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📡 Signal|財務省、国債のオンチェーン化を3類型に整理
財務省が10月8日、国債のオンチェーン対応に関する研究会の初会合で、取り組みを3類型に分けた資料を公表した。振替決済制度の外に新形態の国債を出す型も並ぶ。
財務省は10月8日、「国債のオンチェーン対応に関する研究会」の初会合を開き、国債をブロックチェーン上で扱う取り組みを3つの類型に分けた事務局資料を公表した。国債を運用先とする投資信託の持ち分をオンチェーンでやり取りする型、いまの振替決済の帳簿をオンチェーンにする型、そして振替決済制度の外のブロックチェーン上に「新形態の国債」を発行する型だ。
資料は自らを「議論のマッピングのための暫定的な整理」と呼んでおり、方針の決定ではない。それでも、国債の持ち主をどの帳簿に記録するかという根本の部分を、発行体の財務省が選択肢として並べて見せた。研究会は12月から翌年1月をめどに議論を整理する。資料の公表は9日の 速報 で伝えた。
3つの類型
資料の「国債のオンチェーン対応の類型の例」は、次のように分けている。
- 類型1: 国債などを運用先とした投資信託 (MMF) の受益権をオンチェーンで授受する
- 類型2: いまの振替決済制度を前提に、振替口座簿をオンチェーンに対応させる
- A. 1つの口座管理機関 (証券会社や銀行) の中で帳簿をオンチェーンにする
- B. 複数の口座管理機関の帳簿をオンチェーンにし、機関どうしで連携する
- C. 口座管理機関に加え、振替機関 (CSD) の帳簿までオンチェーンにする
- 類型3: 振替決済制度の外のブロックチェーン上に、新形態の国債を発行する
日本の国債は、振替機関である日本銀行と口座管理機関がそれぞれ持つ帳簿への記録の書き換えで持ち主が移る。日銀ネットの国債の系統と資金の系統をつなぐことで、国債と資金を同時に受け渡し (DVP)、決済は約定の翌営業日 (T+1) だ。類型の番号が上がるほど、この仕組みから離れていく。類型2の C は日本銀行の帳簿までを含み、類型3は振替決済制度の外に出る。
財務省が挙げたメリットと影響
資料は、オンチェーン化の意義として、担保と流動性の管理の効率化 (特に海外の投資家)、オンチェーンに置かれた待機資金の安定した運用先、国債の安定消化と新たな投資家層の獲得、国債市場の国際的な競争力を挙げた。
一方で、考えられる影響も並べている。市場が分かれることで必要な流動性の総量が増える可能性、24時間365日の取引が実現した場合に価格の急変が伝わりやすくなる点、制度・システム・業務の課題とコストだ。いずれも「議論の出発点として暫定的に整理したもの」と注記されている。
研究会の委員は法学・経済学の研究者4人と資産運用会社の1人で、日本銀行と金融庁がオブザーバーとして加わる。会議は非公開で、議事要旨と資料は後から公開される。出発点は、内閣官房が7月21日にまとめた金融戦略で、財務省が国債のトークン化と、元利払いのオンチェーン決済の検討を進めると書かれていた。
英国と香港はすでに発行の段取りに入っている
海外では、公的な発行体が先に動いている。英国は10月6日、デジタルで発行・決済する初めての国債 (DIGIT) の主幹事に Barclays、HSBC、Lloyds、Morgan Stanley、NatWest、RBC Capital Markets の6社を指名し、2027年の第1四半期までの発行を見込むと発表した。香港政府は9月29日、約200億香港ドル規模のデジタル・グリーンボンドの条件を決め、デジタル債として世界最大の発行だとした。決済には、前回の中央銀行マネーのトークンに加え、トークン化預金も初めて組み込んだ。
資料自身も、米国で DTCC と Digital Asset が2025年12月、DTC が保管する米国債を Canton Network 上でオンチェーンにする提携を発表したことや、BlackRock のオンチェーン MMF「BUIDL」を海外の動向として挙げている。日本の3類型で言えば、発行そのものをデジタルにする英国の DIGIT は、類型3に近いと読める。財務省がどこまで踏み込むかは、ここから半年で見えてくる。
次に見るもの
確認先は財務省の研究会のページだ。初会合の議事要旨が載れば、委員が3類型のどこに重心を置いたかが分かる。次の焦点は事業者のヒアリングで、資料は類型の整理をヒアリングを踏まえて進めるとしている。12月から翌年1月をめどにした議論の整理で、類型3の「新形態の国債」が選択肢に残るかどうかが、日本の国債がブロックチェーンに載るかどうかの分かれ目になる。
ことば
- 振替決済制度 — 国債や社債などの持ち主を、紙の証券ではなく振替機関と口座管理機関の帳簿 (振替口座簿) への記録で管理する仕組み。日本の国債では、日本銀行が振替機関を務める。
- DVP (同時受け渡し) — 証券と代金を同時に受け渡す決済の方式。片方だけが渡って相手が払わない、というリスクを防ぐ。オンチェーン化では、代金の側もトークンにできるかが論点になる。
- トークン化預金 — 銀行預金をブロックチェーン上のトークンとして表したもの。発行者は銀行で、ステーブルコインと違い、預金としての法的な扱いを保つ。
🔗 一次ソース
財務省:国債のオンチェーン対応に関する研究会 (研究会のページ)財務省- 財務省 理財局:事務局説明資料「国債のオンチェーン対応について」(2026年10月8日・3類型はスライド7)mof.go.jp
- 財務省:研究会の開催について (2026年9月30日・委員とオブザーバー)mof.go.jp
- 内閣官房:成長投資を促進するための金融戦略 (2026年7月21日)cas.go.jp
英国政府:UK takes next step towards first digitally native government bond (2026年10月6日)GOV.UK- 香港金融管理局:デジタル・グリーンボンドの条件決定 (2026年9月29日)hkma.gov.hk
- CoinPost の X 投稿 (2026年10月9日)