 15 時 53 分 (UTC)、Elements ソフトウェアのレンジプルーフ検証キャッシュの欠陥を突いて裏付けのない約 4,000 L-BTC が作られ、ペグアウト経由で約 4,000 BTC が引き出された。準備金は 4,205 BTC から 197 BTC へ落ちた。鍵は漏れていない。7 日に 3,400 BTC が返還され、約 598.5 BTC が未回収のまま。修正版 Elements 23.3.4 は 9 日に公開され、10 日にブロック生成は取引なしで再開したが、ペグイン・ペグアウトは停止が続く。Blockstream は 11 日、残る約 600 BTC をめぐる身代金の要求に応じないと表明した。Cronos の 8 月 30 日の巻き戻し (10,961 ブロック、919 万ドル未回収) と合わせ、2 週で 2 つのチェーンが確定済みの状態を人の判断で変えた。11 日の 24 時間清算 6 億 9,270 万ドルは、9 万 6,923 人分のレバレッジが FOMC の前に外れたことを示す。

  2. Regulatory (規制・立法)。 CLARITY 法のクローチャー採決は 9 月 15 日、60 票に対して共和党 53 議席。下院は 17 日に離会するため、上院で条文が動けば年内の再同意はレームダック会期に持ち越される。修正版で倫理条項が変わらなかったことに民主党は反発しており、ティリス上院議員 (共和) は「ホワイトハウスが倫理条項の溝を埋めないなら法案は落ちる」と述べた。米財務省 OFAC は 9 月 8 日、イランの航空会社 27 社と海外の関連事業者 9 社を指定し、教育・個人送金などの一般許可の猶予期間が同日に終わった。米国は関税法 338 条の第 2 段階として、カナダ産の酒類、乳製品、二輪・ATV の輸入を 9 月 29 日から禁じる。SEC の名義書換代理人規則案は 11 月 3 日まで意見募集。日本では日銀会合が 17〜18 日にある。

  3. Market (市場)。 米 2 年債は 1 週間で 26bp 上がり、30 年債は 2007 年 6 月以来の水準に出た。9 月 16 日の利上げは報道が引く FedWatch で 85〜90% の織り込み。財務省の買い戻しは 1 回 60 億ドルに増えたが、30 年債の週間発行 220 億ドルの 3 割にも満たない。日本では 20 年債の入札が 15 日にあり、10 日に 3.754% まで下げた水準で買い手が付くかを倍率と翌日の日次利回りで確かめる。エネルギー価格では AAA の全米平均ディーゼルが 11 日に 6.056 ドルと同社の記録で最高になり、EIA の週次調査 (7 日時点) は 5.967 ドルだった。金 1 オンスで買える原油は 43.9 バレルで、前週末の 49.1 バレルから縮んだ。VIX は週の途中で 17 台後半まで上がり、11 日に 15.84 で戻した。

  4. Geopolitical (地政学)。 米中央軍は 9 月 8 日、IRGC が 2 日間で 2 度米艦艇を弾道ミサイルで狙ったことへの対応として、イランのタンカー 5 隻を破壊したと発表した。9 月 5 日以降の攻撃対象は 8 隻になる。ホルムズ海峡の通航は Kpler の集計 (Al-Monitor 経由) で 10 日に 7 隻、開戦前の 1 日約 125 隻から落ちたまま。11 日には報道によればフーシ派がバブ・エル・マンデブ海峡のペリム島に到達し、ホルムズを迂回した紅海側の出口も不確実になった。サウジアラビアの 8 月の産油量は OPEC 月報の集計を引く報道で日量 623.8 万バレル、1990 年以来の低さ。イラン、イラク、湾岸諸国は 14 日にオマーンで安全航行の枠組みを協議する。ロシア・ウクライナでは米特使団が 5 日にモスクワ、6 日にキーウを訪れ、両首都は互いを撃たないと表明したが、11 日にはロシアがキーウの給油所をジェット推進ドローンで攻撃したと報じられた。ドイツのザクセン・アンハルト州議会選 (6 日) は AfD が 43.8% で第一党になった。

Next Week Preview

1. 9 月 15〜16 日: FOMC。 声明と経済見通し (SEP) は 16 日 14 時 (日本時間 17 日午前 3 時)、記者会見は 30 分後。8 月 CPI は総合 3.4%、コア 2.4%、コア前月比 0.3%。2 年債が 1 週間で 26bp 上げた織り込みを追認するか、行き過ぎと示すかで年内の経路が決まる。見るのは声明より、参加者の政策金利見通しの中央値がどこへ動くかだ。同じ 16 日には米 8 月小売売上高 (21 時 30 分)、EIA の週次石油統計 (23 時 30 分) が出る。

2. 9 月 15 日: 上院 CLARITY 法クローチャー採決。 日本時間 16 日午前 3 時 15 分。60 票に届くかどうか。届けば動議の討論と本文審議、届かなければ次の機会はラミス議員の言う 2030 年になる。FOMC 初日の午後に、金融立法の一票が金融政策の決定より 1 日先に来る。

3. 9 月 17〜18 日: 日銀会合と 20 年債入札。 財務省の 20 年利付国債は 15 日入札で、10 日の 3.754% から買い手が付くかを倍率と翌日の日次利回りで見る。日銀の声明は 18 日、植田総裁の会見は 15 時 30 分。同じ朝 8 時 30 分に 8 月の全国消費者物価指数が出る。7 月分は総合 1.9%、生鮮食品を除いて 1.8% だった。利上げ自体は織り込み済みで、会見で語られる到達点への言及の有無を見る。

4. 9 月 16 日: Circle の Arc がメインネットへ。 BlackRock、DTCC、Visa など 11 社の許可制バリデータで動き出す。BUIDL の展開が予告どおり初日に載るか、rwa.xyz の BUIDL 資産ページのネットワーク一覧で確かめる。同日 23 時 (日本時間) にはイーサリアム財団プロトコル部門の公開質疑があり、Glamsterdam の Sepolia 適用日 (報道では 10 月 6 日) が示されるかを見る。

5. 9 月 14 日: オマーンでホルムズ協議。 イラン、イラク、湾岸諸国が安全航行の枠組みを話す。通航が 1 日 7 隻から二桁に戻るかを Kpler の集計で追う。戻らなければ 16 日の EIA 週次統計で在庫が 3 週続けて減るかが次の分岐で、減り幅が 40 万バレル級を超えるなら、100 ドルの原油は在庫でも説明が付くようになる。

Watch リスト。 ①トークン化株式: ナスダックのトークン化フラグ付き注文の稼働日と、Nasdaq Equity Tokens の 2027 年第 2 四半期の設計 (発行体中心の枠組みで株主権利を維持) が一次情報で出るまで監視のみ ②ビットコイン ETF: 11 日分の確定値と、FOMC 後の 17〜18 日に流出が続くか ③Liquid: ペグアウト再開と 598.5 BTC の回収 ④BCRED の第 4 四半期の請求比率 (12 月初旬通知) と、Apollo・Ares・Blue Owl の第 3 四半期結果の 8-K ⑤財務省の買い戻し: 24 日の 20〜30 年ゾーン 40 億ドル以上の実施額 ⑥カルダノ Node 11.2 (14 日の週) と、11.3 のハードフォーク候補版 ⑦米財務省の 9 月分の為替介入公表 (9 月末) で、8 月 27 日以降の円買いの有無が分かる。

投資助言ではありません。情報提供・リサーチ目的のみ。

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