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SNAPSHOT 2026-10-30 12:03 JST

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📡 Signal|Arbitrum、Binance 流出に絡む 8,425 ETH を評議会が凍結

Arbitrum の評議会が Binance 流出に関わる 8,425 ETH と約 7,456 万 ARB を凍結。4 月の KelpDAO に続き今年 2 度目で、行き先は DAO の投票で決まる。

LiveMakers 編集デスク

📡 Signal|Arbitrum、Binance 流出に絡む 8,425 ETH を評議会が凍結

Arbitrum の Security Council(セキュリティ評議会)は 10 月 30 日 9:08(日本時間)、Binance の流出に関わるアドレスが Arbitrum One 上で持っていた 8,425 ETH と 74,559,805.2 ARB を凍結した。資金は攻撃者の手が届かない凍結用のアドレスへ移され、今後は Arbitrum DAO の投票でしか動かせない。

ステーブルコインの発行元が盗難資金を止めるのとは違い、今回止めたのは発行元を持たない ETH だ。止めたのは Ethereum 本体ではなく、その上で動くレイヤー 2 の統治機関である。Arbitrum の評議会が盗難資金を凍結したのは、4 月の KelpDAO の事件に続いて今年 2 度目になる。

流出の全体像は、先に出した Binance の流出についての記事 にまとめている。ここでは Arbitrum が何をしたのか、その仕組みと前例を一次の記録で確かめる。

何をしたのか — 攻撃者の名前で送金を出す

Arbitrum の公式フォーラムに出た報告によると、評議会は次の手順を 1 回の操作でまとめて実行した。

  • Ethereum 上にある Arbitrum の受付窓口の契約(Inbox)を書き換え、送り主になりすました取引を出せる関数を一時的に足す
  • その関数で、攻撃者のアドレスを送り主とする取引を 2 本出し、資金を 0x…0DA0 という凍結用のアドレスへ移す
  • Inbox を元の実装に戻す

つまり評議会は、攻撃者の署名なしに、攻撃者の口座から資金を動かした。報告は「ほかの利用者の資金やアプリには影響していない」としている。取引の中身は Arbitrum の開発者が用意し、評議会が確認してから署名した。

誰が、どんな権限で動けるのか

評議会は Arbitrum DAO の選挙で選ばれる 12 人で構成され、多人数で署名するウォレットの署名者を務める。Arbitrum DAO の憲章は、評議会に「緊急行動」の権限を与えている。セキュリティ上の緊急事態に、待ち時間なしでソフトウェアの更新などを実行できる権限で、12 人中 9 人の承認が要る。

憲章はこの権限に 2 つの縛りをかけている。

  • 使ってよいのは「真のセキュリティ上の緊急事態」に限る
  • 使ったあとは、何をなぜ行ったかを説明する透明性報告を出す

DAO は憲章を改める提案(Constitutional AIP)で、この権限を狭めたり無くしたりできる。権限の大きさを最終的に決めるのは、ARB の保有者の投票だ。

4 月の KelpDAO が示した、凍結の「その後」

前例は半年前にある。4 月 21 日、評議会は KelpDAO の攻撃者が Arbitrum One に置いていた 30,765.67 ETH を、今回と同じ手順で同じ凍結用アドレスへ移した。

資金の行き先は、そこから DAO が決めた。4 月 25 日に Aave Labs・KelpDAO・LayerZero などが、凍結した ETH を被害者の救済に回す提案を出した。議論の途中で、裁判所の手続きを経て Aave LLC へ移す形に組み直され、オンチェーンの投票を通った。6 月 15 日、30,765.6 ETH が Aave LLC へ送られている。凍結から送金まで、およそ 2 か月かかった。

今回の 8,425 ETH と約 7,456 万 ARB も、同じ道筋をたどることになる。誰に、どの法的な手続きで返すのかを、DAO の投票で決める。被害者に当たる Binance は「すべての損失を補償する」と表明しているため、返す先が Binance になるのか、補償を受けた利用者との関係をどう整理するのかが論点になりうる。

止められるチェーンと、止められないチェーン

Bitcoin と Ethereum 本体には、特定の口座の資金を止める仕組みが無い。盗まれた BTC や ETH は、取引所が入金を拒むなど周辺で止めるしかない。Binance の事件でも、オンチェーンの追跡では、まだ動かせる資産の大半が BTC と ETH だとされている。

これに対し、Arbitrum のようなレイヤー 2 は、契約を更新できる権限を誰かが持つことで、障害やバグに素早く対応できるようにしている。同じ権限が、盗難資金の凍結にも使えた。被害者にとっては救済の手段であり、利用者全体から見れば、選ばれた 12 人のうち 9 人が合意すれば口座が動かされうるということでもある。4 月の凍結のときも、フォーラムや X では分散性を問う声と、評議会の存在は周知の仕組みだとする声の両方が出た。

どちらが正しいかは、レイヤー 2 ごとの設計の選択だ。凍結の権限を持つ場所が、ステーブルコインの発行元から、チェーンを統治する機関にまで広がっている。

次に見るもの

最初に見るのは、憲章が義務づける透明性報告と、資金の行き先を決める DAO の提案だ。どちらも Arbitrum の公式フォーラム(forum.arbitrum.foundation)に出る。4 月は凍結の 4 日後に提案が出た。今回、Binance と被害者のどちらに返す設計になるかは、その提案文で分かる。

ことば

  • レイヤー 2 — Ethereum の上に別のチェーンを重ね、処理を速く安くする仕組み。Arbitrum One はその代表格で、最終的な記録は Ethereum に置く。
  • Security Council(セキュリティ評議会) — Arbitrum DAO が選ぶ 12 人の署名者。緊急時は 9 人の承認で、待ち時間なしにチェーンの契約を更新できる。今回はその権限で盗難資金を移した。
  • Constitutional AIP — Arbitrum DAO の憲章や、チェーンの中核の契約に関わる提案。可決のハードルが通常の提案より高く、評議会の権限を変えるのもこの手続き。

🔗 一次ソース

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