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📡 Signal|Ethena、USDe の裏付けを Binance の株式先物へ拡大

Ethena が USDe の裏付けとなるベーシス取引を株式の無期限先物に広げ、最初の取引所に Binance を選んだ。審査報告は利回りと発行体契約に慎重な条件を付けている。

LiveMakers Editorial Desk

📡 Signal|Ethena、USDe の裏付けを Binance の株式先物へ拡大

Ethena Labs は9月25日、ステーブルコイン USDe の裏付けとなるベーシス取引を株式の無期限先物 (パーペチュアル) に広げ、最初の取引所に Binance を選んだと公表した。Binance の関連会社が発行するトークン化株式 bStocks を現物側に持ち、同じ銘柄の USDT 建て無期限先物を売ってヘッジする。配分は同日から始まった。

USDe の流通量は約49億ドル (DefiLlama、9月27日時点)。これまで BTC や ETH の現物と先物の組み合わせから利回りを得てきた合成ドルが、暗号資産の外にある市場に裏付けの一部を置き始めた。ただし、この拡大を承認するために Ethena のリスク委員会へ出された審査報告は、利回りの水準と発行体との契約について、公表文よりも慎重な数字と条件を書いている。

裏付けの組み方は変わらない、変わるのは原資産

USDe の仕組みは、現物を買い、同じ量の無期限先物を売って価格変動を相殺する「デルタ・ニュートラル」の建玉にある。価格が上がっても下がっても建玉全体の価値はほぼ動かず、先物の買い手が売り手に払う資金調達率 (ファンディングレート) が利回りの源になる。

Ethena はこの構造を発足以来、暗号資産で回してきた。今回はその原資産を株式に置き換える。同社の公式投稿は、担保の対象となる市場が暗号資産の2.5兆ドルから、実物資産の150兆ドル超へ広がると表現している。前回の強気相場で Ethena が暗号資産の無期限先物から取り込んだ規模は150億ドル超で、株式の無期限先物の機会はそれを大きく上回るとの見通しも示した。

リスク管理の面で同社が挙げたのは、Binance が Ethena を含む適格なデルタ・ニュートラルの口座に対し、自動デレバレッジ (ADL) の優先順位を下げる点だ。相場の急変で取引所が反対側の建玉を強制的に縮小するとき、Ethena の建玉が後回しになる。

年率11%と7%、同じ市場の二つの数字

公式投稿は、Binance の株式ベーシスが過去6か月で年率約11%超だったと書く。建玉は直近3か月、月平均で約30%ずつ増えたという。

一方、Kairos Research が8月28日にリスク委員会向けにまとめた審査報告は、8月26日時点の市場データで次のように書いている。Binance で承認対象となった銘柄のファンディングは、7月下旬には年率およそ18%あったが、報告時点ではおよそ7%に下がり、2銘柄はマイナスだった。OKX で承認対象となった銘柄は8〜16%だった。

どちらも誤りではない。6か月の平均と、承認銘柄に絞った足元の値は別の数字だ。ただ、この差は株式ベーシスの利回りが1か月で半分以下に動きうることを示している。USDe の利回りの源が暗号資産から株式に広がっても、ファンディングが相場の過熱度に連動するという性質は変わらない。

審査報告が付けた条件

報告は、銘柄を採用する基準を5つ置いた。無期限先物の片側建玉が14日平均で2,500万ドル以上、ファンディングの履歴が30日以上、原資産が上場株式であること、レバレッジ型・インバース型の ETF を除くこと、同じ取引所に対応するトークン化株式があること。

Binance では、67の対応ペアのうち17が基準を満たし、片側建玉は合計21.4億ドルだった。NVIDIA、Tesla、Apple、Alphabet、Meta といった大型株に、SPY と QQQ の ETF、Circle と Strategy、SpaceX などが並ぶ。OKX で基準を満たしたのは3ペアで、Bybit と Kraken はゼロだった。

条件の核は bStocks の扱いにある。報告は bStocks の承認を、発行体とのあいだで交渉中の付帯合意書 (サイドレター) の締結を条件とした。保有者は裏付けとなる株式に対する権利を持たないため、合意書が発行体による株式の使い方を制限するまで、現物側は「株式への請求権ではなく、Binance 関連会社に対する無担保の信用エクスポージャーだ」と書いている。すべての bStock のトークンが、マルチシグもタイムロックもない単一の外部所有アカウントのアップグレード鍵の下にあることも指摘した。

建玉の上限も決められている。無期限先物の建玉の10%、トークンの流通量の20%、仲値から1%以内の板の厚みの50%、1日の出来高の10%。この4つのどれかに当たった時点で、それ以上は積まない。

9月25日の公式投稿は、サイドレターが締結されたかどうかに触れていない。

分岐と確認先

基本線は、承認済みの17銘柄の範囲で配分が少しずつ積み上がる形だ。上限の4条件があるため、USDe の裏付けのうち株式が占める比率は、Binance の株式先物の建玉と板の厚みが伸びる速さを超えて増えない。

リスク側の分岐は、株式市場の調整で株式先物のファンディングがマイナスに沈む局面だ。8月下旬の時点で既に2銘柄がマイナスだった。暗号資産と株式のファンディングが同時に下がれば、USDe の利回りの源はそろって細る。

もう一つの分岐は、取引所の数だ。現状で基準を満たす取引所は Binance と OKX の2つに限られ、現物側の bStocks は Binance の関連会社1社が発行している。取引所と発行体が同じグループに集まる構造は、暗号資産のベーシス取引で複数の取引所に分散してきたこれまでの USDe より、一つの相手先への依存が強い。

確認先は Ethena ガバナンスフォーラムの審査報告のスレッドと、リスク委員会の議事だ。サイドレターの締結、OKX の3ペアを追加するかどうか、承認銘柄の見直しは、ここに書かれる。次のリスク委員会の議事で最初に見るのは、サイドレターが締結済みと記されるかどうかだ。

ことば

  • ベーシス取引 — 現物を買い、同じ量の先物を売って価格変動を打ち消し、先物と現物の価格差やファンディングを利回りとして取る取引。USDe の裏付けの中心にある。
  • 自動デレバレッジ (ADL) — 相場の急変で清算が追いつかないとき、取引所が利益の出ている側の建玉を強制的に縮小する仕組み。優先順位が低いほど、縮小の対象になりにくい。
  • bStocks — Binance の関連会社が発行する、上場株式に連動するトークン。今回は USDe の裏付けの現物側に使われる。

🔗 一次ソース

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