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SNAPSHOT 2026-10-12 05:03 JST

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📡 Signal|SEC、ファンド間のクロス取引で債券を対象に戻す改正案

SEC がファンド間のクロス取引規則の改正案を公表。2020年以降ほぼ対象外だった債券を戻し、監視を CCO に移す。

LiveMakers Editorial Desk

📡 Signal|SEC、ファンド間のクロス取引で債券を対象に戻す改正案

米証券取引委員会 (SEC) は10月9日、投資信託など登録ファンドが同じ運用会社の別ファンドと証券を直接売り買いする「クロス取引」の規則 (投資会社法の Rule 17a-7) の改正案を公表した。2020年の評価規則の見直し以降、ほとんどの債券がクロス取引の対象から外れていたのを、市場で観測できる値から評価できる証券まで広げて対象に戻すのが柱だ。

市場を通さずに同じ運用会社の中で売りと買いをつなげば、ファンドは売買のコストを省ける。SEC はその節約を年約1.73億ドルと見積もった。ファンドの中身を動かす配管の規則だが、取引価格の決め方と監視の担い手まで入れ替える改正で、意見募集は連邦官報への掲載から60日間になる。

2020年の評価規則が、債券のクロス取引を止めていた

投資会社法は、登録ファンドとその関係者との取引を原則として禁じている。1966年に採択された Rule 17a-7 は、その例外として、一定の条件でファンドどうしのクロス取引を認めてきた。条件の一つが、「容易に入手できる市場相場」がある証券であることだった。

この前提を変えたのが、2020年12月に採択されたファンド評価の規則 (Rule 2a-5) だ。「容易に入手できる市場相場」の定義が見直され、活発な市場で同じ証券に調整なしの相場がある場合 (会計でいうレベル1) に絞られた。取引所で相場が出ない社債の多くはこの定義に入らず、遵守期限の2022年9月以降、実務上クロス取引ができなくなった。

その影響は数字に出ている。提案書の経済分析によると、投資信託どうしの社債のクロス取引は、四半期平均で約62.4億ドルから約8.5億ドルに減った。SEC はこれで失われた節約を年4,991万ドルと推計している。アトキンス委員長は声明で、2020年の評価規則が「ほとんどの債券のクロス取引を事実上禁じた」と書いた。

改正案の中身: 対象・価格・監視の3点

改正案の変更は大きく3つある。

  • 対象: 直接または間接に観測できる入力値で評価される証券を加える。会計の公正価値の階層でいう「レベル2」にあたり、ほとんどの債券が対象に戻る
  • 価格: 細かく定めた現行の価格条件をやめ、取引当日の基準価額 (NAV) の計算に使う評価額か、運用会社が関係のない価格源をもとに決めた現在の市場価格かを選ぶ方式にする。後者を選ぶ場合は、価格の妥当性を定期的に見直す
  • 監視: 取締役会が担ってきた確認を、チーフ・コンプライアンス・オフィサー (CCO) に移す。CCO は四半期ごとにクロス取引を見直して取締役会に報告し、年1回、クロス取引で買った証券を最終的に売った価格まで追う検証を行う

運用会社は取引の前に、それが各ファンドの最善の利益にかなうと判断しなければならない。報告は月次の集計で、クロス取引の額と売買の総額を資産の種類別に Form N-PORT と Form N-MFP に載せる。取引ごとの報告ではない。移行期間は、運用会社グループの純資産が100億ドル以上なら12か月、それ以外は18か月だ。

年1.73億ドルの節約と、価格の公正さの監視

SEC の見積もりでは、改正による便益は年約1.73億ドル、コストは年1,550万〜1,590万ドルだ。業界の調査では、2020年の債券のクロス取引は2,000億ドルを超え、節約は3億ドルを超えていた。対象となりうる登録ファンドは、2025年12月時点で14,297本ある。

クロス取引は、売る側のファンドと買う側のファンドの利害がぶつかる取引でもある。価格が片方に有利にずれれば、同じ運用会社の顧客どうしで価値が移る。改正案が価格の決め方を緩める代わりに、売却価格までさかのぼる年1回の検証を CCO に課しているのはこのためだ。ウエダ委員は声明で、取引ごとの価格を債券の取引報告の仕組み (TRACE など) に報告させる案についても、意見を求めた。

提案書には、ブロックチェーンへの言及が脚注に一つだけある。第三者に払う決済などの少額の費用について、分散型台帳上の同等の支払いも含むとし、Ethereum のガス代を例に挙げた。トークン化したファンドや債券がクロス取引に入る場面を、規則の文言が先に受け止めている。

次に見るもの

確認先は、連邦官報 (Federal Register) への掲載日だ。掲載の日から60日が意見募集の期間になり、締切日がそこで決まる。意見は SEC の提案ページ (File No. S7-2026-36) に集まる。運用会社の業界団体である投資会社協会 (ICI) などが、価格の決め方と CCO の検証の重さにどう応じるかが、最終規則の形を決める。

ことば

  • クロス取引 — 同じ運用会社が運用する2つのファンドの間で、市場を通さずに証券を直接売り買いすること。売買の手数料や値幅のコストを省けるが、価格の決め方次第で片方のファンドの顧客が損をしうる。
  • レベル2 (公正価値の階層) — 会計で資産の評価方法を3段階に分けたうちの2番目。取引所の相場そのもの (レベル1) は無いが、似た債券の利回りなど市場で観測できる値から評価できるもの。社債の多くがここに入る。
  • Form N-PORT — 米国の登録ファンドが保有資産などを SEC に月次で報告する書式。改正案では、クロス取引の額をここに集計で載せる。

🔗 一次ソース

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