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📡 Signal|Consensys、資産を動かさずに台帳をまたぐ決済基盤を公開
Consensys が、銀行などが別々に運営する台帳のあいだで資産を動かさずに取引を通す技術一式を発表。いまは Ethereum 系のみで、Canton は次。

Consensys は11月2日、インド・ムンバイで開かれている Ethereum の開発者会議 Devcon に合わせ、銀行や資産運用会社が別々に運営する台帳のあいだで取引を通すための技術一式「Sovereign Network Interoperability」を発表した。資産は元の台帳に置いたまま、台帳をまたぐ状態の確認を暗号で行い、仲介役を新たに置かないとしている。
Consensys「Consensys Introduces Sovereign Network Interoperability」(2026年11月2日・ムンバイ・4つの業務、CLIP、EEZ・IBC への対応、EVM は提供中で Canton は次)Consensys
金融機関のトークン化は、預金・証券・ファンドの持ち分がそれぞれ別の台帳に載ることを前提に進んでいる。今回の発表は、その台帳どうしの「つなぎ方」を、一つの製品として売りに出したものだ。いま使えるのは Ethereum 系の台帳だけで、金融機関の利用が多い Canton への接続はこれからになる。
何をする製品か
Consensys の発表によると、使う側の金融機関は、やりたい取引、相手として認めた先、決済の条件を指定する。製品は通れる経路を選び、関係する台帳のあいだで実行を調整し、完了まで追跡する。発表は、扱う業務として次の4つを挙げた。
- 担保の移動 — 清算機関など、認めた相手へ適格な担保を差し入れる
- 証券の決済 — 台帳をまたいだ証券と資金の同時受け渡し (DVP)
- 大口・異なる通貨の支払い — 外国為替の両方の脚を同時に決済する (PvP)
- ファンドの事務 — 手元資金をトークン化された MMF に出し入れし、トークン化預金とファンドの持ち分を決済する
中核は Consensys 独自の「Cross Ledger Interoperability Protocol (CLIP)」で、同社は10年の経験とゼロ知識証明の研究の上に作ったと説明する。これに加えて、Ethereum Economic Zone (EEZ) の公開標準、Cosmos 系で使われる IBC など、他の接続の仕組みにも対応する。接続部品、プロトコルの更新、運用の道具は Consensys が一つの製品として保守する。
「ブリッジを使わない」が意味するもの
発表は「ブリッジを使わない相互運用が中核の設計原則だ」と書く。ブリッジは、資産をある台帳で預かり、別の台帳で同じ額を発行する仕組みで、預かる側の金庫が攻撃の的になってきた。Consensys の方式では資産は元の台帳から動かず、相手の台帳で何が起きたかを証明で確かめて次の手順に進む。
金融機関にとってのもう一つの論点は、取引の中身を外に漏らさないことだ。Q&A は「証明にもとづく相互運用により、主権を持つ側のデータが外部の参加者に漏れることはない」と書いている。Consensys のデイビッド・カニンガム社長は、金融機関は「プライバシーを犠牲にせず、自前の基盤の管理も手放さずに」新旧の相手とつながる必要があると述べた。
決まっていないこと
発表には、顧客や提携先の金融機関の名前が一つもない。使える台帳は Ethereum 系 (EVM) だけで、Q&A は「Canton が次」とする。金融機関が自前で運用する形、清算機関などの市場インフラが運用する形、Consensys が運用を請け負う形の3つは「予定している選択肢」とされている。提供の条件は「問い合わせ」で、価格も開示していない。
The Block によると、Consensys は10月8日、トークン化証券と資金を24時間決済する基盤づくりで英 ClearToken と提携している。9月には、MetaMask を独立した消費者向けの会社に切り出し、Consensys 本体はプロトコルと機関向けの基盤に絞る方針を示した。今回の製品は、その機関向けの柱の一つになる。
台帳の数が増えるほど、価値は個々の台帳よりも台帳どうしをつなぐ層に寄っていく。Consensys はその層を、保守と責任の付いた製品として売る道を選んだ。カニンガム氏が「何年も先まで全体を動かし続ける責任」と言ったように、銀行に差し出しているのは、接続が止まらないという約束だ。
次に見るもの
確認先は2つある。一つは Consensys の発表ページの Q&A で、「Canton が次」とされた接続がいつ使えるようになるかだ。金融機関の参加が多い Canton がつながるかどうかで、Ethereum 系とそれ以外の台帳を本当に橋渡しできるかが分かる。もう一つは、最初の利用者の名前だ。Devcon の会期中、あるいは次の Consensys の発表で、清算機関や銀行の名前が出るかを見る。
ことば
- 相互運用 (インターオペラビリティ) — 別々に作られた台帳やシステムのあいだで、資産やデータの受け渡しができること。金融機関のトークン化が台帳ごとに分かれて進むなか、台帳どうしをどうつなぐかが次の課題になっている。
- DVP / PvP — DVP は証券と代金を、PvP は2つの通貨を、同時に受け渡す決済のやり方。片方だけが渡って相手が払わない、という事故を防ぐ。台帳が別々でも同時性を保てるかが、トークン化の決済の要になる。
- Canton — 金融機関向けに設計された、参加者ごとに見える情報を分けられる台帳の網。Ethereum 系とは別の仕組みで動いており、つなぐには専用の接続が要る。
🔗 一次ソース