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📡 Signal|日銀の ETF 売却、完了まで 112 年から 43 年に
日銀が ETF の売却ペースを年 8,600 億円(簿価)に引き上げ。2027 年 1 月から、時価では年 2 兆 4,600 億円程度になる。

日本銀行は 10 月 30 日の金融政策決定会合で、保有する ETF(上場投資信託)の売却ペースを年 3,300 億円程度から年 8,600 億円程度(いずれも簿価)へ引き上げると決めた。2027 年 1 月から実施し、このペースで売り切るまでの年数は約 112 年から約 43 年に縮む。
決定は全員一致だった。同じ会合で政策金利(無担保コールレート翌日物)は 1.25% 程度で据え置かれ、こちらは賛成 8・反対 1 で、高田創委員が 1.5% への利上げを提案して否決された。金利の判断が割れた日に、資産の出口は全員一致で一段進んだ。
昼の速報は報道をもとにした第一報だった。ここでは日銀の公表資料で中身を確かめる。
何を決めたのか
日銀は 2025 年 9 月、ETF を市場で売ると決めた。ペースは、2025 年 7 月まで続けていた「金融機関から買入れた株式」の売却と同じ規模にそろえ、東証プライム市場全体の売買代金に占める割合が 0.05% 程度になるようにした。これが年 3,300 億円(簿価)で、売却は本年 1 月に始まった。
今回はその割合を 0.1% 程度に上げた。日銀の説明は 2 点ある。
- 1 月からの売却は「市場に大きな影響を与えることなく円滑に」進んだ
- 株式市場全体の売買代金も拡大した
売り方の原則は変えていない。時期を分散し、各銘柄の保有割合にほぼ比例して売る。市場の状況に応じて、売却額を一時的に調整したり止めたりできる点も従来どおりだ。J-REIT の売却は年 50 億円程度(簿価)のまま据え置いた。
簿価で 2.6 倍、時価では 2 兆円台
数字は簿価と時価で見え方が大きく違う。日銀は 1〜9 月に実際に売った ETF の時価と簿価の比率を使い、新しいペースを時価に直すと年 2 兆 4,600 億円程度になると示した。
2025 年 9 月の決定時、年 3,300 億円(簿価)は 2025 年 3 月末の時価で 6,200 億円程度とされていた。換算の基準時点は違うが、時価で見た年間の売却額はおよそ 4 倍の規模になる。株価が上がった分だけ、同じ簿価を売っても市場に出ていく金額は膨らむ。
売却完了までの年数は、9 月末時点の保有 ETF 残高(簿価)を年間の売却額(簿価)で割った値だ。約 43 年でも、日銀が ETF を手放し終えるのは 2070 年前後になる。出口は速まったが、一世代をまたぐ時間軸であることは変わらない。
年 2 兆円台は市場にとってどの程度か
日銀自身の物差しでは、市場全体の売買代金の 0.1% 程度だ。日々の売買の中では小さく、1 日あたりの売りが相場の方向を決める規模ではない。
一方で、売りは毎営業日、銘柄の保有割合に比例して続く。日経平均や TOPIX に連動する ETF を通じて、指数の構成銘柄に薄く広く売りが入り続ける形になる。日銀は 2010 年から 2024 年まで ETF を買い続け、日本株の最大の保有者の一つになった。その買い手が、今度は年 2 兆円台の売り手として市場に残る。
効き方を左右するのは相場の地合いだ。売買代金が膨らむ上昇局面では 0.1% は吸収されやすい。下落局面で売買が細れば、同じ金額の比重は上がる。調整や停止の余地を残したのは、その局面への備えと読める。
次に見るもの
最初の確認点は 11 月 10 日(火)8:50 に公表される「主な意見」だ。ETF の売却ペースを上げた理由として、委員がどこまで市場の吸収力に触れたかが分かる。高田委員の利上げ提案をめぐる議論もここに出る。
その先は、2027 年 1 月以降に日銀が公表する営業毎旬報告の ETF 残高だ。簿価の減り方が年 8,600 億円のペースに乗っているかで、新しいペースが実際に動き出したかを確かめられる。
ことば
- 簿価と時価 — 簿価は日銀が ETF を買ったときの値段、時価は今の値段。日銀は高値になる前に大量に買ったため、時価は簿価を大きく上回る。売却ペースを簿価で決めると、株価が上がるほど実際に売る金額は増える。
- 無担保コールレート翌日物 — 銀行どうしが担保なしで翌日まで資金を貸し借りするときの金利。日銀の政策金利で、今回は 1.25% 程度に据え置かれた。
- J-REIT — 不動産投資信託。日銀は ETF と並べて買ってきた。売却ペースは今回変えず、年 50 億円程度(簿価)のまま。
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