Signal
📡 Signal|Aviva Investors、XRP Ledger でポンド建て MMF をトークン化
Aviva Investors が約 220 億ポンドのポンド建て MMF に、XRP Ledger 上のトークン化株式クラスを設定。同社自身が 5,000 万ポンドを投じた。

英国の資産運用会社 Aviva Investors は10月26日、Ripple と組み、英ポンド建ての短期金融ファンド (MMF) 「Sterling Liquidity Fund」に、XRP Ledger 上で発行するトークン化された株式クラスを設けたと発表した。運用資産は約 220 億ポンドで、同社で最大のファンドだ。Aviva Investors 自身が、新しいクラスに 5,000 万ポンドを投じた。
同社のトークン化ファンドは、7月の米ドル建て流動性ファンドに続いて 2 本目になる。今回は最大のファンドで、しかも英ポンド建てだ。ステーブルコインがドルに偏るなか、ポンドの短期資金をチェーン上で持つ手段が、大手運用会社の主力商品から出てきた。
この発表は速報で報道をもとに伝えた。速報ではファンドの規模を「22 億ポンド」と書いたが、正しくは約 220 億ポンドだ。ここでは Ripple の発表文で中身を確かめる。
何がチェーンに載ったのか
トークン化されたのはファンドそのものではなく、株式クラスの 1 つだ。約 220 億ポンドは既存のファンド全体の運用資産で、チェーン上に移った額ではない。発表文によると、仕組みは次のとおり。
- ファンド: アイルランド籍の UCITS (欧州の公募ファンド規制) に沿った MMF で、2002年に設定された。格付けの高い短期のポンド建て債務に投資し、低いリスクでの収益と毎日の換金を目指す
- 方式: 保有の記録をチェーン上に写し、チェーンの外にある既存のファンドの仕組みはそのまま残す「デジタルツイン」型
- 投資家: デジタルウォレットを持つ適格投資家が対象。投資目的・リスク・換金のしやすさ・規制上の保護は、従来のクラスと同じ
- 関係者: デジタル資産の保管を Komainu が、トークン化の基盤を Licuido が担う。ファンドの資産はすべて、従来どおりファンドの保管銀行である The Bank of New York Mellon が持つ
発行先のチェーンは XRP Ledger だが、資産を誰が持ち、どの規制で守られるかは変わらない。チェーンが担うのは、株主の名簿と受け渡しの部分だ。
5,000 万ポンドは誰のお金か
最初の 5,000 万ポンドは、外部の顧客ではなく Aviva Investors 自身の投資だ。2 本のトークン化クラスを合わせた同社の投資額は 8,600 万ポンドを超え、発表文は同社を欧州で最大級のトークン化 MMF の提供者の 1 つと位置づけている。合計から今回の額を差し引くと、7月の米ドル建てクラスへの投資は 3,600 万ポンド強になる。
運用会社が自己資金で最初の残高を入れるのは、新しいクラスを動かし始めるための呼び水だ。外部の投資家の資金がどれだけ入るかは、まだ示されていない。
Aviva Investors の最高経営責任者 Mark Versey 氏は、トークン化の分野で 2 本目のファンドを出せたことを喜び、トークン化ファンドは効率と顧客の成果を高めうると述べた。Ripple で取引・市場部門を率いる Nigel Khakoo 氏は、市場が 24 時間の取引と即時の決済へ向かっていると話し、ファンドのトークン化が急速に進んでいると語った。
ポンドの短期資金がチェーンに乗る意味
MMF は、企業や機関投資家が手元資金を置く先だ。ステーブルコインの多くはドル建てで、ポンドの短期資金をチェーン上で持つ手段は限られてきた。保険グループ Aviva の運用部門が、自社最大のファンドでその手段を用意した。
使い道が広がるのは、トークン化 MMF の持ち分を、チェーン上の取引の担保や決済の待機資金として使えるようになったときだ。今回の発表は、その手前の器ができた段階にとどまる。
次に見るもの
確認先は XRP Ledger 上のトークンそのものだ。発行量と保有アドレスの数はチェーン上の公開データで毎週確かめられ、発行量が当初の 5,000 万ポンド分から増えれば、外部の資金が入り始めたことになる。あわせて Aviva Investors のニュースのページで、外部の投資家の名前や残高が示されるかを見る。
ことば
- MMF (マネー・マーケット・ファンド) — 満期の短い国債や銀行預金などで運用し、元本の安定と毎日の換金を重視する投資信託。企業や機関投資家の手元資金の置き場として使われる。
- 株式クラス — 同じファンドの中で、手数料や対象の投資家、受け渡しの方法などを分けた区分。今回はチェーン上で受け渡すクラスを 1 つ足した。
- デジタルツイン型 — 既存のファンドの仕組みを残したまま、保有の記録をチェーン上に写す方式。資産の保管や規制の枠組みは従来のままで済む。
🔗 一次ソース
