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SNAPSHOT 2026-11-04 07:30 JST

Signal

📡 Signal|Aave Labs ら3者、DeFi 貸付の証券法分析を SEC に提出

Aave Labs・Kamino の財団・Veda が、DeFi の貸付とヴォルトは証券を生まないとする論文を SEC に提出。ガバナンスの投票は経営努力にあたらないと確認を求めた。

LiveMakers 編集デスク

📡 Signal|Aave Labs ら3者、DeFi 貸付の証券法分析を SEC に提出

分散型の貸付プロトコル Aave を開発する Aave Labs は 11 月 3 日、分散型の貸付と、利用者の資産を預からずに運用を代行する「ヴォルト」に米国の証券法がどう当てはまるかを分析した論文を、SEC (米証券取引委員会) の暗号資産タスクフォースと企業金融局に提出したと公式 X で明らかにした。共著は Solana 上の貸付プロトコル Kamino の財団と、ヴォルトの基盤を手がける Veda Tech Labs。提出は 10 月 26 日で、11 月 2 日付の公開版の要約が出た。

結論は、貸付への直接の参加も、ヴォルトを通じた参加も、証券にあたる債務証書や投資契約を生まないというものだ。論文の主張の芯は「分散化しているかどうか」ではなく、「誰かが返済を約束しているか、利用者の利益を生み出しているか、利用者の資産を支配しているか」で線を引くべきだという点にある。SEC の線引きが規則になる前の段階で、業界が判断の物差しそのものを提案しにいった。

第一報は 速報 で伝えた。本稿は Aave の公開した要約から、論文の論理と、SEC への具体的な求めを読む。

四つの結論

要約によると、論文は二つの判例の基準を使う。債務証書が証券かを判断する 1990 年のリーブス判決と、投資契約かを判断する 1946 年のハウイ判決だ。そのうえで、次の四つの結論を出した。

  • 貸付プロトコルへの直接の参加も、ヴォルトを通じた参加も、リーブス判決の言う債務証書 (ノート) を生まない。誰も自分の信用で返済の義務を負っていない
  • どちらもハウイ判決の投資契約にあたらない。直接の参加には共同の事業が無く、利回りはコードの規則のもとで独立した借り手が生む
  • ここで分析したヴォルトは投資会社法の投資会社ではない。資産を自分の勘定で持ち、それに対する持分を発行する発行者がいない
  • 報酬を受けて証券の運用を助言するキュレーター (ヴォルトの運用を担う者) は投資顧問業法の義務を負いうるが、利用者の資産を引き出せないので、資産の保管 (カストディ) にはあたらない

要約は、2026 年 10 月時点で貸付プロトコルの市場に 500 億ドルを超える資産が記録されていると、DefiLlama の集計を引いて書いている。分析の対象は、もはや実験の規模ではない。

ガバナンスの投票は「経営努力」か

論文がとくに力を入れるのは、トークン保有者のガバナンスの扱いだ。貸付プロトコルでは、ガバナンスの投票で金利の計算式、担保にできる資産、借入の上限、清算の水準が決まる。これが投資契約の要件である「他人の本質的な経営努力」にあたるかどうかが、分散型の金融を証券法の外に置けるかの分かれ目になる。

論文の答えは、あたらない、だ。こうした投票は貸付の市場の規則を決めるもので、利用者の持ち高を裁量で運用するものではないとする。そのうえで SEC に対し、次のことを確認するよう求めた。

  • 公開された技術的なリスクの設定と、利用者を守るためのガバナンスだけでは、ハウイ判決の経営努力にあたらないこと
  • 投資契約かどうかは、プロトコルが書き換え不能かどうかでは決まらないこと
  • 定例の保守、障害への対応、範囲の決まったリスク管理と、利回りを積極的に生む活動を分けて扱うこと

一方で論文は、裁量で運用するヴォルトや、継続的な金利の補助、利用者に「人が利益を生む」と思わせる宣伝にまで、この確認を一律に広げるべきではないとも書いている。何でも証券法の外に置けという主張ではない。

SEC の FAQ と同じ日に

公開版の要約の日付は 11 月 2 日。同じ日、SEC の企業金融局は暗号資産の FAQ に 3 問を加え、関係の無い多数の保有者が参加する開かれたガバナンスの参加者は、原則として「中心となる当事者」の集団とはみなさないとの職員の見解を示した (FAQ の追加を読んだ Signal)。

FAQ が扱ったのはトークンの分類で、論文が扱うのは貸付とヴォルトへの参加という取引の側だ。対象は違うが、ガバナンスの投票を「支配」と数えないという方向は重なる。SEC の職員が分類の側で示した線を、業界は取引の側に延ばすよう求めている。

次に見るもの

確認先は、SEC の暗号資産タスクフォースのページに載る面談記録 (ミーティング・ログ) と提出意見の一覧だ。Aave Labs らとの面談が記録されるか、提出された論文の本体が一覧に載るか、企業金融局の FAQ に貸付やヴォルトを扱う問いが加わるかを見る。

ことば

  • ヴォルト (保管しない運用の器) — 利用者の資産をスマートコントラクトに預け、決められた戦略で貸付などに振り向ける仕組み。運用を担うキュレーターは範囲の中で配分を変えられるが、資産を自分のものとして引き出すことはできない設計が前提になる。
  • ハウイ判決 — 1946 年の米最高裁の判決。お金を出し、共同の事業に加わり、他人の努力による利益を期待する取引を「投資契約」とし、証券として扱う基準になった。暗号資産が証券かを判断する議論の出発点でもある。

🔗 一次ソース

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