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📡 Signal|米財務省、COINS 法の規則案で対外投資規制にバイオ技術を追加
米財務省が COINS 法の施行規則案を公表。半導体・AI・量子・高性能計算・極超音速の5分野にバイオ技術を追加し、意見募集は12月7日まで。

米財務省は10月22日、米国人による懸念国への対外投資を規制する COINS 法 (包括的対外投資国家安全保障法) の施行規則案を公表した。法律が名指しした半導体・AI・量子・高性能計算・極超音速の5分野に、財務長官の権限でバイオ技術を加えた。意見の募集は12月7日までだ。
2025年1月に始まった大統領令ベースの規制を、法律の裏付けのある制度に置き換える手続きが、案の段階に入った。米国の資金が懸念国の技術開発に流れる取引を、事前の届け出で済ませるか、取引そのものを禁じるかで仕分ける仕組みで、AI や半導体の新興企業に投資するファンドの手続きが変わる。
法律の5分野に、規則案でバイオ技術を追加
COINS 法は、2026会計年度の国防権限法 (NDAA) の一部として成立した。法律事務所 Skadden の解説によれば、署名は2025年12月18日だ。財務省は規則で、懸念国の「対象外国人」が関わる取引について、米国人に届け出を求める「届出対象の技術」と、取引を禁じる「禁止対象の技術」の線を引く。
法律が挙げた分野は次の5つだ。
- 半導体・マイクロエレクトロニクス
- AI システム
- 量子情報技術
- 高性能計算・スーパーコンピューター
- 極超音速システム
法律は財務長官に、議会の関係委員会と協議し、意見募集を経たうえで、懸念国の軍事・諜報・監視・サイバーの能力を高める技術を追加する権限を与えている。財務省はこの権限を使い、規則案にバイオ技術を加えた。
規則案で技術仕様を定める分野を並べた箇条では、AI の分野を「super intelligence systems (超知能システム)」と書いている。どこからを超知能と呼ぶのかの線引きは、発表文には書かれていない。届出と禁止がそれぞれどの分野のどの技術に当たるかも、発表文では示されず、規則案の本文に委ねられた。
現行の規制から何が変わるか
いまの対外投資規制は、大統領令にもとづいて2024年10月28日に出た規則で、2025年1月2日に施行された。対象国は中国 (香港・マカオを含む) で、分野は半導体・量子・AI の3つだった。この規則は、新しい規則が最終的に決まるまで効力を持つ。
Skadden の解説によると、COINS 法は次の点を変える。
- 懸念国: 中国に加え、キューバ・イラン・北朝鮮・ロシア・ベネズエラを、一部の規定の対象に加える
- 分野: 高性能計算と極超音速を加え、財務長官に分野を追加する権限を与える
- 対象外国人の判定: 売上高・費用の50%を基準にした判定をやめ、直接・間接の50%の所有を基準にする
- 期限: 財務省は成立から450日以内、つまり2027年3月13日までに施行規則を出す
財務省の発表文は国名を挙げず、「外国の敵対者」「懸念国」とだけ書いている。どの国がどの規定の対象になるかは、規則案の本文で確かめる必要がある。
投資する側に求められること
規則案が定める項目には、届け出で財務省に出す情報、拘束力のない事前の照会の手続き、取引の前に「合理的かつ相応の注意」をもって調べる義務の水準、違反とみなす行為と罰則が並ぶ。投資の相手が対象外国人に当たるかを、出資する前に自分で調べて記録に残すことが、米国のファンドの標準の手順になる。
ベッセント財務長官は発表で、規則案の狙いを、敵対国が米国の投資を使って米国の安全保障を脅かす重要技術を開発するのを防ぐことだと述べた。
資本の国籍を国家が仕分ける動きは、米国だけのものではない。10月11日の Signal で書いたように、中国は米メタ・プラットフォームズによる AI 新興企業 Manus の買収を、外資の投資審査で取り消させた。米国は自国の資金が出ていく側を、中国は外の資金が入ってくる側を、それぞれ法令で絞っている。AI とバイオの新興企業にとって、誰から資金を受け取れるかは、技術や事業計画と並ぶ経営の前提になった。
次に見るもの
最初の確認先は、規制のパブリックコメントを集める regulations.gov の COINS 法規則案の意見欄で、締め切りの12月7日までに、ベンチャーキャピタルの業界団体や大手の資産運用会社が、バイオ技術の範囲と超知能システムの定義について何を求めるかを見る。その次は、法律の期限である2027年3月13日までに出る最終規則で、施行日と、届出と禁止の線がどこに引かれたかを確かめる。
ことば
- COINS 法 — 包括的対外投資国家安全保障法 (Comprehensive Outbound Investment National Security Act)。米国人による懸念国の特定技術への投資を、届け出か禁止で管理する法律。大統領令で始まった規制に、法律の裏付けを与えた。
- 対外投資規制 — 自国の資金が外国の企業や技術に出ていく取引を審査する仕組み。外国からの投資を審査する対米外国投資委員会 (CFIUS) の逆向きにあたるため、「リバース CFIUS」とも呼ばれる。
- 対象外国人 — 規制の対象になる、懸念国とつながりを持つ企業や個人。規則で定めた技術に関わる相手との特定の取引が、届け出や禁止の対象になる。COINS 法では、判定に50%の所有の基準を使う。
🔗 一次ソース
- 米財務省 プレスリリース「Treasury Issues Proposed Rule to Implement Comprehensive Outbound Investment National Security Act」(2026年10月22日) — 5分野、バイオ技術の追加、規則案の項目を確認home.treasury.gov
- 米財務省「Outbound Investment Security Program」— 規則案の意見募集が12月7日まで、現行規則の施行日 (2025年1月2日) を確認home.treasury.gov
Skadden「US Treasury's 'Reverse CFIUS' Authority Is Codified and Some Restrictions Are Clarified」(2026年1月) — 署名日、懸念国、所有基準、2027年3月13日の期限skadden.com