Signal
📡 Signal|CME の資本効率、1日平均1,000億ドルで過去最高
相関する建玉の相殺で顧客が預けずに済む証拠金が1日1,000億ドル。10年前は30〜40億ドル。永久先物との競争で前に出す強み。

CME グループは 10 月 21 日の 7〜9 月期決算で、顧客に生んだ「資本効率」が 1 日平均で 1,000 億ドルと過去最高に達したと発表した。テリー・ダフィー最高経営責任者は Ripple の会議 Swell の壇上で、10 年前は 1 日 30〜40 億ドルだったこの数字が、今は毎日 1,000 億ドルを超えると述べた (CoinDesk が 11 月 2 日に伝えた)。
相関のある建玉どうしを相殺して、顧客が預ける証拠金を減らす。その節約の総額が、10 年で 25 倍以上になった。満期のない永久先物を掲げる新しい取引所が規制下に入ってくる中で、CME が自社の強みとして前に出しているのが、この「預けるお金の少なさ」だ。
第一報は 速報 で伝えた。速報では金額を「3〜4 億ドル」「100 億ドル」と記したが、正しくはそれぞれ 30〜40 億ドル、1,000 億ドルで、本稿で訂正する。
決算が示した 1,000 億ドル
CME の 7〜9 月期の決算発表で、ダフィー氏は次の数字を並べた。
- 1 日平均の取引高: 2,940 万枚 (7〜9 月期として過去最高)。6 つの資産クラスすべてで 2 桁の伸び
- 米国外からの 1 日平均の取引高: 900 万枚 (7〜9 月期として最高)
- 売上高: 17 億ドル / 純利益: 10 億ドル
- 1 日平均の資本効率: 1,000 億ドル (過去最高)
ダフィー氏は決算発表で、7〜9 月期に不確実性が高まる中、顧客が過去最多の規模でリスク管理のために CME に集まったと書いた。資本効率の過去最高は、その取引量の伸びと並べて示されている。
10 年で 30〜40 億ドルから 1,000 億ドルへ
CoinDesk によると、ダフィー氏は Swell で、こうした効率化によって参加者は資本を「ほかの場所に振り向けられる」と説明した。
資本効率の考え方はこうだ。たとえば米国債の先物と金利の先物のように値動きが連動する建玉を同じ清算機関で持つと、片方の損がもう片方の益で埋まりやすい。清算機関はそのぶん必要な証拠金を減らせる。商品の種類が増え、同じ場所に集まる建玉が増えるほど、相殺できる組み合わせが増える。1 日 1,000 億ドルという数字は、CME という 1 か所に、それだけの規模の建玉が集まっていることの裏返しでもある。
永久先物との競争の中で
この発言が報じられたのは、米国のデリバティブ市場の地図が動いている時期だった。11 月 3 日には CFTC のセリグ委員長が、個別株の永久先物が CFTC 登録の取引所で取引できるようになったと声明を出した。CME は暗号資産の永久先物を認めた CFTC の判断を連邦地裁で争っており、CFTC は CME に損害がないとして却下を求めている (10 月 22 日の Signal)。
永久先物は、満期がなく 24 時間動く手軽さで顧客を集める。CME が対抗の軸に置くのは、商品の新しさではなく、建玉が一か所に集まっていることで生まれる証拠金の節約だ。新しい取引所が個別の商品で先行しても、証拠金を相殺できる相手の建玉の厚みは、すぐには移ってこない。1 日 1,000 億ドルは、その厚みを金額で言い表した数字として読める。
次に見るもの
確認先は、例年 2 月に出る CME の 10〜12 月期と通期の決算発表だ。1 日平均の資本効率が 1,000 億ドルを上回り続けるか、そして米国外の取引高の伸びが続くかが見える。並行して、暗号資産の永久先物をめぐる CME と CFTC の訴訟で、ワシントンの連邦地裁が原告適格を認めるかどうかの判断が、CME の対抗の仕方を左右する。
ことば
- 証拠金 — 先物を取引するときに、損失に備えて清算機関に預けるお金。必要な額が少ないほど、同じ資金でより多くの取引ができ、残りの資金をほかに回せる。
- クロスマージン — 値動きが連動する複数の建玉をまとめて見て、損益が相殺される分だけ必要な証拠金を減らす仕組み。CME が「資本効率」と呼ぶ節約の中心にある。
- 清算機関 — 取引の売り手と買い手の間に入り、どちらかが払えなくなっても決済を保証する機関。証拠金を集めて管理する。
🔗 一次ソース
