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📡 Signal|Visa のステーブルコイン精算、年換算 250 億ドルで前年の 10 倍
Visa のステーブルコインによる精算が年換算 250 億ドルを超え、前年の 10 倍に。対応は 5 種類のステーブルコインと 10 本のチェーン。数字は決算発表文になく、説明会で CEO が示した。

Visa のライアン・マキナニー CEO は10月27日 (米国時間) の決算説明会で、ステーブルコインを使った精算が年換算で 250 億ドルを超え、前年から 10 倍になったと述べた。精算に使えるブロックチェーンは 10 本で、前年の 2 倍を超えた。
カードの決済網そのものは変えずに、その裏側の資金の受け渡しをステーブルコインに移す動きが、1 年で桁を一つ上げた。初期報は29日朝の 速報 で、円換算で約 3.9 兆円と伝えた。本稿では説明会の発言と決算資料で中身を確かめる。
250 億ドルは「年換算のペース」
マキナニー氏の発言は「ステーブルコインの精算で、年換算の取扱高のペースが 250 億ドルを超えた。前年比 10 倍だ」というものだ。1 年間に実際に流れた合計ではなく、足元の取扱いの速さを 1 年分に引き延ばした値になる。
前年の同じ時期の説明会 (2025 年 10 月) で、同氏はこの値を「年換算 25 億ドルを超えた」と述べていた。25 億ドルから 250 億ドルへの伸びは、10 倍という説明と合う。
精算とは、カードを発行する銀行や加盟店側の金融機関が、Visa との間で行う資金の受け渡しのことだ。利用者がカードで払う場面は従来どおりで、変わるのはその後ろで銀行と Visa の間を動くお金の形になる。
この数字は、SEC に出した決算の発表文には載っていない。発表文で「ステーブルコイン」という語は使われておらず、説明会で CEO が口頭で示した値だ。
5 種類のステーブルコイン、10 本のチェーン
質疑応答でマキナニー氏は、精算に対応するステーブルコインとして USDC・USDG・EURC・PYUSD・SBC の 5 種類を挙げた。ドル建てが中心で、EURC はユーロ建てだ。同氏は「特定のステーブルコインにも、特定のブロックチェーンにも肩入れしない」と述べている。対応するチェーンは 10 本で、事業を展開する 5 つの地域すべてで使える状態だという。
説明会では、ブロックチェーンの運営そのものへの関与も語られた。Circle が立ち上げる Arc では創設期のバリデーターの一員に招かれ、Tempo ではバリデーター、Canton ではスーパーバリデーターを務めている。
精算の外に広がる 3 つの入口
ステーブルコインの使い道は、精算のほかに 3 つの入口で広がっている。
1 つ目は送金だ。Visa Direct で、ステーブルコインによる資金の前払いと国際送金が試験から商用の段階に移った (10月17日の記事)。2 つ目は、金融機関がステーブルコインを扱うための Visa Stablecoin Platform で、米国・メキシコ・プエルトリコ・コロンビア・スイス・英国で使えるようになった。3 つ目はカードで、ステーブルコインと結び付いたカードの発行プログラムは 225 を超え、前年から 70% 以上増えた。
本業も伸びた。7〜9 月期の純収益は 121 億ドルで前年同期比 13% 増、通年では 459 億ドルで 15% 増だった。処理した取引は 742 億件で 10% 増、国際取引の取扱高は為替の影響を除いて 14% 増えた。
カードの網を持つ側が、裏側の決済にステーブルコインを組み込み、チェーンの運営にも席を取る。ステーブルコインが既存の決済網の外で育つのではなく、決済網の部品として取り込まれていく流れが、数字に出てきた。
次に見るもの
確認先は、11月に SEC の EDGAR に提出される Visa の年次報告書 (Form 10-K) だ。説明会で口頭で示したステーブルコインの取組みが、事業の説明やリスクの項目にどう書き込まれるかを見る。精算のペースの次の数字は、2027 年 1 月下旬の 10〜12 月期決算の説明会で出る。
ことば
- 精算 (settlement) — カードで買い物をした後、カードを発行した銀行と加盟店側の金融機関の間で、実際にお金を受け渡す手続き。Visa はこの受け渡しの一部を、ステーブルコインで行えるようにしている。
- 年換算 (annualized run rate) — 一定期間の取扱高を 1 年分に引き延ばした値。伸びている事業の勢いを示すのに使われ、1 年間の実際の合計とは別の数字になる。
- バリデーター — ブロックチェーンで取引を検証し、ブロックを確定させる役割を担う参加者。Visa はチェーンの利用者にとどまらず、運営の側にも加わっている。
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