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📡 Signal|Ethereum財団がHegotáの格付けを公開、62案のうち必ず出すのは2本、却下は28本
Ethereum財団のProtocol clusterがHegotáの62 EIPを格付け。必ず出すのはFOCILとFramesの2本、却下は28本。稼働日はMeta EIPにも財団の日程にも書かれていない。
9月7日、Ethereum財団のProtocol cluster(プロトコル研究・開発を担う約60人の集団)が、Ethereumの次の次のアップグレード「Hegotá(ヘゴタ)」に提案された62本のEIP(改善提案)を一本ずつ格付けした一覧を公開した。必ず出す「S」は2本だけで、FOCIL(EIP-7805)とFrame Transactions(EIP-8141)。高優先の「A」が15本、個別判断の「B」が8本、線の下の「C」が7本、却下が28本、保留が2本である。
Hegotáは、いま試験網で動いている「Glamsterdam」の次に来るアップグレードで、名前は星のHezeと都市のBogotáを合わせたものだ。8月27日の開発者会議でEIP-8141が「組み込み予定」に入ったことに続き、この一覧で「何を載せるか」の骨格がほぼ見えた。載せる中身は、検閲耐性と口座の抽象化という、ここ数年のEthereumが後回しにしてきた2つの構造問題に集中している。
一方で、この一覧にもMeta EIPにも、稼働日は書かれていない。「ガス代をステーブルコインで払えるようになる」という今週の見出しが何を指し、何を指していないかも、仕様を読むと見え方が変わる。順に見ていく。
■ 62本のうち、必ず出すのは2本
Protocol clusterの投稿は、格付けの意味を先に定義している。Sは「フォークを定義する。S項目が危うくなれば、スコープではなく日程を調整する」。Aは「Sと並んで約束する。実装の現実が削減を迫る場合に限り、どのS項目にも手を付ける前に削る」。Bは「まとめては入れない。SとA全部が入った試験網が安定した後に、1本ずつ検討する」。Cは「線の下だが失格ではない」。却下には「構造的な理由」が一本ずつ付く。
S-tierの2本には、それぞれ1行の理由がある。FOCIL(EIP-7805)は「確定済みのコンセンサス層ヘッドライナー。集中化したビルダーに頼らずに、対象となる取引を含めさせる経路をすべての利用者に与える」。Frame Transactions(EIP-8141)は「確定済みの実行層ヘッドライナー。安全性の理由によるネイティブな口座抽象化。方式ごとにフォークを重ねることなく、耐量子署名方式へ進む経路になる」。
A-tierの15本のうち、実行層の2本はFramesの付属部品として位置づけられている。EIP-8250(Keyed Nonces)は「多くの利用者が1つの送信者を共有して匿名性を高めつつ、別々のノンスを使うことで互いの取引が詰まらないようにする」。EIP-8272(Recent Roots)は「プライベートな取引が最近のオンチェーン状態を、検証者が確かめられる形で使えるようにし、FOCILの包含保証の恩恵を受けられるようにする」。検閲耐性、プライバシー、口座抽象化が、別々の3案ではなく1つの束として設計されている。
耐量子の扱いは慎重だ。Hegotáに入れる耐量子の項目はEIP-8365(BLS引き出し資格の退役)の1本だけで、「脆弱な暗号に結び付いた引き出し資格の退役を今から始める。下流で待つ必要のあるものは何もない」と説明されている。署名方式そのものの置き換えは、Framesが開く「経路」の先に置かれている。
この一覧は、Protocol clusterが「チームごとの意見ではなく1つの統一した見方」を出した初めてのものだと自ら書いている。16の寄稿テンプレートから397件の格付けが集まり、EIP1本あたり平均6.4件。9月16日14時(UTC)にはr/ethereumで質疑応答の場を設け、「この一覧について聞かれることを想定している」としている。ただし、これはあくまで財団側の意見表明であり、何を載せるかを決めるのは開発者会議(All Core Devs)である。
■ 8月27日、Framesは「仕様が動く前提」で予定に入った
EIP-8141が「組み込み予定(Scheduled for Inclusion)」に上がったのは、8月27日の実行層開発者会議(ACDE #244)だ。会議の記録によれば、Base(Coinbaseが運営するL2)側は8月12日の時点で、8141が「口座に対する破壊的なプロトコル変更」であり、EVM系のエコシステムがFramesに収斂していないとして、EVM変更もオペコード追加も要らない対案EIP-8130を提示していた。
会議では、L2BEATのLuca Donnoが「8130はL2側でより厳格な8141として実装できるのではないか」と問い、8141の共著者であるlightclient(Matt Garnett)は「8141を更新すればいい」と応じた。Nethermindは8月7日の時点で実装と試験網を済ませ、ethrexはFramesの試験網を反復ごとに立ち上げていた。議長のnixoは反対の有無を確かめたうえで「Framesを組み込み予定にして進める。口座抽象化の分科会からの更新を続け、L2とエコシステムの懸念に対応し、次のフォークで口座抽象化を出荷する」と締めた。
このとき研究者のAnsgar Dietrichsが記録に残した留保がある。「予定入りの地位が、仕様の継続的な改良にいかなる形でも影響してはならない」。つまり8141は、枠として確定し、中身は動き続ける前提で予定に入った。実際、EIPの本文は8月11日から9月1日までに15回更新されている。
その1週間後の9月5日、lightclientは「Frames are all you need」と題した文章を公開し、「Framesは口座のために必要な最後のトランザクション型になるはずだ」と書いた。同じ日にVitalik Buterinは「Frames(EIP-8141)で重要な進展が、この数か月、静かに進んでいた。この文章と、更新されたEIPを読むことを強く勧める」と投稿している。9月7日以降の各社報道は、この2つの投稿と財団の一覧を受けたものだ。
■ 「ステーブルコインでガス代」は、ETHを払う相手が変わるという意味だ
EIP-8141は、1本の取引を最大64個の「frame」(通常のコントラクト呼び出し)に分解する。取引の検証、ガス代の支払い承認、利用者が本来やりたかった処理を、それぞれ別のframeが担う。いまのEthereumでは、署名者と支払者と実行者が1つの外部所有口座に固定されているが、Framesではこれが分かれる。
ガス代の扱いは、仕様の例に具体的に書かれている。ある口座(スポンサー)がframeの中で支払いを承認し、別のframeで利用者がスポンサーにERC-20トークンを送る。ネットワークがガス代として受け取るのは、この場合もETHである。支払人は取引の領収書に記録され、返金もその支払人に戻る。「ステーブルコインでガス代を払える」は、利用者の側から見れば正しい。ネットワークの側から見れば、ETHを払う主体が利用者からスポンサーに変わる、という意味だ。
この構造自体は、ERC-4337の「ペイマスター」として2023年から存在している。違いは、それがプロトコルの外の中継基盤に依存していた点にある。Framesは、同じことをプロトコルの内側で、取引1本の中に閉じて成立させる。財団が8141の理由に挙げたのは利便性ではなく安全性で、口座ごとに検証ロジックを持てることが、耐量子署名への移行を「方式ごとのフォークなし」で進める経路になる、という説明だった。
ETHの需要への影響は、この段階では断定できる材料がない。利用者がETHを持たなくて済む場面は増えるが、その分をスポンサーがETHで払う。どちらが多いかは、スポンサー市場がどう形成されるかで決まる。
■ 日付は、どこにも書かれていない
Hegotáのメタ文書であるEIP-8081には、稼働時刻を記す表がある。Sepolia、Hoodi、メインネットの3行は、いずれも空欄だ。財団が2025年12月に公開したHegotáの日程も、ヘッドライナー提案の締切(2月4日)と決定期間(2月5日〜26日)を定めただけで、メインネットの目標日は書いていない。「組み込み予定」はFOCILと8141の2本、「検討中」と「却下」は0本、「提案中」は50本のまま残っている。
前段のGlamsterdamも、まだメインネットに到達していない。8月20日のコンセンサス層開発者会議で、Sepoliaは9月28日14時44分(UTC)、Hoodiは10月26日17時42分(UTC)のフォーク時刻が示され、クライアント各社が了承した。メインネットの日付は、この時点でも決まっていない。
各社報道の「2027年」は、この順番から逆算した推定として読むのが正確だ。Glamsterdamの試験網が2本とも通り、メインネットが終わった後にHegotáの実装が本格化する、という順序は一次資料から読める。だが、Hegotáが何月に来るかを一次資料は言っていない。
■ 次に見るもの
一つ目は9月16日14時(UTC)のr/ethereumでの質疑応答で、Protocol clusterの一覧のうち、A-tier以下の扱いとBaseの対案がどう説明されるか。二つ目はEIP-8081の「検討中」の欄で、次の開発者会議以降、空欄のままの「Considered for Inclusion」にどの提案が入るか。三つ目は9月28日のSepoliaで、Glamsterdamの試験網フォークが予定どおり通るかどうかが、Hegotáの時計を実質的に決める。
🔗 一次ソース
- Ethereum財団 Protocol cluster「The Hegotá EIP Opinion Post and Tier List」(2026-09-07・62 EIPの格付け・S=EIP-7805/EIP-8141・A 15/B 8/C 7/却下28/保留2・9月16日14時UTCのr/ethereum AMA告知を確認)
- EIP-8081「Hardfork Meta - Hegotá」(Scheduled for Inclusion=EIP-7805・EIP-8141の2本、Considered/Declined=0、Proposed=50本、Activation表がSepolia/Hoodi/Mainnetとも空欄であることを2026-09-08に確認)
- EIP-8141「Frame Transaction」(著者10名・2026-01-29作成・草案段階。スポンサーによる支払い承認とERC-20での補償の例、支払人が領収書に記録される仕様を確認)
- EIP-7805「Fork-choice enforced Inclusion Lists (FOCIL)」
- Ethereum財団ブログ「Hegota Upgrade EIP Proposal Timelines」(2025-12-22・ヘッドライナー提案窓1/8〜2/4・決定期間2/5〜2/26・メインネット目標日の記載なし)
- All Core Devs Execution #244(2026-08-27)のGitHub議題(Baseの2026-08-12コメント「8141は口座に対する破壊的変更」とEIP-8130提示、Nethermindの8/7支持表明、nixoの8/13コメント「提案締切は8月6日」を確認)
- ACDE #244の会議記録(nixo「we will move ahead with SFI frames」、Ansgar Dietrichsの留保、L2BEAT・lightclientのやり取りを文字起こしで確認)
- All Core Devs Consensus #185(2026-08-20)の会議記録(GlamsterdamのSepolia=2026-09-28 14:44:48 UTC・Hoodi=2026-10-26 17:42:48 UTCの提示とクライアント各社の了承を確認)
- lightclient「Frames are all you need」(2026-09-05・「Framesは口座のために必要な最後のトランザクション型になるはずだ」)
- Vitalik Buterinの投稿(2026-09-05 22:49 UTC・「Frames(EIP-8141)で重要な進展が静かに進んでいた」)
- EIP-8141の更新履歴(2026-08-11〜09-01に15回の更新を確認)