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📡 Signal|Injective、BDACS の KRW1 を韓国ウォンの決済資産に
Injective が BDACS と覚書を結び、ウォン建てステーブルコイン KRW1 をトークン化資産の決済に使う。発行と償還は承認を受けた機関に限られる。

金融向けのブロックチェーン Injective は10月25日、韓国ウォンを自らのチェーンの上で初めてトークン化すると X で告知した。中身は、韓国の暗号資産カストディ大手 BDACS と10月20日に結んだ覚書で、BDACS が発行するウォン建てのステーブルコイン KRW1 を、Injective の上のトークン化資産 (RWA) の決済に使うウォン建ての資産と位置づける。
トークン化した株や債券の売買は、チェーンを問わず多くがドル建てのステーブルコインで決済されている。今回の覚書は、その決済の通貨をウォンに置き換える道を一つ開く。ただし発行と償還は承認を受けた機関に限られ、規制当局の承認も条件になっている。
覚書の中身: KRW1 をウォン建ての決済資産に
両社が10月20日付で出した発表によると、KRW1 は韓国ウォンと 1 対 1 で裏付けられたステーブルコインで、BDACS はこれを「世界初の韓国ウォンのステーブルコイン」としている。覚書では、KRW1 を Injective の上の RWA とトークン化の用途で使う最初のウォン建ての決済資産として扱う。
BDACS のハリー・リュ CEO は「チェーンの上にウォンの基盤がなければ、トークン化市場の需要はドル建てのステーブルコインにつなぎとめられたままになる」と述べた。Injective の共同創業者エリック・チェン氏は、ウォンの決済の層をチェーンの上に置くことを、韓国のトークン化金融にとって「重要な一歩」と表現した。
両社は今回を「最初の一歩」と位置づけ、韓国の金融機関と組んで資産をチェーンの上に載せること、具体的な使い道が動き出すたびに知らせることを予告している。この段階で決まっているのは提携の枠組みで、どの資産がいつ KRW1 で売買されるかはまだ示されていない。
使えるのは、まず承認を受けた機関だけ
発表は、KRW1 の発行と償還を「承認を受けた機関のパートナー」に限り、規制当局の承認を条件とすると明記している。個人がウォンを預けて KRW1 を受け取り、Injective の上で株や債券のトークンを買う、という使い方がすぐに始まるわけではない。
背景には韓国の制度づくりがある。発表は、ウォン建てのステーブルコインのルールを定めるデジタル資産基本法について、韓国政府が2026年末までの取りまとめを目指しているとしている。ウォンのステーブルコインを誰が発行でき、どう裏付けを管理するかは、この法律の中身で決まる。覚書の段階で手を結んでおき、法律が固まった時点で使い道を広げるのが両社の順序だ。
ドル以外の通貨で決済する、という選択肢
トークン化資産の決済をめぐっては、イーサリアムや Solana のような主要チェーンでも、使われる通貨の中心は米ドル建てのステーブルコインにある。リュ CEO の言う「ドルへのつなぎとめ」は、Injective に限らずトークン化市場全体の構造だ。韓国の投資家がトークン化した資産を売買するたびにウォンからドル、ドルからウォンへと二度両替するなら、その手間と為替の負担は投資家にかかる。
ウォン建ての決済資産がチェーンの上に用意されれば、ウォンのまま売り買いする道ができる。個人の暗号資産の取引が盛んな韓国で、その資金がドルを経ずにトークン化資産へ向かう経路を、どのチェーンが先に押さえるかという競争の一部でもある。今回の覚書は Injective がその経路の一つに名乗りを上げたものだが、発行と償還の制限と法律の未確定を考えると、実際の取引量が立ち上がるのは制度が決まった後になる。
次に見るもの
確認先は二つある。一つは、韓国政府が年内の取りまとめを目指すデジタル資産基本法の政府案で、ウォンのステーブルコインの発行体の要件と裏付け資産の管理の規定がどう書かれるか。もう一つは、両社が「具体的な使い道が動き出したら知らせる」とした次の告知で、Injective の公式発表で最初に KRW1 建てで売買されるトークン化資産の名前が出るかを見る。
ことば
- KRW1 — 韓国の暗号資産カストディ BDACS が発行する、韓国ウォンと 1 対 1 で裏付けられたステーブルコイン。今回の覚書で、Injective の上のトークン化資産の決済に使うウォン建ての資産に位置づけられた。
- RWA (現実資産) — 株・債券・不動産・ファンドなど、ブロックチェーンの外にある資産をトークンにしたもの。売買の決済には主にドル建てのステーブルコインが使われてきた。
- デジタル資産基本法 — 韓国で検討が進む暗号資産の基本法。ウォン建てのステーブルコインを誰がどう発行できるかのルールも含み、政府は2026年末までの取りまとめを目指している。
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