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📡 Signal|米財務省、350戸以上の大口投資家に戸建て購入を禁じる規則案
米財務省が、350戸以上の戸建てを持つ大口投資家の購入を2027年1月7日から原則禁じる法律の規則案を公表。新築・改修・持ち家支援の3つの例外に細かい基準を置いた。

米財務省は10月22日、戸建て住宅を350戸以上抱える大口の投資家に、戸建ての購入を原則として禁じる法律の規則案を公表した。7月11日に成立した「21世紀 ROAD to Housing 法」の第1001条を具体化するもので、禁止は2027年1月7日から始まる。
規則案の中身は、禁止そのものより「どの買い方なら許されるか」の線引きにある。新築して貸す、傷んだ家を直して貸す、借り手に家を買わせる — この3つの道を細かく定め、大口マネーを中古住宅の奪い合いから供給と持ち家の側へ向け直す設計だ。
350戸と2027年1月7日
法律と規則案がいう大口投資家は、戸建て住宅への投資・保有・賃貸・管理を事業として行い、直接または間接に350戸以上の戸建てに投資上の支配力を持つ主体だ。2027年1月7日 (法の成立から180日後) 以降、こうした投資家は、例外にあたる場合を除いて戸建てを買うことも、買う契約を結ぶこともできなくなる。
規則案は、この定義の細部も詰めている。
- 「事業として」とは、収入や利益を得るために住宅を持つ場合を指し、別の事業のついでに持つ場合は含まない
- 受け身の投資家 (パッシブ投資家) は、住宅を持つ会社と取締役・役員を共有せず、物件を支配する権利も持たない者と定義する
- 既存の借入れ、返済猶予などの損失処理、大口投資家どうしの物件の移転について扱いを明確にし、住宅市場の流動性を守る
違反には、1件あたり100万ドルか物件価格の3倍の、いずれか大きい額を上限とする民事制裁金が科される。規則案は、1件の購入に複数の大口投資家が関わる場合の上限額の数え方も示した。
許される3つの道
法律が例外とする購入は、新築して貸す (build-to-rent)、改修して貸す (renovate-to-rent)、持ち家プログラム、持ち家を後押しするプログラム、などだ。規則案はそれぞれに基準を置いた。
改修して貸す場合は、購入時に地元の建築基準の構造や主要設備を満たしていない戸建てを大規模に直し、重大な欠陥をすべて解消し、物件価格の15%以上を改修に投じることが条件になる。構造・主要設備に価格の10%以上を投じて欠陥を直せば条件を満たしたとみなす「セーフハーバー (安全圏の基準)」も設けた。
持ち家プログラムは、大口投資家が借り手と結ぶ賃貸契約に次の条件を入れるものだ。
- 家賃の支払いを信用情報に良い記録として報告する
- 借り手に優先購入権と、売り出し前に30日間先に検討できる期間を与える
- 借り手が家を買うときに実質的な資金の支援をする
- 物件が別の大口投資家に売られても、これらの条件を引き継ぐ
資金の支援には目安がある。5年以上借りている借り手には、5,000ドルか、購入価格 (連邦住宅局の融資上限のほうが低ければその額) の2.5%の、いずれか小さい額以上、7年以上なら3.5%以上の支援で、セーフハーバーを満たす。
規制が向きを変える先
この制度は、1月の大統領令14376号「ウォール街がメインストリートの住宅購入者と競い合うのを止める」の要点を法律に移したものでもある。ベッセント財務長官は、若い世帯や働く家庭のために手の届く持ち家への道を取り戻す取り組みだと述べた。
投資の世界から見ると、規則案は大口の資金を締め出すのではなく、行き先を選ばせている。新築して貸すなら供給が増え、直して貸すなら傷んだ住宅が市場に戻り、借り手に売るなら持ち家が増える。どの道でも「今ある家を奪い合う」以外の形に資金を流す — これが規則案の組み立てだ。逆に言えば、既存の中古戸建てをまとめて買って貸す、という従来の主力の戦略は、2027年1月から大口では原則として使えなくなる。
次に見るもの
確認できる次の一点は、規則案の官報 (フェデラル・レジスター) への掲載日だ。意見の受け付けは掲載から30日間だ。掲載日が決まれば締め切りが確定し、2027年1月7日の禁止の開始までに最終規則がまとまるかの時間軸が見えてくる。
ことば
- 21世紀 ROAD to Housing 法 — 2026年7月11日に成立した米国の住宅法。第1001条で、350戸以上を持つ大口の機関投資家による戸建て購入を、例外を除いて禁じた。財務省が規則で細部を決める。
- セーフハーバー — 規則が定める条件を満たせば違反にならないとみなされる「安全圏」の基準。条件の解釈で争わずに済むよう、事業者に分かりやすい目安を与える。
- Build-to-rent (新築して貸す) — 賃貸に出すことを前提に戸建てを新築する事業の形。既存の住宅を買い取らないため、住宅の供給を増やす投資として扱われる。
🔗 一次ソース
- 米財務省 プレスリリース「The Trump Administration is Making Homeownership More Affordable」(2026年10月22日)home.treasury.gov
- 規則案 (官報掲載前の公開版・350戸の定義、2027年1月7日の開始、制裁金100万ドルまたは3倍、改修15% / 10%、支援5,000ドル / 2.5% / 3.5% を確認)public-inspection.federalregister.gov
大統領令14376号「Stopping Wall Street from Competing with Main Street Homebuyers」The White House